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#234【読書】モモ📚~ミヒャエル・エンデ【書評】

この記事では、これまでに自分が読んだ本で『これは本当に読んでよかった』と思う本を紹介したいと思います。

今回は、映画『ネバーエンディングストーリー』の原作者としてもお馴染みミヒャエル・エンデ作の児童文学『モモ』です。

【所感】(内容にはネタバレを含みます)

この本が出版されたのは私の生まれた年と同じ1973年。

今では当たり前となった『ネット社会による情報の民主化』、『仕事における生産性の向上・効率化』、『お受験戦争』等々、いずれも私が生まれた年にはまだ殆ど存在しておらず、その点でこの小説のテーマ(時間)が、出版当時から約50年後の世界を的確に予言している事に驚きました。

舞台はのんびりとしたとある街外れの円形劇場。ここにいつからか住み着いているモモという聞き上手な少女のお話です。

街の人たちは、何かあるとモモのところに行き、そして話を聞いてもらう。そんなノンビリとした時間が流れていたところに…灰色の男たちの集団(時間泥棒)の魔の手が忍び寄ってきます。

街のひとたちは、この灰色の男たちにそそのかされた結果、街全体がとにかく時間効率を最優先した生活への変化していってしまうのです。

確かに私の場合も、子供の頃(1970年代)と比べたら圧倒的に便利な世の中になっています。

電車やバスの時刻表を調べる事も無くなったし、切符を買うために目的地までの料金を確認する事も無くなりました。

電話帳でお店の番号を調べたり、分からない言葉を辞書で調べる事も無くなりました。

乾燥機付き洗濯機、食洗器、ルンバ、Amazon Echo。それこそ挙げたらキリがないくらい時間の節約が出来ているにも関わらず、昔よりも「時間が無い感覚」は増すばかりです。

灰色の男たちは我々の心の中にいる。その事をしっかりと心に刻み、これからも過去と未来の狭間である貴重な『今』をしっかりと生きていこう!改めてそんな風に思わせてくれる素敵なお話でした。

本題とは少し外れますが、現在2歳の育児真っただ中の私にとって刺さったサイドストーリーをご紹介しておきます。

大人たちが時間に追われ始めてこどもと遊ぶ時間が無くなった結果、こどもたちにはオモチャを買い与えて遊ばせるというくだりがあります。

このこどもたちが続々と円形劇場に集まってくるのですが、彼らはみな遊び方を全然しらないというのです。

こどもというのは高価なオモチャが無くても、空想で色々な遊びを楽しむ力を元々持っています。

ところが、高価なオモチャというのは機能が満載で、こどもが空想を働かせる余地が無いため、こどもの創造力を育む妨げになるというのです。

幸い我が家では、今のところこどもの創造力を奪ってしまうほど高価なオモチャは買い与えられてはいません(笑)

時間に追われる事なく、家族でいる時には例えば食事中にスマホで仕事のメールを見たりなど努めてしない様、『今』という貴重な時間を大切にしていきたいものです。


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