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011 問う② 6W1H

前回に続けて “問うスキル”(質問スキル)をさらに深掘りします。とくに前回ご紹介した「オープン クエッション」を中心にご紹介します。

オープン クエッションを多用する

オープン クエッションは「YES/NO で返事できない質問」、つまり、次の7つの疑問詞(6W1H)を使った質問です。

・when(いつ)… いつから いつまで
・where(どこ)… どこから どこまで
・who(だれ)… 誰から 誰へ 誰を通して
・what(なに)… 何から 何まで
・which(どれ)…(5W1Hに囚われない)
・why(なぜ)…(複数のbecauseで拡げる)
・how(どう)…(+many、+muchで拡げる)

ここにご紹介した通り、when から what までの4つは只の「いつ」や「なに」ではなく、「いつから いつまで」や「何から 何まで」というような “拡がり” を持ったものと捉えることが重要です。せっかくオープンなクエッションで問いかけたとしても、視野を狭めてはその威力は半減してしまいますから…。

レアな共通点を見付ける

さて前回、何を尋ねても「『答え』を返してくれる」ようになるためには相手に心を開いてもらう必要があると書きました。ではそれには何をすれば良いのでしょうか?

いくつか方法はありますが、一番簡単なのは “相手とレアな共通点を築く” というやり方です。仮に初対面であっても、少し話をしたところ、同じ地方高校の出身だと判明すると相手に自然と親近感が湧いてしまうものです。同様に、共通したマニアックな趣味が見つかれば、その話題で何時間でも話ができるかもしれません。だからといって、いきなりそんなレアな共通点が自然と見つかるのは滅多にないでしょう。

ならば、意図的にそれを質問によって見付ければよいのです。

1. 範囲の広い質問を投げかけ、何らかの共通部分を探す
  例: 「ご出身は?」「関西です」「私も関西です!」
2. 質問を重ね、質問の範囲を徐々に狭める
  例:関西 → 神戸 → 区/町 → 学区/高校 など
3. 狭めて違いが生まれたら、範囲を少し拡げてから狭め直す
  例:違い判明 → ご当地話 → 人気店 → 好みのメニュー など

双方が「関西出身」というだけでは、まだまだレアとは呼べません。もし誰にも会わないようなジャングルの中で、偶然出会った二人の会話なら「関西出身」どころか「日本人」というだけでもレアでしょうが、そうでなければ、6W1Hのオープンクエッションを使ってもっと掘り下げる必要があります(そうしないと、何を質問しても答えてもらえるほど仲良くなるのには、かなりの時間を費やすことになる筈です)。

チャンクダウン/チャンクアップ

その掘り下げを専門用語で「チャンクダウン」と呼びます。チャンク(chunk) とは「情報の塊」という意味で、一部の業界ではその塊の度合いを、情報の「粒度(りゅうど)」と呼んだりもします。この「情報の塊=チャンク」を、たとえば「関西 → 神戸 → 区/町 → 出身学/高校 など」のように分解して細かくし、より具体化することを「チャンクダウン」と呼ぶ訳です。

反対に、上記3.の例で行ったように “情報の範囲を拡げる” ことを「チャンクアップ」と呼び、これは「抽象化」に相当します。このチャンクダウン/チャンクアップの流れを図にすると、以下のようになります。

レアな共通点の見つけ方をまとめると、次のようになります。

1. 抽象度の高い(範囲の広い)質問をする
2. チャンクダウンをして、レアな共通点を探る
3. 差異が生まれたらチャンクアップで立て直す

セミナでこの訓練をしたところ、初対面にも関わらず、3分間で「10年前○○駅前の薬局で風邪薬を買っていた」というレアな共通点を持つ二人が見付かったこともあります。うまくレアな共通点を見付けられれば、相手に関わらずそれまで以上に仲良くなれる筈ですので、ぜひ楽しんで挑戦してみてください。

[参考]これまで&これからの記事

法人/個人を問わず、論理思考やコミュニケーションスキル、メンタルスキルなど各種ビジネススキルを、基礎の基礎から分かりやすくお伝えいたします。   (株)トンパニ https://tongpanyi.co.jp/