映画【エール】感想

フランス人のフランス語講師に勧められていて、ずっと見たかった作品。
希望系・心温まる系の「エール(2015)」。

聾者の家族を持つ女子高生の主人公が、音楽で才能を見出され、自分の人生をもがきながらも前に進めようと歩み始めるまでのストーリー。アメリカ版でリメイクもされているようですが、オリジナルはフランス版だと講師が言っていたので、今回はオリジナルを鑑賞。

以下、直接的なネタバレはしませんが、含まれてしまうかもしれません。ご注意を!

この映画、リアリティが凄かった。本当にヨーロッパの学校で過ごしているかのよう。

まず主人公の女の子、リアルな女子高生感がある。私がヨーロッパに留学していた頃に出会った、カメラ好きの女の子に雰囲気がそっくり。そうそう、髪が長くて、服装はこんな感じで。懐かしい気持ちになった。恐らくアメリカの主人公は、リアリティを追い求めているような主人公ではないだろうな…と勝手な予想をする。

家族や、学校で会う登場人物もやけにリアルだった。オーバーリアクションの母、奥さん大好きだけど小難しい父、クリクリ天然パーマの彼氏、ちょっとロマンチストだけど毒突く先生、死ぬ程下ネタを言う友達、もう、超〜フランス人!って感じだった。このリアリティ感、アメリカ映画だとそこまで感じることがない。日本映画やヨーロッパ映画ではたまに感じるが、今作も作中に入り込むほどリアルで、キャスティングも衣装も最高な選択だったと思う。

ストーリーの感想ですが、なんかほろっと涙が出るような、聞いた通りの温かさ。途中までは「この!毒親!このこの!」と思ったりもしたけど…。時には母と父の愛情も足枷になってしまい、将来への希望が薄れてしまったり。それでも無償の愛情を注ぎ続ける家族が最後は温かく、ポーラの門出を一視聴者としてもニコニコしながら見送れるような気持ちになりました。

ポーラが最後に歌った曲も良かった。歌の才能がある娘の歌声を聞くことができない家族に向け、手話付きで歌うポーラ。家族に聞かせたかったんだろう。印象深い瞬間だった。

人にもおすすめしたい映画だった。
私にとってもフランスを思い出せる美しい映画の一つになった。

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