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いちばんすきな場所

いちばんすきな場所へ。

今年が終わるまえに、もう一度。

横浜の山手の石畳を、はしっこまでのぼった先に、港の見える丘公園がある。

その名の通り横浜港が一望できて、左手にはマリンタワー、大桟橋とみなとみらいが、正面にはベイブリッジが、右手には「赤いキリン」でおなじみのクレーンがならんでいる。

大桟橋からみる赤レンガ倉庫や観覧車の風景もすきだけれど、港の見える丘公園からの眺めはどこか他人事で、どこか歴史を感じさせるようで、ふるさとに帰ってきたみたいな安心感がある。

江戸の開国後、外国人居留地になっていた山手の地には、洋館がならび、外国人墓地があり、教会があり、遠くから汽笛の音がきこえてくる。まるで外国にやってきたかのような異国情緒あふれる街並みに、汽笛の音がやんわりと現実感を漂わせる。

公園が見えた瞬間の、この開放感がとてもドラマチックなのだ。

夕暮れどき、港はだんだんと青みをましてくる。ふりかえれば山手に沈みゆく夕日。

この場所から、何百年にもわたって、何人ものひとたちが、横浜港をながめてきたんだなあと、思いをはせる時間がうつくしい。