3行日記 願掛け
大晦日には、毎年のように実家に電話して、母に雑煮に入れる鶏肉の煮かたを聞く。
母が作るのは彼女の郷里の、予め少し濃い味で煮ておいた鶏もも肉をスライスして入れるお雑煮で、鶏肉の煮方はレシピというほどのこともない、簡単なものだけれども、年に1度しか作らないので、覚えていない。
同世代の友人の中には、すでにお母さんを亡くしたり、病気で質問できなくなったりしている人もいる。
来年もまた母に質問できるように、願掛けみたいな気持ちもあって、レシピは覚えないし、メモなどもしない。
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