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世界の始まり

恥の多い生涯を送って来ました。

何処かの名作のような書き出しだが、
人間が成長する過程で「恥をかく」のは必要な事なのだと自分の人生を振り返って思う。
長く続く人間関係の上で恥をかくのはとても引きずるが、
旅先の一時的な人間関係で恥をかくのはその場限りで、
その恥を繰り返さないように生きていく事で成長するのだと思う。
旅の恥なら掻き捨て。

そんな「恥」をたくさん経験して来たのが「下北沢」と言う街で、
その中でも「下北沢GARAGE」と言うライブハウスは20代の自分が多くを過ごした場所だ。

自分は北関東の田舎に住む。
だから下北沢と血縁関係はない。
だが間違いなく自分の育った街、自分を育ててくれた街だ。

2017年 下北沢一番街
2017年 下北沢駅前

2021年12月31日をもって下北沢GARAGEは閉店した。
2022年1月12日に書いている今現在も実感はない。

客として最初に訪れたのは2012年2月26日PPEETTRROOLLZZ vol.3だった。
それをきっかけに多くの音楽家たちと出会い、ライブに通い、
また知人たちの主催するコピーバンドイベントでステージに3、4回立たせてもらった。

20代、自分は逃げ場所が欲しかったのだと思う。
今では考えられないが、県外に出る事も難しかった。
下北沢は逃げ場で、調子に乗った自分は友人を巻き込み徹夜をしたり、たくさん迷惑をかけたりした。
本当に思い出したくないし、忘れてほしい事もたくさんしてきた。
最初に長く続く人間関係で恥をかくのはうんぬん書いたが、
その頃の友人たちとは10年ほど続いている。
よくあんな人間と仲良くしてくれるものだ、と本当に申し訳ないし感謝している。
自分だったらあの頃の自分と友達にもなりたくない。
本当にみんなすごい。

2018年くらいまでは下北沢によく行っていたと思う。
段々行く機会も減り、2019年8月を最後に下北沢GARAGEへも行かなくなった。

が、2021年12月にGARAGEの閉店が発表され、久し振りに下北沢を訪れた。
工事中だった駅前の開発が終わり、
庭のようだった下北沢で軽い迷子になった。
それでもGARAGEに行けば知っている顔に会う。

2017年下北沢GARAGE
2017年下北沢GARAGE

この記事に載せている写真は2017年にフィルムカメラ(PEN EEDとメモしてある)で撮影したものなので、技術の拙さからブレも多い。
だけど自分が一番通った頃の姿を写している。

決して美しい思い出ばかりではない。
思い出すと死にたくなるような事の方が多い。
だけど、この場所がなかったら、自分はこうして生きていただろうか。
そう思うほど自分の人生において重要な場所だった。

最後となった2021年12月26日の「カラオケ」も友人たちにまともな別れも告げずに帰った。
顔見知りの演者とも言葉を交わさなかった。
20代の、人と繋がらなければ、と必死な自分はもういなかった。
どうせ、何処かでまた会える。

2021年12月26日

「終わりが迫らなくても常に今は美しい」
下北沢GARAGEで出会った、自分の世界で一番かっこいいバンド、FoZZtoneの曲だ。


これからもいろんな場所で恥をかいて、傷ついて、成長していく。
自分を奮い立たせ、支えてくれるのは下北沢GARAGEをきっかけに出会った音楽たちだ。
本当に大好きで、感謝している。

「世界の始まりに 君を送り出そう」


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