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ブルースウィルスがナチュラル支援員(旦那の回)

ガラ美さんのお話は
お休みして映画のお話を、、



今日はアマプラで

「マーキュリーライジング(1998年作)」をゆったり鑑賞しました。

この作品は昔、実家のWOWOWで数回見た記憶があり、その時の感想としては、

「自閉症の子がブルースウィルスと悪いやつから逃げ回る、最後少し感動」

くらいの印象だったと思います。


今回久々に鑑賞したのですが、

「ナチュラルボーン支援員の成長映画」

という印象に変わりました。


どんな内容かというと、

9歳の自閉症を持つサイモンが
アメリカ政府の秘密コードを解いてしまい、
命を狙われてしまう。
それを阻止するために、
FBIのブルースウィルス演じるアートがサイモンを守り、機関と戦う

↑ざっくりこんな感じです


"アメリカの国家安全揺るがす秘密コードを
パズル雑誌に載せてしまう"

というおっちょこちょいでは済まされない、
ツッコミどころ満載な所もあるのですが、


作中に登場するキャラがとてもよく、

自閉症のサイモンは

・独語、フレーズを繰り返す
・記憶力が凄い
・くるくる回転するのを好む
・室内へ入るときは"決まった足"から入るこだわり
・目線が人と合わせきれない
・家に帰ったらココアを飲むなどのルーティン
・危機管理が難しい(列車に向かって歩く)
・絵カードに勝手に内容を追加したらパニックする

など
自閉症特有のこだわり、特性が要所で描かれており、 制作した人の

自閉症の特性を知ってほしい

メッセージにも思えました


冒頭にこの映画の感想を


"ナチュラルボーン支援員がでてくる映画"


と述べたのですが

ブルースウィルス演じるFBIのアートは
その一人です


前半はアート自身も自閉症の特性に困惑するのですが、サイモンとのやり取りや行動観察を通して、後半はFBIながら障害児支援員にもなっていくのです。


ナチュラルボーン支援員のアートは
前半からその頭角を表し、いきなり救急車に乗せられ、拘束具をつけられてパニックになったサイモンに対して

「(拘束具を)外してやれ」
「サイレンを、消してくれ」
と救急隊員に依頼し、
絵カードも使って気持ちの切り替えを図ろうとします 

パニックになるサイモンに直接的にアプローチするのでなく、パニックを起こす外的要因に着目する

という、最初からサイモン目線になり、対応してみせます。また、パニックを起こしても決して怒らず、触ってほしく無いものには、

言葉だけでは、伝わりにくい

と即座に判断して、対象物の前に手を出し、ジェスチャーを交えながら NOと視覚的に伝える技を、サイモンとの関わりの中で見つけます。

また、作中のサイモンはお母さんと

「知らない人とは、お話ししない」


と約束をしているようで、
その約束を忠実に守っているが故に、心の距離を詰めるのがとても難しくなっています

なので、知らない人が触ろうとすると嫌悪感を露わにし、大声をあげます


ただ、ナチュラルボーン支援員のアートは
干渉しすぎず、サイモンの様子を観察し、程よい距離感を保ったことで、徐々に心の距離も縮まってくるのです


中盤にサイモンが勝手に
車から抜け出したシーンでも

アートは決して怒らず、
「ドライブしよう」と優しく声をかけます

ドライブ中も
サイモンの要求に対し、

「君はこうしたいんだね」と肯定する言葉を繰り返し、

"お家に戻りたい"という

サイモンの気持ちを引き出します

この頃にはもう

アート児童支援員は完成しています


サイモンに話しかける際には、
近くまでかけより
穏やかな声でスマートに指示を出し、

サイモンも要求にスムーズ応え
とても良い関係が出来ていることがわかります


最後のサイモンとアートが久々に合うシーンでは
より二人の関係性や絆が強くなったことを
より感じられるシーンが見られます。


ナチュラルボーン支援員の成長物語

と勝手に感想づけていたのですが、

この作品には

もう一人、ナチュラルボーン支援員がいます。

それは後半から出てくるステイシーです。

ステイシーはたまたまカフェにいたところに、

アートから
「サイモンをちょっと見ていて欲しい」と依頼された事をキッカケに物語に巻き込まれるキャラクターで、終盤はこのステイシーがサイモンの支援員となります。


ステイシーとサイモンのやりとりの描写は少ないのですが、ステイシー宅でサイモンを寝かしつける際に、

「上着をぬいで→横になって→靴を脱ぐね、右、左」

と淡々と落ち着いた声で語りかけたり、
合間合間に「いい子ね」など、
勇気づける声掛けも忘れません

サイモンもステイシーの言動に対してパニックや気を張る事なくスムーズに指示に従い眠りにつきます。
出会って1日ほどですが、とても良い関係が築けており、作中でサイモンの笑顔が見られるのもステイシーとの場面でした。

おそらくステイシーも
自閉症の子とのやり取り・観察の中から関わり方を見出すことのできる、ナチュラルボーン支援員だと感じました。

この作品でナチュラルボーンの二人に共通するのは

優しく、その人の立場になれることです


ステイシーは自身でも「お人好し」と自覚するほど、優しい心の持ち主です。でないと、ほぼ知らない、ワケありハゲおっさんと自閉症の子を家になんか泊めないですよね。
アートも自身のメンタルコンディションが万全で無い中、一人の障害を持つ子を想い理解しようとする姿には優しさが滲み出ています。

作中に出てきたベテラン看護師さんが

「自閉症は感覚が敏感すぎる」

と言っていたように、

アート、ステイシー二人の滲み出る優しさや安心をサイモンは感じて、心の距離を縮める事ができたのかもしれないですね。


私が児童デイサービスで
働いていなかったら見れなかったであろう角度で
映画が見れました


ちなみに来月4月2日は

「世界自閉症啓発デー」

だそうです。


自閉症を知る機会として

「マーキュリーライジング」


いかがでしょうか?

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