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つくばにて。

東京駅から高速バスで1時間足らず、下広岡という名のバス停に降りたつ。灰色ロジックの「知らない街」リリースツアーファイナルへやってきた。

ちょうど日没の頃あいで、西の夕焼け空がきれいだ。熱くも優しく包みこむような、赤みがかったピンク色に染まっていて、焼き畑のにおいが風にのってやってくるから、歩いている人はいないけれど人の気配をかんじる。

良い街だ、とおもった。空が広くてきれいで、畑と民家が広がっている。灰色ロジックのいる街だ。

ぷらぷらと散歩をして、会場であるつくばPARKDINERにやってくる頃にはもう、北東の空に一番星がチカチカと瞬いていた。開演の17時半までもう少し。

それから終演の21時半まではあっという間であった。

きょうの出演バンドは

街人
Setimental Boys
necozeneco
Paionia
KOTORI
灰色ロジック

灰色ロジックの呼んだんだから、どのバンドも最高にきまっている。

街人の歌いっぷりは言葉も響いて胸が熱くなったし、Sentimental Boysのスローなグルーヴは心地良い。necozenecoは熱かった。「ゆずれないものを持って前に進んでいけよ」という言葉が胸に突き刺さったなあ。ゆずれないもの。夢。。
Paioniaは渋くて格好よくて、粋だったな。KOTORIは勢いがあってやはり1番盛りあがった。


そして最後にでてきた灰色ロジック。

僕らくらいのバンドがツアーを敢行するのはなかなか大変で、思うようにいかないことがたくさんあった。けれど、今日みたいな日があるのなら、やってきて良かった、あのしんどさはチャラにはならないけれど、良かった。

半田さんはそう言っていた。


わたしは一曲目「知らない街」の最初の一音が鳴ったその瞬間に、ああ灰色ロジックがいちばんだ、と確信したし、すべての曲を、疲れも明日の予定も、なにもかも全部わすれて聴きいった。わたしのすべてが彼らのだす音を吸いこんで、からだじゅうがその音で満たされてゆく。

半田さんの歌い方や語る言葉がすきで、張替さんの弾き方がすきで、深谷さんの叩き方がすきで、ぜんぶ合わさった音楽がすきで、

灰色ロジックの音楽は信じられる音楽だ、とおもった。数ある音楽のなかで、少なくとも彼らの音楽は信じられる音楽だ。

まっさらで、苦しげで、剥き出しな彼らの音楽をわたしは信じつづける。