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趣味的ビジネスの訴求

わたしは主に女性向けビジネスに関わっているのだけれど、同じ女性といっても当然のことながら、色んなタイプがいる。
同じ美容の分野でもその手段や趣向によって、訴求ポイントを変えなければ売れない。

たとえば、同じエステ店でも機械を中心に全国にFC展開や協会として展開している会社と、個人で仲間内で講座を開いてレッスンしているところでは全く顧客の好みが違う。

どちらももちろん、お客様の悩みを解決することに変わりはないのだけれど、前者は機能重視で後者は体験重視である。

たとえば、痩せるということを目的にするなら、整形だってあるしマシンを使えば手っ取り早い。
ところが、個人エステを好む人たちは、そういうものに対して見向きもしないどころか、やってみても「あんまり効果がなかった」と言うのだ。

両者のビジネスをサポートしている私は、客観的な立場でみて、結果は断然最新のテクノジーを使った化粧品やマシンの方が出ていると思う。
けれど、その人たちが買いたいものは結果だけではないから「ほしかったものではなかった」になるのだ。
その目的に対してのアプローチの"素敵さ"を丸ごと買っているようなものだ。

それは、豪華なことや一足飛びに結果を出すということよりも、「手間暇かけた」情緒価値を必要としているのだ。

結果だけみてしまえば、サイズを測り、期間を絞り、安さや場所やサービスの良さで「勝ち負け」は決まる。
けれど、情緒価値を買われているサロンは、そういう直接的な訴求は好まれない。
そんな選ばれている本当の理由を考慮せず、ベネフィットやメリットだけを強めに訴求しても予約は入らない。

最近、わたしは料理をし始めた。
以前は、無駄な行為のように感じて嫌厭していた。
メニューを考え材料を買い揃え保存し、調理、片付け、ゴミ出しという労力が途方もないものに感じられたからだ。

けれど、やってみると楽しい。
外食や買ってくれば手に入るようなものも、自分なりの工夫をしていくと新たな発見や面白さがでてきた。
この調理をする理由を、栄養があるとか値段の安さなどの機能的なことに結びつけたとしたら、本来の私が感じている料理の価値とは離れてしまう。

わたしが感じている価値は、面倒臭いことをわざわざする楽しみ=趣味的な作業なのだから。

同じ様に、効率や結果だけを求められていないビジネスも、もちろん結果や出来栄えは職人技で素晴らしいものであったとしても、もっと人の非効率で無駄な趣味的要素にフォーカスを当てて、濃く語りかけた方がいい。

貢献や社会正義よりも、趣味的な要素をもつスモールビジネスも社会に楽しさを提供しているという大事な役割を持ち、これからの二極化に備えたあり方なのではないかと思う。



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