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あたまのなか@本

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読んだ本の感想や書評について書いています。1冊読んだら、1つ書く。
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#感想

ジェンダー差別は”ごく自然に”ー。『82年生まれ、キム・ジヨン』

最近読んでよかった本が「82年生まれ、キム・ジヨン」だったと、ある人が言っていて気になっていた。偶然、お目当ての本がなく、今すぐ読む本が欲しかったわたしは、この本を書店で手に入れた。 ”ごく自然に”散りばめられたジェンダー格差 ジャンルで言えばこの本は「フェミニズム」だが、小説の文体で文中の注釈に韓国の社会背景が書かれているので、文化の違いを理解しながら読み進めやすい。 韓国社会におけるジェンダー差別について、キム・ジヨンの出生、進学、就職、結婚、出産、子育てなど、彼女

パリでメシを食う

「東京から出て地方か海外で暮らしたい」。 そう言っている私にピッタリな本を、Twitterでくりこさんって知り合いが紹介していて、読んだのだった。 海外で働く、海外で暮らすというのは一見華やかなようにみえる。しかし、そこにはたくさんの苦悩と努力があった。「働く」「暮らす」って言葉じゃ伝えきれない生々しい人生が描かれている。まさに「メシを食う」感じ。 それぞれの物語を垣間見ることで、自分の自分の生き方を考える作品だった。長年の自分の意思を持ってきた人もいれば、川の流れのよ

佐渡の三人

だいぶ前に、佐渡の三人を読んだ。 たまたま書店で見つけ、気になっていたけれど買わず、翌週の佐渡ヶ島に行く前に再度書店に足を運んで購入した。 家族の形っていろいろなんだなぁと思った。 家族、愛人、子どもと仕事と自立、そんな人間模様が嫌味なく、どろどろせず、書かれている作品だった。 自分の骨はどこに埋めたいか?も考えるね。

「ときめく」ことだけをし、”子ども”のように生きる。

「とにーって、いい意味で”子ども”だよね。」 友人にそう言われた。彼いわく、”子ども”とは、やりたいようにやっているって意味らしい。どうやら私は、本能のままに生きているように見えるようだ。 この本に”子ども”になるためのTipsが載っていた。 そのTipsとは、『するのが「うれしい」ことだけをする。』ことである。『「愛されようとすること」を、やめてみる。』の小見出しのなかにあった。 『するのが「うれしい」ことだけをする。』とは、こんまりさんの言葉で言えば、「ときめき」

日本にいる時間は”トランジット”!『休み方改革』

リーマントラベラー東松さんの『休み方改革』を読んだ。 そこで印象的だったのは、「日本にいる時間をトランジットとして捉える」ことだった。 私も田舎や海外に行くまでの時間をトランジットとして捉えよう! 次の楽しみごとのイベントや旅行までは、東京でトランジットしているんだ~と思って生活してみようと思う。 今の時間も、デンマークに行く前のトランジット期間としてとらえてみる。

「しっかりしている」と言われるのが嫌な理由

以前、「しっかりしているね」と言われるのが嫌いなことを書いた。 多分、この理由は、「しっかりしなさい」って子どもの頃母に言われたからだと思う。 「お姉ちゃんなんだからしっかりしなさい」 「出先なんだからしっかりして」 20歳になる弟が、先日、母親に向かって、「相当オレを甘やかして育てたよねぇ?美沙(私)に結構ひどいこと言ってたよね。」って言ったらしい。 笑いながら、弟って母親と姉のこと、そう見てたんだ〜と思ってしまった。 どこか、心のなかで”しっかりしていなきゃいけ

発酵の「民族誌」〜発酵文化人類学〜

小倉ヒラクさんの『発酵文化人類学』を読んだ。 発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ https://www.amazon.co.jp/dp/4863241127/ref=cm_sw_r_cp_api_i_DktPCbFE0MGRB きっかけは、ぬか漬けをはじめたことだった。 結局最後まで読まなかったんだけど、二日酔いの原理がわかってよかった! 私は社会学を専攻していたけど、ゼミの教授が文化人類学も専門だったから、よく受けていて、楽しかった記憶が蘇ってきた。

「普通がいい」という病

『「普通がいい」という病』を読んだ。 やぎぺーさんのツイートを朝見て、出勤前に購入。 心と頭、主観と客観などがよくわかる1冊だった。現代には頭>心の人が多いとか、死ぬことは眠ることと同義だ、とか。 マジョリティとマイノリティの話では、マジョリティは大通りを行くが、マイノリティは小径を行く、という表現で表されていた。 「皆が行っているからそれでいいんだ」と大通りを歩く人は、自分自身で判断をしていないし、そもそもこの道がどこに行くかもわかってない。そういう意味で自分の

なりたいのは「モバイルボヘミアン」

端的に言うと、私は「モバイルボヘミアン」になりたい。 モバイルボヘミアンとは、副題の通り「旅するように働き、生きること」である。ノマドワーカーの一歩先。デジタルデバイスを駆使して、生活と仕事の垣。根なく暮らすことなのだ。 フットワークが軽い性格だ。 あまり先の予定は決めたくないし、世界中のいろんな景色を見たいし、その時のわくわくを大切にしながら生きたいし、身軽でいたいし、自分が大大大好きなものに囲まれて、大大大好きなときめく自分でいたい。 巻末の言葉に動かされた。

過去をリブートし、進みたい方へゆく。

メグ・ジェイの『逆境に生きる子たちーートラウマと回復の心理学』を読んだ。 英語のタイトルは"Supernormal”なのだが、この本では、家庭内暴力や親のアルコール依存性、育児放棄、両親の離婚、わいせつ行為、誘拐など、何かしら「逆境」のなかに生きつつも、それを乗り越え、成功を収めた人たちのことを「スーパーノーマル」と呼んでいる。 スーパーノーマルが持つ力は、レジリエンスの力に近い。この本では、子どもたちがそれぞれの「逆境」をどのように感じ、どのように世界や物事をとらえ、ど

人は仮装しながら、仮想の人生を生きている

はあちゅうさんの小説『仮想人生』を読んだ。 前半は重くて暗くて、朝に読むものじゃないな、と思ったくらい。登場人物たちがTwitter上で生きる「仮想」の世界は、色がない世界にみえた。後半かけて物語に色がつき、最後は温かみを感じる物語だった。 登場人物の描写から伝わってくるのは、虚無感、寂しさ、孤独、人には打ち明けられない秘密、受け入れたくない事実などなど…。見たくないものから目を背けるために、自分を守るために、人は仮装しながら、仮想の人生を生きている。Twitterの裏