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From the Cradle To the Battleyard〜揺り籠から戦場まで
第11話 プライド The Pride.
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真田 海衆(サナダ カイシュウ)
ロシア連邦リトルプーチン経済州出身
ー日本人の父とロシア人の母の元に産まれる。近代日本の租・勝海舟を尊敬する父に名付けられた。ー外交官としてロシアに滞在中の父が現地の娘と結婚、そして出来た子であった。 学問好きで言語学者でもあった父に似ず、ケンカ好きで我儘放題、子供ながらに現地では『アジアのラスプーチン』と呼ばれていた。
海衆が12歳になる頃、外交官の父の役務も終わり、帰国し実家のある北海道へと移り住んだ。
そこで彼は初めて自分と同じ日本人ばかりの村社会を経験した。
それは彼に良い影響を及ぼした。理由の無いケンカはしなくなり、学問にも励み始め、ゆくゆくは父親と同じ外交官への道を歩もうという夢も出来た。
ーそんなある日、痛ましい事件が起きてしまった。仕事帰りに居酒屋で飲んでいた父が酔っ払いに殺害されたのである。
父はその日、後輩を労いの為肩張らない居酒屋に誘った。
ー呑み始めて1時間程経った頃、後輩はトイレに行き、戻って来る際うっかり何かに蹴つまずき、ある男の飲み物をテーブル上にぶち撒いてしまったのだ。
すぐに謝罪したが、その男はかなり酔っており、表に出ろと後輩に執拗に絡んできた。
父は何とか怒りを収めようと間に入った。しかし怒り心頭の酔っ払いはそんな父を思い切り突き飛ばしたのだ。…運悪くその男は現役の格闘家だった。
…仕上がった格闘家の力任せの突きを受けた父は元々心臓に問題があった上、よろめいた先の石畳の階段で頭を強打した。
全く不運としか言いようがない偶然が一度に複数のレイヤーで父に襲いかかった。
…そして間もなく父は幽明境を異にした。
海衆が父の死亡を知った時、既にその格闘家は姿を消していた。
ー恐らく近所を拠点とする軍がアウトソーシングしている武術インストラクターなのだろうという事は予想が付いた。が、軍の圧力なのか証拠も目撃者も無く、父の後輩もその日を最後に退職、行方不明となった。
訃報を受けた母は寂しさの余り深酒と奇行を日常的に繰り返す様になり、夫の死の通知を受けてから1年程経ったある日、彼の後を追うようにして湾内メトロに飛び込み、自死した。
サナダはこの頃から仇討ちの為、しばしば格闘家を襲撃する様になった。
しかし相手は当然プロ、毎度酷い返り討ちを受けていた。
そして、いつもの様に奇襲が失敗に終わり重症を被ったある日、襲撃相手の朝倉流マーシャルアーツ始祖/朝倉 悔に事情を聞かれ、他人には初めて自身の身の上を話した。
するとサナダは朝倉にこう告げられた。
“格闘家に勝つのは結局格闘家だ。お前が成るべきはお前が大嫌いな格闘家だ” と。
この日から格闘家/朝倉一門の弟子となり、その後は類稀な才能で数年で師範・悔と肩を並べる腕前になった。
ーしかし道場破りという名の、武器を使った他流派への襲撃を何度も繰り返し、謹慎を受けるも行動を一向に改めないサナダに対して悔はとうとう破門を通告した。
ーその後サナダは仕事もせず、仇を探しながら格闘家を襲っては金銭を強奪して全国を放浪していた。
しばらくして彼は自身の襲撃を動画にし、父殺しの犯人へのメッセージとして公表する事を始めた。 何らかの情報が得られると考えたのだった。
しかしそれは思いもよらぬ方向に振れた。
無関係な一般大衆が反応したのである。襲撃動画は大いにバズり、その後の動画の再生数も大きく回転した。配信サイトのみならず、TVCM、公共放送での年末特番などに取り上げられ、『サナダ』の名は日本中に知れ渡った。
しかしサナダ本人はいつまでも苛立ちを募らせていた。いくら有名人になっても親の仇の情報は皆無だった。 そして格闘家としての名を馳せてから丁度3年経ったある日、忽然と世間とメディアから姿を消した。
ー長い月日が流れた。
浮世から消えたサナダ カイシュウは40年後のある日突然、新日本軍に入隊してきた。
同期達は格闘家たる実力をまざまざと見せつけられた。
『やはり本物のサナダだ。』
『…凄い。』
『彼は別格だ。』
否応にも自分達との差を意識してしまう。
実力と戦闘センスは教官達をも凌ぎ、
いつしか訓練兵の中でサナダは憧れを通り越し、神格化されていった。
…そこにひょっこり現れたのがマエダだった。サナダを知らない男。
まさか舐めていたとはいえ、技を遮られた上に発言にも逆らってきた。
(…お前は一体何なんだ?)
ーその挙句あの日マエダに言われたあの言葉。
…サナダが自分を表すのに1番否定したい言葉。
…しかしこれ以上なく芯を喰った言葉。
『可哀想な人』 だった。
この一言でサナダの良心は吹き飛んだ。
父を亡くしてから今までのこの50年をまるっと否定された気分だった。
(…私の何を知っていると言うのだ!!)
…悍ましい。
マエダが生き続ける事は自分の人生を否定され続ける様なものだ。
(やはり私はお前は生かしておけない。私はこの先も、信念の元、父殺しの犯人を探し続けるんだ。)
(たとえ私の人生そのものが復讐で終わったとしても…)
--------- 現 在 ---------------
(唸る兵士達)
木戸) 「ゴロはーん!落ち着いてー!」
マエダ) 「ハァ、ハァ、ハァ…」
サナダ)「…では。決着を付けましょう。」
(通信終了)
GPS特定出来ず。
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