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スピッツ「エトランゼ」 目を閉じてすぐ 浮かび上がる人
短い。
アルバム「フェイクファー」の1曲目。私のスマホで見ると、演奏時間は1分33秒。
何度となく、車でこの曲が流れてきたけど、正直言って、アルバムのプロローグみたいなイメージしかなくて、ここに書くに当たって、真剣に聴きなおしてみた。
「目を閉じて すぐ
浮かび上がる人
ウミガメのころ すれ違っただけの
慣れない街を
泳ぐ もう一度
闇も白い夜
慣れない街を
泳ぐ もう一度
闇も白い夜」
歌詞はこれだけしかない。
前奏もなく、寂しさをまとって曲が始まっていく。
「目を閉じてすぐ 浮かび上がる人 ウミガメのころ すれ違っただけの」
これだけで、想像は無限に広がっていく。
【解釈1】ファンタジー
「ウミガメのころ」を、前世あるいは何世代か前の自分だと解釈してみる。それぐらい前に相手も同じウミガメだったのか、別の海の生物だったのか、海の中で一瞬すれ違っただけの関係性。つまり、それほど少ない関係性しかないという表現とも取れるのでは。
まだ見ぬその相手がどこかにいるのではないかと信じて、「慣れない街を泳ぐ もう一度」。
【解釈2】初恋の人
「ウミガメのころ」を、自由だった自分の若いころと解釈してみる。そのころに一度「すれ違っただけ」は、淡い恋愛が繰り広げられたことを意味している?
その人が忘れられなくて、どこかで巡り合えないかと慣れない街を泳ぐ。
【解釈3】不倫
「ウミガメのころ」を、若さゆえに自由に生きて、誤った関係性を持っていたと想像してみる。そのことを「すれ違っただけ」と表現。
ただ、思いは忘れられず、やはり会いたくて、さまよってしまう。
【解釈4】無限には広がらなかった。
とにかく、草野さんの詩は分からなくて、想像が広がる。
誰が、目を閉じて、誰を浮かび上がらせているんでしょうね?
この短い曲が残酷なのは、「決して会うことはできない」ということだけは、決定しているように感じられること。とっても、悲しい曲。
「闇も白い夜」が表現していることが何なのか、私の想像力では、適切なものが出てきません。
ま、何はともあれ、2曲目の「センチメンタル」のロック全開の前奏につながっていくギャップは素晴らしいですよね。
2022年7月12日 トラジロウ
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