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映画「すずめの戸締まり」

本当はもっと早く観ようと思っていたのですが、予約しようとすると、結構、人が多くて、平日の月曜まで延期しました。

新海誠監督の最新作映画「すずめの戸締まり」。前評判が高い。

ここから先はネタバレ注意です。
本当は分からないようにして書こうと考えていたのですが、率直な意見を書きたいので、一部内容にも踏み込みます。
ここから先は、まだ観ていない人は、読むのを注意してください。




【ここから先、ネタバレ含む】
1.めちゃくちゃ映像がきれい
 とにかく画がきれいです。圧倒的な美しさですね。
 特に、「光」の表現が秀逸で、星、日光などのみずみずしさに惚れ惚れとしてしまう。ストーリーとは全く関係のないところで、心を持っていかれそうになってしまうほどの力がある。

2.基本的に3.11モチーフの映画
 すずめの絵日記が3月11日以降、真っ黒になっているシーンなどなど、東日本大震災をかなり直接的に取り扱っているという点。
 映画として挑戦的だが、賛否が分かれるところではないだろうか。あえて、地震をテーマに掲げている。津波を想像させる表現(建物の上に船など)があり、見る人を選ぶかもしれない。
 一方で、震災から11年というタイミングでの発表は、ある程度は適切なのかもしれない。震災1年とか2年とかでは、この映画は受け入れられにくいのではないか。
 あまりにも痛い部分が多い。被災者の心をえぐってくる。
 また、この物語では、地震は「ミミズ」なるものによって引き起こされるという設定であり、扉を閉じて鍵をかければ「ミミズ」は雲散霧消するみたいな。
 そもそも、地震が、まじないか何かで封じられるような描き方には非常に大きな違和感を抱いた。地震そのものの発生は、誰が悪いわけでもなく、地球という惑星で起きる自然現象である。その発生の原因に、なんらかの意味を持たせてしまうような描写をしており、被災者の多くはどう捉えるんだろうか?
 「行ってきます」という言葉。朝出かけるときに、この言葉を聞いたのが、最期の言葉になったという被災者が多くいるのだという。そういった思いをモチーフにして、最終盤を描いているあたりは、グッとくるものもあった。

3.RADWIMPSの曲との融合は今回も見事
 美しいアニメと音楽。それに尽きる。

4.後半に出てくる芹澤の車内でかかる選曲がおしゃれ!?
ルージュの伝言(松任谷由実)
夢の中へ(斉藤由貴)
卒業(斉藤由貴)
けんかをやめて(河合奈保子)

若い子は知らないのもあるんじゃない?

5.批判を想定して、あえて挑戦している?!
 映画を見終えて、数時間が経過した。なるべく冷静に考えてみると、新海誠監督は、批判があることも当然想定して、あえてこの形にしているんだろう。
 そのチャレンジする心は、大いに感服した。ぎりぎりを攻めようとしているような・・・。

【感想】
 「いいものを観た」と、手放しで喜べる映画ではなかった。大きなもやもやが残る作品ではある。新海監督がそれもすべて計算して、東日本大震災が少しずつ過去になりつつある日本に投下した作品と考えれば、大きな意義がある映画なのかもしれない。
 観るなら映画館が圧倒的におススメ。

2022年11月15日 トラジロウ

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