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スピッツ「桃」 他人が見れば笑い飛ばすような よれよれの幸せを追いかけて

スピッツのアルバム「さざなみCD」の2曲目。
桃→群青と続く並びをこれまで、何度聴いたことか・・・。とてつもなく好きな一曲。

「桃」で描かれているのは、終わった恋を振り返っている人の思いだよね。

「永遠という戯言に溺れて」
「ありがちなドラマをなぞっていただけ」
「他人が見ればきっと 笑い飛ばすような よれよれの幸せを追いかけて」

自身の恋愛が終わったことを思い返して「自虐的に表現する」中に、無常観だけでなく、恋に対する「けなげさ」とか「ひたむきさ」のようなものを浮かび上がらせることに成功している。

「ありふれた恋だったんだよ」「大したもんじゃなかったよな」という自虐性がありながらも、恋愛の尊さをしっかりと伝える草野さんの力がいかんなく発揮された曲。スピッツの全ラインアップの中でも、この「桃」は最高級ではないかしら。

ゴースカ7で、桃を聴くことができたのは、本当にうれしかった。

大サビで唯一

「柔らかな気持ちになった 甘い香りにつつまれ」

と恋の喜びをストレートに表現する。

「桃」で歌っているのは、ただただ、それだけなんだよね。でも、それが聞き手それぞれのほろ苦い思い出を喚起してくれる。そして、作り手と聞く側の共通項へと昇華して涙する。

他人から見れば、「なんでそんなものに?」というものに価値を見いだして、必死になったりすることがあるよね、人間って。

ああ、スピッツはやっぱすげえや。

この曲に「桃」って題名を付けるのもさすが。

懐かしい・・・苦い思い出。

2022年6月20日 トラジロウ

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