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2月の短歌(十首)
一
不似合いな 赤い手袋 するたびに 便り途切れた あの子を想う
二
寒い日に 産まれてきたと いう母の 優しい声も 思い出せずに
三
産まれた日 祝ってくれる ひとがいた 煩わしさも 有難さかな
四
在りし日に 仲たがいした 友達の 撮りし写真を じっと見つめる
五
もらったよ もらってないよと 騒ぐのは ひとの業かな 黒き洋菓子
六
会いたいと 思える人が いることの 嬉しいことよ 苦しいことよ
七
会うたびに 面差し変える 君がため 寒空のなか 長玉かつぐ
八
満たされぬ 理由は求める 心かな ぼくを探しに ぼくを探しに
九
生きていく 糧があろうと なかろうと 苦しかろうと 生きづらくとも
*
2月の短歌なんて書くと、さも毎月やっているようですが、初挑戦です。きっかけは、NHKの連続テレビ小説『舞い上がれ!』。主人公の幼馴染が詠む「素敵な歌」に心動かされ、僕もちょっと「詠んでみた」というわけ。
俳句と違って季語がないので、作りやすいかなと高を括っていましたが、全然そんなことはなくて(当たり前ですね)。言葉を選ぶこと、31文字にまとめることの難しさを思い知ることに。
ドラマのなかで、「あと十首で歌集が出せる」なんて言っていましたが、その十首がどれだけ大変なのか。ほんの少しだけ、感じられた気がします。それでも初めてにしては、よく詠めたと思うのですが、いかがでしょうか。
*
十
詠んでみた 自分の歌に 酔いしれる 感じた才は ただの自惚れ
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