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一輪のカーネーション

「本日母の日なのでカーネーションをお配りしています」と、スーパーのレジで渡された一輪のカーネーション。今日は母の日なんだって、すっかり忘れていた。


私はまだ“母”ではないのだがいいのだろうか?さりげなく隣のレジを見ると大学生風の女性が嬉しそうにもらっていたので、私も有り難くいただくことに。

そして帰路に就きながら過去の母の日が蘇る。

十数年前、特にこの頃が一番 ”普通の家庭" ではなかった。複雑な思いを抱きながらも、なけなしのお金で花束を購入し、自転車のかごに入れて爆走している中学生の私。母親に渡したときの表情なんかはぜんぜん覚えていないけれど、その花は、玄関の花瓶に自分で生けた。その後、だれも水を変えることはなく、花はポロポロと散っていき、そしてあっという間に枯れた。

せっかく買ったのに、喜んでほしかったのに、嬉しくなかったの?なーんて、誰かに話してしまうと涙が出そうだからギュッと押し殺した感情。


そういえば、今日の夢に母親が出てきた。母親自体が出てきたわけではなく、「母親が自殺した」という認識で。夢って時々残酷で怖い。なぜかお通夜には出ておらず、今日お葬式だけど仕事があるからどうしようって悩んでた。目が覚めた時の不安定な感情と言ったら、もう。

あぁこれもきっと今日が母の日だから。普段考えたりしないけど、たまには連絡してきてってことなのかな。

だから、久しぶりにLINEを送る。


こんな風に思い出せるのは、過去を受け入れられたからって思っていいのかな。こうやって、少しずつ強くなれたら。

トップの写真は今日もらったカーネーション。

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