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認知症の理解〜⑤関わり方〜

 こんにちは、ともぞ〜です。
 これまで認知症の各型について紹介してきましたが、今回は実際の関わり方についてです。これまでお伝えしたように、認知症の症状は多岐に渡り画一的な対応はありませんが、私が経験の中で意識してきたことを整理していきます。

1.認知症と診断された人という側面

 認知症の方と関わる上で、「認知症と診断された人でもある」ことを理解することが大切である。よく「認知症の人も、一人の人として関わるように」と言われる。確かにそれは大事なことで、その方が誰かを不快な思いにさせようとしたり、迷惑をかけようとしているわけではない。医師に診てもらって、医師から認知症であることを伝えられただけであり、それだけで変なレッテルを貼る必要は全くない。でも一方で、認知症と診断された事実についても、しっかり受け止めなければならない部分もある。
 この理由は認知症という診断があるからこそ、各医療・介護従事者の専門性を発揮できるというメリットがあるからである。医師の指示のもとで動く医療従事者は、医師からオーダーを受けてその人の状態、できることできないこと、顕在能力と潜在能力を見極めることができる。この専門的な見解がないと、支援するにしても何を支援して良いか分からなくなってしまう。

2.コミュニケーションの仕方

 認知症の方とのコミュニケーションは、誰もが一度は悩んだことがあるだろう。私も悩みが尽きなくて「何度同じ話を続けるんだろう?」「帰りたいっていうけど、全然うまく説得できない…」などと日々悩んでいた。
 そんな時に参考になったのが、「バリデーション」というコミュニケーション方法。バリデーションとは「認知症の方の言動や行動を意味のあることと捉え、認め、受け入れること」を言う。基本的な態度として、以下のようなものがある。
①傾聴する
②共感する
③誘導しない
④受容する
⑤嘘をつかない、ごまかさない


 また具体的なテクニックとしては、以下のようなものがある。
①レミニシング(過去の出来事について質問し、昔話をしてもらう)
②ミラーリング(相手の動作や表情を真似する)
③タッチング(スキンシップにより、相手の感情に寄り添う)

 これらはほんの一例のため、もし興味がありましたら『一般社団法人 公認日本バリデーション協会』のHPを一度ご覧ください。

 私は以前、帰宅願望が強い高齢女性の対応に悩んでいた。夕方になると「もう家に帰らんと。出口はどこにあるの?」と何度も言われ、その度に対応に苦慮していた。けれどコミュニケーションの仕方が分かってくると、「帰りたいという言動の意味」を考えられるようになり、「なぜ帰りたいか?」「帰ったら何をしたいか?」「誰が家にいるのか?」など、私も「意味のある質問」ができるようになった。その結果、その高齢女性には「家に家事も何もできない夫が一人でいるから、私が早く帰ってご飯の支度をしないといけない」という明確な理由があることに気づくことができた。
 よって、この方にとってより良い対応は「夫に夕方電話を入れてもらい、ご飯を食べている報告をしてもらうこと」であった。

3.まとめ

 今回は、関わり方について具体例を述べながら整理した。対応に正解があるわけではないし、医療・介護従事者一人ひとり大事にしている関わり方も違ってくる。でもそのお互いを理解しようとする姿勢がないと、「認知症って大変だよね」「難しいよね」だけで終わってしまう。理解しようとする姿勢が、お互いのより良い生活になると考えている。


 最後まで、ご覧いただきありがとうございました。

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