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猫はオバケを追い払ってくれるらしいよ。

息子は幼稚園に入園する前、本当によく公園にいた。

私自身も、家ではひたすら戦いごっこをしている息子に付き合うよりも、公園で遊んでいた方が楽だった。だから、なんだかしんどいなと感じる日こそ、お弁当をもって、朝から夕方までのんびり公園で過ごしたりした。


「5時になったらオバケがお出かけをはじめるんだよ。会ってしまったら大変だから、それまでに家に帰ろう。」

私がそういうと、オバケが怖い息子は、急いで帰る準備をはじめるようになった。



すると息子は、「暗い場所=オバケが出る」という風に思ったみたいだ。

だから、家の中でも電気のついていない場所が怖くなってしまった。


ふと、わが家で飼っている2匹の猫、コメとムギが目に入った。





「コメとムギがオバケを追い払ってくれているから、家の中にはオバケは入ってこられないんだよ。」



何気なくそう言った。自分でそう言ったのに、息子の完全に信じ切っている真剣な顔と、近くでゴロゴロしながら頭をポリポリかいている2匹の姿をみると、なんだか笑ってしまいそうになった。


この2匹が、私と息子と旦那さんが寝静まった後に、オバケを勇敢に追い払っているシーンを妄想してみた。夜中にがんばっているから、昼間は疲れてほとんど寝ているのかもしれないなとなんだかしっくりきて、また一人でこっそり笑った。



5時になったらオバケがお出かけをする。
猫たちがオバケを追い払ってくれている。


大人の私が何気なく作ったおとぎ話が、現実とおとぎ話の区別がつかない息子にとっては、真実になっていく。


子供の頃は、現実とおとぎ話が半分半分くらいに混じっていたはずなのに、今や現実とおとぎ話がはっきりくっきり区別できるようになっている大人の私。


区別ができるようになったのはいつくらいだったのかなと考えていたら、小学校低学年くらいの思い出がよみがえってきた。


「パパ、かっぱと友達なんだ。」

父が真面目な顔で、私と弟にそう言った。


おそらく、現実とおとぎ話の区別がつきはじめているけれど、まだまだおとぎ話を完全にウソだとも思っていなくて、「うそやー!」と言いながらも「もしかしたらお父さんは本当にかっぱと友達なのかもしれない」という気持ちも半分くらい持っていた。

結局、大人になってからその話を家族としていたら、ただ父がおもしろがって真面目についてみたウソだということがわかった。


でもこういうの、いいなと思った。



オバケとか、かっぱとか、妖怪とか、
サンタクロースとか妖精とか天使とか
ユニコーンとか小人とか。

おとぎ話は、
なんでもありの世界だ。

本当かウソかはわからないけれど
現実の世界を彩ってくれる。

現実のよくわからないことを
なんだかしっくりまとめてくれたり

現実で生きる私たちに
パワーをくれたりする。



ウソをついてはいけません、と教えてもらったけれど、今私が息子についているウソはついてもいいウソだと思うのだ。

いや、ウソだとも限らない。もしかしたら本当かもしれないし、本当だったらおもしろいなと思う。

いや、本当だと信じることにした人にとっては、本当になるのかもしれないなと思った。



たとえば、5時という時間はオバケがお出かけをはじめる時間だと決めた人にとっては、5時はお家に帰ろうと感じる時間になる。

コメとムギがオバケを追い払ってくれているんだと信じていれば、お家の中ではオバケを気にせずに思いっきりくつろげる。

パパはかっぱと友達なんだということを信じるなら、まだ経験したことのないことを想像する楽しい時間を過ごせる。自分もかっぱと友達になる日がきたら何を話そうかとか、頭が乾いたら死んでしまうなら水辺で遊ばなきゃいけないな、とか、おみやげにスーパーできゅうりを買っていこうかな、とか、そんなどうでもいい想像をする時間は楽しいものだ。


すべてのことは、ウソか本当かなんてどうでもいいのかもしれない。

それを信じることで、自分は楽しいか楽しくないか。それを信じることで、自分の心はホッとするのかしないのか。

そんなようなことを基準に、自分だけの「本当」をたくさん作って生きていけばいいんだと思った。



いつかある程度、区別のつく時がくる。

それまでは、息子の心の中に、おとぎ話がたくさんあふれていたらいいなと思う。

そのおとぎ話たちがきっと、大人になった息子を励ましてくれたり、強くしてくれたり、クスッと笑わせてくれたりすることが絶対あると思うのだ。



今この瞬間も、不思議にあふれている地球で、数え切れない人々や生き物たちが同時にいろんな物語を生きている。

もしかしたらこの瞬間、「行ってきます」と出かけているオバケがいるかもしれないし、お家の猫たちはオバケと戦っているかもしれないし、サンタクロースは朝ごはんを食べているかもしれないし、ユニコーンは水浴びをして楽しんでいるかもしれない。


そんなことをただ想像するだけで、なんだか人生が豊かになるような気がした。



コメとムギの近くで、安心してぐっすり眠る息子をみながら、私はそんなようなことを考えている。

そんなどうでもいいことを考えて、そしてそのことについて、こうやって真面目に書いている。


私の世界は、今日もなんて平和なんだろうかと、にやっとしてしまった。

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