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私SONYが大好きでした。読むのをやめないでください!絶対に面白いから!そんじょそこらの家電好きとは異なる次元の家電好きなんです。
中学生のときはですね、秋葉原にカタログ集めに行ってました。カタログは無料です。電車代だけでいい。対象物買うとなると、中学生はお金ありませんから、何万円もする家電なんて買えません。
今でこそもうほとんどないのかな。カタログの類はネットで調べちゃいますからね。当時まだインターネットもこの世になかったですから。

いろんな家電量販店にいって、カタログを集めてくるわけです。しかもほぼ全ジャンル。冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、ビデオデッキ、ビデオカメラ、いろんなジャンルのものを各メーカーごとにもらってきて、家に帰ってから仕分けするんですね。

テレビ、AV機器とか、ジャンルごとに。そして見るわけです。どんな商品が新しく出てきたか。どんな機能が加わったか。もしくはどの商品が廃盤になったか。

例えばですねソニーの場合ですが、生産終了となると、これ終わりますよっていうマークが出現するわけですね。
となると、もう次のカタログ貰ったときにはその商品はないわけです。つまり、この廃盤直前のカタログはめちゃくちゃ貴重になってくるわけです。
そうしてコレクションが増えていきます。一方で、新商品ももちろん気になります。特に機能がどうなったか。前からの機能は引き継がれているのか、など。それを各ジャンル、製品ごとにやるわけですね。コスパのいい趣味ですよね。なんせ元手かかってませんから。お店側からする、全くお金が落ちないお客さんですけれども。

秋葉原

SONYが世に出してすぐ消えた“迷”商品

そんなことをしているうちに、好きなメーカーというものができます。
僕の場合はソニーが大好きでした。最近ちょっと僕のなかでは残念なんですけれども。

その昔は、ものすごく意欲的な商品をどんどん出してました。たとえば、いま皆さん家の中を見回してみてもらうと、テレビや冷蔵庫、電子レンジなどがあると思いますが、基本的な機能ってのは何も変わってないわけですよ。

テレビは確かに薄型になって画質は良くなったけども、映像を音声とともに出す、という機能そのものには変わりないし、電子レンジもいろんな機能が追加されたいまでもなお、あたためるという基本機能の使用頻度が一番多いと思います。そして冷蔵庫。冷やす機能にプラスして、これまでにいろんな機能がついた冷蔵庫が出てきました。冷蔵庫なのに、ひとスペースだけ天ぷらとか揚げ物を保温できるスペースがあるものや、野菜室に野菜を入れておくだけで野菜が元気になるんてものも。そうした新しい機能がついたものが登場しては消えてきたんですけれども、ソニーという会社はまったく新しいジャンルのものをズラーっと出してくるわけですよ。
だからこそ、ほとんど人目に触れずに消えてしまった商品が、実はたくさんあります。

ターゲット層が不明すぎた双眼鏡ビデオカメラ

僕的に衝撃的だったのは、双眼鏡ビデオカメラ。これはなんなんだ、と。
ジェームズ・ボンドが持っていそうなごつい双眼鏡で、双眼鏡をのぞきながら、ズームももちろんできるんですけれども、動画が録画できる。しかも3 Dで録画できる。ますます訳がわからない。

通常のビデオカメラですら20倍とか30倍のズームは余裕であるのに、何でわざわざこれにしなきゃいけないんだろうか。なんせでかいんです。

どんなにソニーが好きで愛しくて、贔屓目に見ても、全くもってその使用目的がわからない。ソニーが好きすぎて、ソニーの広報さんとすごい仲良かったんですよ。そこで聞きました。これは、誰をターゲットにしてるのか?
そしたら「たしかにそうですね、ちょっと調べます」と宿題持ち帰りになったんですが(笑)しばらくしたのち、答えが返ってきました。
バードウォッチングが好きな人、そのプロとアマチュアの間です、と。
なかなかすごいところを攻めてきたなと。プロじゃないんです。プロにしてはちょっと遊び心がありすぎる。そしてアマチュアにしては高すぎる。
確かに20万近くしていたんですが、高いですよね。さすがに買えないので、貸してもらいました。

やっぱり使い道がよくわからなかったです。しかも、その録画した3D素材をどうしたらいいのかわからない。結論としては、普通のビデオカメラでいいじゃないかと感じました。

そして、これ、一発屋で終わるだろうなと思ったら…後継機が出たんですよ。小型化されたんです。え?てことはこのデカくて高いの売れたんですか?と聞いたら「全く売れてません」とのことでした(笑)
この後継機をもって、双眼鏡ビデオカメラはこの世から消えました。

机から落ちる「踊るスピーカー」

もうひとつ。ソニーが作り出したスピーカーが斬新でした。そのスピーカー、なんと踊るんですよ。

想像がつかないと思うんですけれども、例えて言うならば、トイレットペーパーぐらいの円筒状のもの。2週間ぐらい使った後の薄さくらいの大きさなんですけれども、そのトイレットペーパーの両サイドにお椀のような半円状のふたがついていて、それが音楽に合わせて開いたり閉じたり開いたり閉じたりするんです。しかも、そのスピーカー自体もくるくる回ったりして前と後ろとかに動いたりする。楽しい商品じゃありませんか!

広報さんからプレゼンされたんですけど、その商品がさらにすごいのは、その音楽の波長とかテンポに合わせて踊るんです。激しい音楽なら激しく、ゆったりした音楽ならゆったりと。でも、もっとすごいのは、その商品なんと机の上に置いたら落ちるんですよ!衝撃的じゃありませんか!自分で踊っておいて落ちるんですよ。

SONY rolly

これ机のうえで聞けないじゃないですか!って言ったら、床に置いてください、て。

技術的には落下防止機能を付けることもやろうと思えばできたんですけども、やっぱりそれをつけると高くなってしまうので、泣く泣く外したそうです。

そんな会社なんです、僕が知る限りソニーって、こんなに面白い会社だったんです。

ちなみにフジテレビにアナウンサーとして入社したのち、森下知哉の家電製品NOWというコーナーをCSで持っていたことがありました。家電が好きすぎて、それを知った制作側が作ってくれたんです。家電芸人なんてのが出てくる何年も前の話です。彼らは私から言わせてみると、あんなものは素人です。

そのくらい調べて、調べて、メーカーとも仲良くなって、研究していました。
SONYは新ジャンルを作り出す天才だったんです。消えていったものもすごくたくさんあったけれど。

自分もそんなふうに、やってみたい!と思うことはとことんチャレンジして、トライアンドエラーを繰り返して、そして夢や目標に向かっていきたいなと思っています。

(voicy 2022年4月9日配信)

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