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PRINCESS PRINCESS「M」 あなたのいない右側に 少しは慣れたつもりでいたのに

1980~1990年代に活躍したPRINCESS PRINCESS(プリンセス・プリンセス)の名曲「M」。この曲はドラムの富田京子さん作詞、奥井香さん作曲で、富田さんが失恋したときにつづったとされている。

アルバム「LET’S GET CRAZY」(1988年11月21日、レコード)のB面4曲目に位置する。

「M」は完全なるバラード曲で、ほかのプリプリの作品のメジャー曲「Diamonds(ダイアモンド)」や「世界でいちばん熱い夏」などに比べて異色の作品とも言えそうだ。

「M」も歌い、「Diamonds」も歌うプリプリが好きだった。

でも、圧倒的に好きだったのが「M」。アルバム発売時点で、高校1年だった私は、まだこの曲を知ることはなかった。この後、Diamondsのカップリング曲としてシングルカットされた際に改めて注目され、「M」が世に知れ渡ったような記憶がある。だから、高校2年生ごろだったのかなあ。

歌詞はかなり分かりやすくて、率直な失恋ソングと言っても過言ではない。

「いつも一緒にいたかった 隣で笑ってたかった
季節はまた変わるのに 心だけ立ち止まったまま」

もうこのフレーズだけで、状況説明、失恋した当事者の心情はほぼすべて説明しきっている。奥井香さんの決して女の子らしくはないものの、ストレートな声がこの曲によく合っていたと今なら思える。当時は、もっと甘い声のボーカルの方がいいのに、なんて思っていましたが・・・。

「あなたのいない右側に 少しは慣れたつもりでいたのに
どうしてこんなに涙が出るの
もうかなわない思いなら あなたを忘れる勇気だけほしいよ」

高校生の私は、それなりに小さな恋心も抱いており、この歌詞に共感していたなあ。本当に懐かしい。結局、この「M」は今の時代の若い人たちが聞いても、たぶんいい曲だと思うけど、世相とか時代とかが異なっていると、完全なる一致は見いだせないんじゃないかなあ。

サビは

「(You are only in my fantasy)
今でも覚えてる あなたの言葉 肩の向こうに 見えた景色さえも
So once again
(Leavin’ for the place without your love)
星が森へ帰るゆに 自然に消えて 小さな仕草もはしゃいだあのときの私も」

英語コーラスを交えたサビも絶品で、バラードながらバンドの良さを感じた部分。とっても好きなサビだね。最高の盛り上がりを迎える。

「あなたの声聞きたくて 消せないアドレスMのページを
指でたどってるだけ」

Mはその大切な人のイニシャルなんですね。

一方、もちろん、この曲は「恋人同士の別れ」を表現していると解釈するのが、最も適切だと思うんだけど、この歌詞なら、「大切な人との別れ」という風に受けとめられる可能性が十分にある。

親子でも、友人でも、同級生でも。ただ、そう捉えた場合は「死別した感」が少し強くなる。

亡くなった大切な人を思って
「いつも一緒にいたかった 隣で笑ってたかった
季節はまた変わるのに 心だけ立ち止まったまま」
この最初の歌詞なんかを聴くと、それだけで、泣きそうになる。

ただ、最終盤の歌詞の

「いつまでも あなたしか見えない 私も」

あたりはちょっと恋人への未練感が強い。

この「M」は聴き手によって、それぞれの対象者がいて、それぞれの人生を反映させられるからこ、令和の今でも歌い継がれている曲になっているのだろうね。

とんでもない数のアーティストにカバーされていることからも、普遍的な歌だということがよく分かります。

2022年9月17日 トラジロウ  

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