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編集工房けいこう舎マガジン
2022年3月27日 02:23
壺井栄をナメるなよ !(その4) 栗林佐知←(その3)からつづき■「妻の座」のあらすじ 「妻の座」は、そんな栄の戦後の停滞期の中で書かれた、特別な作品だ。 まず、内容、あらすじを追ってみよう。 ……4人の子どもをかかえ、愛妻を亡くして困っていた「野村」(モデル:徳永直)は、「裁縫ができて優しい人」を紹介してほしいと、同じく進歩的な作家仲間である「ミネ」(モデル:壺井栄)に頼む。
2022年3月27日 00:24
壺井栄をナメるなよ !(その3)栗林佐知←(その2)からつづき■壺井栄の生涯(下) 引っ越し続きの貧乏生活の中、栄はツケで米を買い、繁治の仲間たちにごはんを炊いてもてなし、さらには、妹二人を小豆島から上京させて学校に通わせ(学費は四姉が負担)、赤ん坊の姪を引き取り、まわりの者たちへの世話を惜しまなかった。昭和10年頃の栄 昭和2年終わり、繁治は、アナキストからコミュニストに転身
2022年3月20日 19:31
壺井栄をナメるなよ !(その2) 栗林佐知←(その1)からつづく■ 壺井栄の生涯(上)「妻の座」の話に入る前に、作家の略歴をざっとお話ししておこう。 壺井栄。旧姓、岩井栄は、明治32(1899)年8月5日、小豆島の旧坂手村に生まれた。 同郷の一級うえに、のちに夫となる詩人、壺井繁治(つぼいしげじ)と、プロレタリア作家、黒島伝治がいる。 栄の両親は、醤油(小豆島名物)の樽づくり
2022年3月20日 19:15
《注》●(その1)*1)徳永直の「妻よねむれ」は、1946(昭和21)年3月の『新日本文学』創刊号から連載開始。ただし、「妻の座」初回が掲載された1947年7月号には「妻よねむれ」は載っていない。「妻の座」の第2回は、「妻よねむれ」の連載終了(1948(昭和23)年10月)後の1949(昭和24)年2月号に載り、以後、7月号までつづいている。だからつまり、「妻の座」と「妻よねむれ」は、一緒の
2022年3月20日 19:00
壺井栄をナメるなよ!(その1) 栗林佐知■ニコニコ顔のおばさん作家 壺井栄の名を知らない人は、あまりいないだろう。 国語の教科書でその作品を読んだことのない若い人でも、映画「二十四の瞳」の原作者、といわれれば、そのイメージを呼び起こすことができると思う。 「台所からエプロン姿で手を拭き拭き現れたニコニコ顔の善良なおばさん」(鷺只雄『評伝 壺井栄』翰林書房、p7)といわれる、えくぼが