【名言グラフィックス】 言葉を視覚化すること。 アイデアとビジュアルを考え抜く。
私は広告表現が好きだ。
広告には必ず、伝えたいメッセージがある。
そしてメッセージを伝えるためにビジュアル表現や、コピーがある。
一枚絵にメッセージが集約されているようなアートディレクションにずっと興味を持っていたし、コピーに対してビジュアルを作るようなスタディをしてみたいと思っていた。そこで言葉を視覚化することに挑戦してみることにした。
実際にどんな言葉を視覚化していこうかと考えたとき、世界の偉人たちの名言を視覚化すれば、見た人の心の中にポジティブなメッセージをイメージで残すことができると思った。
制作に至っては、見た人に名言の内容をしっかりと感じ取ってもらうために、サプライズを盛り込んだビジュアルを考えていった。言葉を伝えるためのアイデア作りに一番注力し表現方法を模索していった。
言葉から発想したビジュアル作りは難しく、タイトルの決まったポスターを作っているような感覚で、アイデアを生み出すのに苦しんだ。
アイデアとビジュアルの二軸で見た人がハッと気づくサプライズの要素を盛り込みたい。心を揺さぶるアイデアと記憶に残るビジュアルを生み出したい。
そんな思いで取り組んだ作品だった。
考え、思想は、その人の生き様であり、しばしばそれらは『名言』という形となり後世に残されていく。そして名言には、私たちが生きる上で学ぶべきエッセンスが含まれている。名言を視覚化したグラフィックとして、私はこれらの作品群を「名言グラフィックス」と名付けた。
名言グラフィックス Quotes graphics
言葉は形のないもの。
しかし、視覚伝達の力は、その視覚化を可能にする。
そこで私は、偉人たちの言葉を視覚化する、「名言グラフィックス」というものを考えた。
世界には心に響く言葉が名言として語り継がれており、偉人が語る言葉には、私たちが生きる上で学ぶべきエッセンスが含まれている。
視覚伝達の力で、偉人たちの尊いアイデアを視覚で感じ取れるようにした。
Words have no forms.
However, with the power of visual communication, they can be visualized.
I came up with “Quotes Graphics”. Their words that resonate in the heart are handed down through generations as quotes because they include the wisdom we need to learn.
I worked on showing the precious ideas of the great people with the power of visual communication.
1
失敗ではない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ。
It’s not a failure. I found 10,000 ways that didn’t work.
トーマス・エジソン
Thomas Edison
エジソンは発明王と言われた天才だが、実は成功した発明はほんの一握りのもので、大量の失敗もしていた。
電球が光りを放つまでにアイデアを書き出した用紙の多くは丸められ、ゴミとなっていたことだろう。そこで丸めたゴミが電球の回路の一部になっているビジュアルを考えた。
2
点と点をつなげ
Connecting The Dots
スティーブ・ジョブズ
Steve Jobs
先を見通して点をつなぐことはできない。
振り返ってつなぐことしかできない。
だから将来何らかの形で点がつながると信じることだ。
何かを信じ続けることだ。直感、運命、人生、カルマ、その他何でも。
この手法が私を裏切ったことは一度もなく、そして私の人生に大きな違いをもたらした。
You can’t connect the dots looking forward;
you can only connect them looking backwards.
So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.
You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever.
This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.
アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズが、スタンフォード大学の2005年の卒業式で行ったスピーチの中の一節。
スティーブジョブズの56年間の一生の出来事を56個の点で表し、それらを繋げていくとアップルのロゴが完成するというビジュアルを考えた。
3
一期一会
日本のことわざ
私たちが一生で出会う人数は約3万人とされている。
誰といつ、出会うのかわからないし、いつ別れがくるかわからない。人との関わりは常に流動的なものだ。
常に移り変わりゆく人間関係の全てに感謝しようという意味をもたせた標識のようなシンボルを制作した。
4
「目的地」というのは決して場所であるのではなく、物事を新たな視点で捉える方法である。
A destination is not a place, but a way of looking at things from a new perspective.
ヘンリー・ミラー
Henry Miller
日常から抜け出し、既成概念にとらわれなくなった時、私たちは視野が広くなる。目的地の美しい景色と出会ったとき、新しい視点が見つかるかもしれない。
5
不可能な事なんてない。言葉それ自体が言ってる、私はできるってね!
オードリーヘップバーン
オードリーヘップバーンの残した言葉を率直に表すために、プリントされた文章にペンで細工を加えるビジュアルを考えた。Iとmの間に点をつけるというウィットの効いた視覚化で、より意味が伝わりやすくなっている。
6
千里の道も一歩から
日本のことわざ
日本で慣れ親しまれていることわざである。
どんなに長い道のりでも、一歩一歩着実に進めていけば、必ずたどり着ける、という意味がある。一歩が積み重なったビジュアルを表現することで、一歩ずつ着実に進めていくことの大切さを伝えている。
7
ギブ・アンド・テイク
give and take
英語のことわざ
ギブアンドテイクには、お互いに支え合う、という意味がある。本作には、りんごを受け取り、そのりんごを調理したアップルパイでお返しをするというストーリーが含まれている。プラスアルファを上乗せして恩を返したり、お互いがハッピーになる関係性を投影している。
8
深く愛することのできる者のみが、
また大きな苦痛をも味わうことができるのだ。
Only the person who can love deeply can also taste big pain again.
レフ・トルストイ
Lev Tolstoy
愛は痛み
恋愛は難しい。互いに想い合っていても、感情が上回る方は時に苦痛を感じてしまう。深く愛するほど、その分深く傷を負うことにもなるのだ。
しかし痛みを伴うほどの感情がある恋愛は、相手が自分にとってかけがえのない存在であることの証である。
一枚目では苦痛を伴うほどの思い焦がれる恋心を、ハートの形の紙が燃えてなくなってしまう瞬間を切り取ることで表現した。
2枚目では、切なく悲しい恋心をハートの形に変化した涙で表現した。
9
かけがえのない人間になるためには、
常に他人と違っていなければならない。
To become irreplaceable, you must be dif ferent from people.
ココ・シャネル
Coco Chanel
孤独
周囲の批判を気にせず、自身の信念を貫き通すと、孤立していく場面がきっとある。それは、孤独を意味してしまうかもしれないが、大勢と同じことをやっていては大勢と違う存在にはなれない。
10
すべての出来事には意味がある。
生きていくことは、その意味を理解すること。
All events have a purpose.
The job in life is to understand the meaning.
スザンヌ・サマーズ
Suzanne Somers
答えと理由
答えには理由が必ず存在する。
一方向からのみで判断すると、なかなか理由は現れない。しかし多方向から探っていくと、理由が現れてくるものだ。
Yesか、Noで判断するのは浅はかだ。その裏に隠されたエピソードを知ってこそ、答えを下した本当の理由が理解できる。
11
どんな行動にも、必ずそれと等しい反対の反応があるものである。
To every action there is always opposed an equal reaction.
アイザック・ニュートン
Isaac Newton
done or never done
何かをやるということは、何かをやらないということだ
人生は選択の連続である。どんな行動にも必ずそれと等しい反対の反応があるように、物事には作用反作用の法則のような二面性が存在する。
例えば、誰かと結婚するとしたら、それ以外の人とは結婚しないことを選択することになる。
当たり前のことだが、私たちは他方を見落としがちである。
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