見出し画像

【気になる八尾のあの工場vol.2】コダマガラスさん

*この記事は2023年5月22日に当社のWEBメディア「トモヤスタイムズ」に掲載したものです

こんにちは!友安製作所、新米広報のCyan(シアン)です。
お待たせしました!連載「気になる八尾のあの工場」の vol.2!

友安製作所が拠点とする大阪府八尾市の、ものづくり企業の魅力を発信していくこの連載、今回はガラスの仕入れから加工・販売・施工までを手がけるコダマガラスさんへお邪魔しました。
当社の工務店でも、建具の仕入れなどで大変お世話になっている会社さんです!

お話を聞かせてくださったのは、社長の児玉雄司さん。
会社の歩みから、業界への思い、今後の展望まで、丁寧に語ってくださいました。


株式会社コダマガラス
国内外から仕入れた多種多様なガラス・ミラーの販売・施工を行う会社です。ガラスやミラーのWeb販売を成功させ、ネット&リアル両方を持ち合わせたハイブリッドなサービスを提供されています。


実は、ガラスの仕入れや輸入から販売・施工までを一貫して担い、さらにWeb販売を行うコダマガラスさんは、業界の異端児とも呼べる存在です。
しかもその現場は、八尾の小さなまち工場。そう聞いただけで、何だかかっこいいですよね。

そんな会社を築いてきた児玉社長の「ものづくりへのこだわり」は、「とにかくやってみる」ことだそう。

実際に会社の黎明期からのお話を伺ってみると、その気持ちで積み重ねてきた型破りな挑戦や、ちょっとした作業改良の数々が、会社を成長させてきたのだとわかりました。

まずは、児玉社長の信念「やってみよう」をキーワードに、コダマガラスさんの歴史を紐解きます!


これを無くしては語れない!コダマガラスの3つの挑戦

①Web販売、やってみよう

1978年創業のコダマガラスさん。創業者は現社長のお父様です。

家業を手伝いはじめた児玉社長が最初に挑戦したのが、自社サイトでの販売。2000年代初頭、世間でもインターネットを利用して買い物をすることが一般的になりはじめた頃のことでした。

最初に立ち上げた自社サイトは、児玉社長の手づくりだったそうです。独学でHTMLを学び、商品を掲載し、問い合わせを受けるためのページを設けました。実際に問い合わせを受けるようになりますが、接客の経験もなく、まさにゼロからのスタートだったそうです。

もともとは、建材を必要とする会社さんとの取引のみで販売・施工をしており、それが業界の通例でもあったといいます。しかし一般のお客様へも間口を開いたWeb販売では、施工は担わないため、何に使われるかはわかりません。そんな中でも「うちのガラスが何かになれば」という気持ちでやっていたそうです。

Web販売をすることで最も苦労したのが、配送だといいます。

「ガラス」と聞くだけで、誰でも扱いにくそうなイメージを持ちますよね。簡単に割れてしまうガラスをお客様のもとへ届けるために、初めは木の箱をつくるなど、試行錯誤を重ねたそうです。

この課題を乗り越え、Web販売を強化してきたことが、コダマガラスが業界の異端児であることのひとつの所以です。

②自社輸入、やってみよう

次なる大きな挑戦は、素材となるガラスの直接輸入をはじめたこと。

本来ガラスの業界では、メーカー、卸業者、加工業者、販売業者、施工業者と、多くの中間流通業者が介在するのが一般的です。

コダマガラスでも、輸入商社から仕入れを行い、加工を行なっていましたが、せっかくお客様から依頼を受けても、在庫や納期の問題が後を絶たない状態だったそうです。

「だったら自分で仕入れよう!」ということで、自社での輸入をスタート。

国内に流通していないガラスや、珍しいカラーミラーを取り扱うなど、独自性も追求できるようになっていったそうです。
お客様から届く「こんなものないの?」というお声に柔軟に応えながら、商品数を増やしていくことで、「コダマガラスにしかない」という強みにしていくことができたといいます。

③東京進出、やってみよう

八尾を拠点に、全国へのWeb販売と関西地域を中心に施工を行なってきたコダマガラスさんですが、2021年には東京支店を設立されました。

この挑戦のきっかけとなったのは、コロナ禍によるワークスタイルの変化だそう。

リモートワークや、Webミーティングが一般的になったことで、「社長が本社にいなくても、仕事はできる」ということに気付いたといいます。

コロナ禍の先が見えない情勢の中でも、できることをやってみるという姿勢を貫いたからこその挑戦だと思います。東京支店を設立したことで、現在は関東圏での施工も行われています。

ここまででご紹介してきたコダマガラスさんの挑戦は、ほんの一部。日進月歩で、日々のちょっとした作業の改良から積み重ねてきたそうです。

試行錯誤で色々やっていく中で、「いや!これちょっとあかんかった!」と後戻りしたことも何度もあるけれど、やってみるスタイルだからできることがあるとおっしゃっていました。

驚きの職人技

今回はガラスの加工や梱包を行う現場も、案内していただきました!
工場に入ると、まず私たちの身長よりも大きなガラスの板がずらりと並ぶ様子に圧倒されます。

そのガラス板をクレーンで持ち上げて作業台へ。慣れた手つきでクレーンを扱う職人さんの眼差からも、緊張感が伝わりました。

作業台では、機械を使ってガラスに線を引くように傷をつけていきます。同時に傷口に灯油をかけることで、切った時のゴミを散らす仕組みになっているそうです。機械が止まると、ここからは人の技。機械が描いた真っ直ぐな線に沿って手で力を加え、折っていきます。

パキッという音が鳴り、綺麗に割れるガラス。まるで板のチョコレートを割るように、軽快な動作に驚きました!思わず「どれくらい力がいるんですか?」と職人さんに尋ねてみたところ、「力はいらない」とのことでした。
そう言われると簡単そうに聞こえますが、ガラスのことを知り尽くしているからこそ成せる技だと思いました。

この作業で、お客様からご注文があったサイズ通りにガラスをカットしているそうです。

ガラスや鏡のカットは直線だけではありません。続いて、円形や曲線に沿って切り抜く作業も見せていただきました。

大きなコンパスのような道具を使って、表面に傷をつけます。ペンの先についているのは、ダイヤモンド。大きく丸を描き、傷口に灯油を馴染ませます。「ここからはすぐですよ」と口にした職人さんが、「トントントン」と下から軽く叩くと、余計な部分が落とされ綺麗な円形になりました!

曲線は、ダイヤモンドのペンを使ってフリーハンドで描き、「パッキ」と割って出来上がり。
魔法のような一瞬の出来事に、友安製作所の取材チーム一同、大興奮でした!

このような技術で製造するユニークな形のガラスや鏡は、ホテルや美術館などで使われているそうです。

他にも、切ったガラスを磨いたり、角を落としたりする工程も見せていただきました。

梱包場でお目にかかったのは、どんな大きさの段ボール箱も一瞬でつくれてしまうという装置。
大手の通販会社などに導入されているもので、「この規模の会社が持っているのは珍しいかもしれない」と児玉社長がおしゃっていました。

EC販売を行うにあたり、たくさんの試行錯誤をしてきたという梱包作業。お客様にお届けする商品を守るために、人の手と時間がかかってきたそうです。
この機械の導入によって梱包作業の負担を軽減し、ガラス加工により専念できるようになったといいます。

「中小企業では珍しい」という本格的な装置は他にもあるそうです。2022年には合わせガラスの製造装置を導入し、オリジナルの商品開発にも取り組まれています。

一般的な合わせガラスは、2枚のガラスの間に樹脂製の中間膜を挟見ますが、コダマガラスでは和紙や布を挟む合わせガラスを開発し、デザイン性と強度に富んだ商品をつくっていくそうです!
日本の伝統工芸とガラスを組み合わせた商品をつくりたいと考えており、「今はガラスを輸入する立場だけど、輸出もできるようになりたい」と今後への思いも語ってくださいました。

上質でユニークなガラスを届けるための、職人技と発想力、そして弛まぬ挑戦がつまったコダマガラスさんの工場。その数々に魅せられっぱなしの工場見学となりました!

真面目だから、面白い

児玉社長に、会社のユニークなポイントを伺ってみたところ、「真面目だから、面白い」という答えをいただきました。

建材であるガラスを一般向けに販売し、メーカー代理店から小売店になったり、業界内の商流を無視して直接輸入したり、独自の戦略で歩みを進めてきたコダマガラスさん。

業界の常識や既存のやり方に固執せず、自分たちが面白いと思うようなことを真面目に取り組んでいくというスタイルを貫いてきました。

だからこそ、「真面目にやらないと共感してもらえない」という思いを大切にしてきたそうです。

まだまだ「売る会社」「工事の会社」と限られた範囲で仕事をすることの多いガラス業界ですが、児玉社長は「今のままでは全く同じものしかつくれない」とおっしゃいます。
業界全体が変化し、お互いに自分な得意なこと生かして、連携していけるようになればと考えているといいます。

会社としては、今後は知名度を上げるために、コダマガラスがどんな会社なのかをきちんとまとめて発信していくことを目標としているそうです。

夢は、「日本で一番初めに思い出してもらえるガラス屋になる」こと。
会社の理念や思いなどを社員たちと共有し、「なぜガラスを売っているのか?」から言語化していきたいとおしゃっていました。

とにかくやってみる!というマインドで、面白さを追求していくというコダマガラスさんの社風に、友安製作所の取材チームからは、「うちと似ている!」という声も上がりました。ものづくり企業としてのバイタリティを共有することで、これからも一緒に八尾を盛り上げていきたいです。

八尾は懐の深いまち

工場見学をエンターテイメントにするイベント「FactorISM」や、まち工場の伝える力を醸成するための八尾市のプロジェクト「やおやプロジェクト」などに参加し、八尾のものづくり企業の魅力を発信している児玉社長に、八尾への思いを伺いました。

児玉社長ご自身も、プロジェクトに参加したことで、八尾には「うそやろ?」と思うくらいすごい技術を持った会社が多いことに気づいたといいます。

一般の人にはあまり知られていない分、「縁の下の力持ち」というような印象を持ち、それがこのまちの「懐の深さ」だと感じたそうです。
認知度の低さは一見ネガティブな要素に思えますが、それをまちの個性として捉える言葉から、児玉社長のお人柄が伝わりました。

とはいえ、少しずつアピールもしていけるように、「八尾の中で繋がりを持つことで、八尾の企業だけで”何か”を生み出していけたら良いな」と笑顔で語ってくださいました。

例えば..と、児玉社長が大好きだというサウナの話題に。友安製作所の取材チームもサウナ好きが多数で、その場で想像が膨らんでしまいました!「八尾の力を結集して、サウナができる」なんて日も来るかもしれませんね。

おわりに

今回の取材を通して、ガラス加工の現場に初めて足を運び、その技術を目の前にすることができました。改めて、八尾のものづくりのかっこよさを感じています!

また、「とにかくやってみる」ことで自社の強みを確立してきたコダマガラスさんの情熱と、数々の挑戦を支えてきた環境や状況に対する高い洞察力に感銘を受けました。

日々挑戦をつづけ、「日本で一番初めに思い出してもらえるガラス屋になる」コダマガラスさんから、これからも目が離せません!

コダマガラスさんでは、一般のお客様にもガラスのある暮らしを楽しんでもらえるように、DIYのHOW TO動画や、商品の説明動画をYouTubeで配信されています。

コダマガラスさんに興味を持っていただけた方は、ぜひそちらもチェックしてみていただけたら嬉しいです!

児玉社長、今回はたくさんお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

様々な色や柄のガラスが並んでいました!
曲線で切り抜かれた鏡。最近は韓国風のインテリアとして人気ですよね!
工場の床一面には、「ガラス注意」の文字がずらり!見学者への優しさが感じられます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?