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DIY素人が始めたフドウサン会社が、DIY賃貸の管理戸数で日本一になったこと。

omusubi不動産は小さな会社ですが、おこがましくも2つ日本一になったことがあります。

ひとつはReal Estate Agent Awardという、全国の不動産会社の取組を発表する大会(不動産屋のM-1グランプリみたいな大会だと思っています。)でグランプリに選んで頂いたこと。

もうひとつはDIY賃貸物件の管理戸数が日本一だということです。
(全宅連Oさん調べ。だから信頼してます。)

今回は僕たちがどうしてDIY賃貸物件に力をいれているのかお話しさせてください。

とにかくDIY賃貸物件に住んでみた

そもそも僕はDIYが得意ではない。

だけど農家のおじいちゃんちが古民家だったから古い建物は好きだし、暮らしに必要なものをDIYする農家のライフスタイルを本質的だと尊敬している。
※このお話しは前回のnoteで書かせて頂いたのでよかったらご覧ください。

20代の後半は、とにかくDIYにチャレンジしてみたくてボロボロの家(失礼!!)をお借りして改装しながら住んでいた。(同時に田んぼも始めた)

自給ハウスと勝手に名付けた物件で、今もomusubi不動産の管理物件として扱わせて頂いている。

僕がこの家でどんな暮らしをしていたかは、前職時代にコロカルさんに書かせて頂いてるので、こちらをご覧頂ければ幸いです。(めっちゃ懐かしい!!)

要約すると、房総半島に住んでいた時に偶然出会った自給力MAXの佐野さんというお百姓さんが、たまたま松戸出身でセルフビルドで建てたアパートがあり、お借りして改装しながら住んでいるうちに愛着が生まれすぎて、結婚して奥さんに「普通の家に住みたい」と泣かれるまで暮らしていた家の話しです。

改装しながら住むことで得た、失敗力

元々、手先が器用な方ではないので、そもそもきれいなDIYはできない。だから、なるべく手を抜いたDIYをしようと思っていた。

そこでたくさんの失敗をした。

赤水が凄いので洗面台の水栓を取り替えようとして、元栓を閉めずに取り外したところ、噴水状態になってしまったり、

ベランダのひさしが汚れてるのを取り替えようとして付ける順番を間違え、最後はベランダから乗り出して落下しそうになりながら取り付けたり、

クロスを剥がしたら、下地がボロボロすぎてめんどくさくなって上から漆喰塗ってごまかしたり。

解体した石膏ボードの処理方法がわからなくて困ったこともあったし、トイレの床はベニヤを置くだけという超簡単な仕上げで満足しちゃったし、キッチンにカッティングシート貼ったら、思ったほど「なんていうことでしょ〜」(ビフォーアフター)にならなくて笑ってしまったこともあった。

そう、大体が失敗している。だけど満足できた。

「俺で大丈夫なんだから大体の人はDIYできる」

これがDIY物件を取り扱いできる決定的な根拠になっている。

下手くそでも手を動かすことで、家の構造がわかるし、失敗してもなんとかなるのがDIYだと、変な自信を持って言えるようになった。

今や当たり前になったDIY賃貸

もはや使い古された言い回しになってしまうが、これまでの物件の価値は、立地&建物スペックという定量でしか評価されてこなかった。

それが東京R不動産の登場により、改装できるとかレトロでいい感じといった感覚に沿った物件紹介が爆発的な人気になったことで、定性的(感覚的)な部分にも価値があることが認識された。

(そういえば、omusubi不動産の第1号物件は、改装可能という要素ではなくて、オーナーさんが最高だということを全力で推している笑。)

特にDIY・改装可能物件はこの10年で急激に一般化してきた。

元々は東京R不動産やDIYPなど、個性的な物件を扱う不動産サイトにしか掲載されていなかったが、今ではアットホームやSUUMOといったポータルサイトでも検索できるようになった。

内装費をかけずに投資コストを抑えて貸し出せるという貸主のメリットと、好きに改装できて安価に借りられるという借主のメリット。

お互いにメリットもあるし経済的にも合理的、掲載サイトも増えた。だけど実際にはまだまだ増えていないのが現実だ。例えば2020年5月8日現在、SUUMOに掲載中の千葉県全域のDIY可能物件は18件。僕たちのサイトに掲載している松戸市内のDIY物件より少ない。

DIY賃貸の「管理」こそ、大事。

認知が広がっているのにどうしてそこまで広がらないのか。それはDIY賃貸物件の「管理」をできる会社が圧倒的に少ないからだ。DIY可能物件を借りたい方々は、スペックを求めていない。

「自由度」

を求めている。必然的にご要望や調整ごとも多くなる。そして少なくともomusubi不動産のDIY物件を借りてくださる方は、サラリーマンよりもフリーランスの方がとても多い。

DIY物件に対する一般的な不動産屋さんの感覚を少々ストレートな表現をさせて頂くとこうなる。

安い賃料の物件で収益になりずらく、大企業に勤めているという説明しやすい仕事ではない方がお客様になり、あらゆる要望をされる物件。

物件の管理をするために、お客様も管理してきてしまった業界なので、物件を管理するために、お客様の要望をお聞きするというサービス業で当たり前ことに慣れていない。

しかもオーナーさんが困っていない場合は、よくわからないし面倒が起きてしまいそうという印象になってしまうため、少々の経済的メリットではOKを頂くことも大変だ。その気持ちは僕もよくわかる。

だからDIY向きの古い物件を扱っている地元の不動産屋さんは、わざわざDIY物件の管理をやらない。

なので老舗の不動産屋さんから、僕たちにDIY物件として扱ってほしいとご紹介してくださることもある。これはとてもありがたいことだし、新旧の不動産会社のひとつの共存スタイルになったらいいなと思っている。

DIY賃貸を借りてくれる方は、夢を与えてくれる。

DIY物件の借主さんには、アーティストやクリエイターなど「一芸」を持っている方が多い。物件を自由に使うことができれば、そこはやりたいことを実現できる舞台になる。

これまでたくさんの方が、その舞台から自分の世界を築いていく姿を、僕は見せてもらってきた。

今では世界的に活躍をしているグラフィティアーティストもいれば、著名な現代芸術賞の大賞を取った同い年の絵描きもいる。一緒に貧乏していたタケシは気がつけば海外で賞を取るほどの人気デザイナーだ。

たった3坪の超イケてる飲食店マスターになったフードアーティストのご夫婦や、自宅で始めた食堂イベントを発展させて人気の古民家カフェを開いているお母さんもいる。

千葉のいいものを取り扱うセレクトショップ、シェアする本屋やブックカフェなど新しい発想のお店を始めた方もいる。

美術家と名乗る決心がついた若手アーティスト、愛情あふれるご夫婦の自転車屋さんとカフェ、コーヒーに向き合って丁寧なサービスを続けているバリスタのママと支えるご主人、木工に長けている建築家さん、芸術的デザインをする設計士さん。

出産というライフスタイルの変化があってもお菓子を焼き続けている方もいるし、アンティークやアウトドアに精通してお店をやっている方もいる。ナース兼アーティスト、家をいじりたすぎてボロボロなマンションを超絶おしゃれ空間に仕上げた女の子。

ああ、全然書ききれないし、本当にみんな凄い。

そこから有名になるかどうかではない。物件が自由に使えるだけで、自分の欲しい暮らしをしている方がたくさんいるし、不動産屋はそれに貢献できるという事実こそ大事だ。

僕は物件管理とは、建物の維持管理だけではないと考えている。

オーナーさんと入居者さん、街やご近所さんを含む周辺環境との関係性をゆるやかにデザインし、お互いに長く続く状態にすることが、本当の物件管理だと思っている。

自由に使えるDIY物件が増えることで、僕にはないたくさんの才能を持った方が、自分が住んでいる街に来てくれる。

どなたかが物件を借りてくれる度に夢を与えてもらっている感覚が僕にはある。それは、本当に嬉しい。感謝しかありません。

だから僕らは、これからもDIY賃貸物件の管理をしていく。それは誰よりも、僕のためなのかもしれない。

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