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太陽がサングラスかけてるくらい自意識高い


元来、ぼくは自室で机に向かい没頭して作業をすることが苦手で、勉強や趣味に没頭したいときは少し雑音のある環境に身を置くことにしている。

図書館やカフェ、コワーキングスペースがこの筆頭だ。

ぼくが没頭する場所は、家の近くにあるカフェにすると決めているが、このカフェには多種多様な人物が訪れる。

特に夜21時を過ぎるとレジ前には行列ができ、若者の客足は収まることを知らなかった。こんな夜更けにココアかよ。


ある程度の雑音なら許容範囲内だが、ここまでくるとスラム街並の溜まり場へと変貌を遂げていた。

ぼくは、窓側の席に座りスラム街へと背を向けるように窓側の席から見える景色に恍惚の表情を浮かべていた。外には多種多様な車が乱雑に駐車しており(実際には白線に沿ってきちんと整列している)、なんだかこの五月蝿い場所を表しているようだった。

外車、国産車、車体の低い車、なんだか屋根がない車、真っ黒いワゴン車

海が綺麗に見えるパーキングエリアに泊まっている車かってくらいに、車自慢の猛者たちが集まっていた。

素人目にみても”高そう”な車に乗りたい・乗っているという価値観にぼくは憧れを抱くことはなかったし、今後も無いと思った。自分の社会的地位を押し上げたいと感じお金を価値の産物に等価交換して得た鉄の塊を乗りこなしたいという感覚は、どこから現れるのだろうか。21時も過ぎているというのにレジに並ぶその手にはテイクアウトしたホットコーヒー、もしくはなんとかペチーノの往来。

駐車場。

街灯の足元に集まる人影や、テラス席に座るカップル。なんだが居心地が悪い気がしてきた。こいつら、陶酔しきっている。いつまでほっつき歩いているんだ。

するとそこへ、一人の外国人がやってきた。数分するとまた一人また一人と外国人が円卓に集まってきた。多国籍が円卓を囲い首脳会議か株主総会と疑う勢いでメンバーが揃っていた。

なんだみんな仲間だったのか。

外灯が照らしたあの子の顔も、テラス席に座る恋人たちの顔達にも全部に笑顔が灯っていた。

なんだまたかよ

「あいつもこいつもなんだあいつらは」なんて思っているのはいつも一人の時だ。ただの嫉妬。群れることが嫌いでだだ一人が好きなんですーなんてのは御託でしかないのかもしれない。

自意識の中では外界に目を向けているはずなのに、視野が広いつもりのだけの勘違いで、ぼくはただ自分を斜め後ろから見ていただけだったのか。いつの日も、他人を見ていたのは僕の方だった。見られることを恐れ見ることも放棄した僕の手では、もう年齢を重ねないとこの病気は治らないだろうな。。。

帰宅してすぐ、熱々のシャワーを浴びて熱々のコーヒーを飲んだ。勢いよく流し込んだせいか喉元がキリキリと傷んだ。


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