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#59 性を売る時代からの転換期で必要とされるホンモノ体験

今日は「性」についてのお話をしたいと思います。

こんなニュースを目にしました。

「アサヒビールは、全国各地を回って商品をPRするイメージガールの起用をやめると明らかにした。かつてビール大手各社が同様の広告等を採用し、卒業生には、有名な俳優やタレントが並ぶが、他社では廃止も相次いでいる。
消費者の意識が変わる中、アサヒも30年余りの歴史に幕を下ろすことになった」

イメージガール、いわゆる居酒屋などでよく見ますよね。もう今の居酒屋はないのか、ちょっと古い居酒屋。何か水が滴るビールジョッキを持った水着の女性が、ニコッと笑っている、いわゆるああいうポスターで起用されている女性のことなんだと思うんですけれども。

ただ、アサヒビールは2004年が水着は最後だそうです。水着のイメージガールは2004年が最後で、その後もイメージガール自身の起用はしていたけれど、ついに辞めた、ということです。

時代の変化によって、というと簡単なんですけれども、働いてる人たちの構造も変わってきましたよね。ビール、居酒屋はやっぱりビジネスマン、男の場だ、そういった人たちに対しのアピールというのが主だったと思うんです。それで人気が出る、話題になる、あの子が持ってるのアサヒだ、じゃこれちょうだい!そんな単純なのか?と自分で言ってても思うんですけれどもでもイメージはいいですよね。

しかし今、女性がどんどん社会進出を遂げて、しかも加えて会社関係で外でお酒をそこまで飲む時代ではなくなってきた。昔はみんなで「よし行くぞ!忘年会だ!」「送別会だ!」とやっていましたが、もう今はそういう時代でもない。

さらに加えてLGBTとか、いわゆる性を理由にした区別、そういったものはなくそうという流れ、風潮になっている。そういった背景がありますよね。

なぜ野球場のビールの売り子は女の子だけなの?

先日、娘とプロ野球を見に行きました。ビールの売り子さんいますよね。そこからアイドルになった方々もいると思いますが、全員女の子なんです。

そもそも野球にあまり興味がないのですが、会社からチケットをもらったので、だったら娘にプロ野球というものを見せてあげよう、という流れでいくことになりました。果たして興味があるのかな、2、3回くらいで帰ることになってもいいか、なんて思いながら一緒に行きました。

娘は今、7歳。小学2年生なんですが、ビールの売り子に目がいったんですね。で、聞かれたわけです。

「パパ。なんでビール売ってるのはみんな女の子なの?後ろに背負っているのって重いんでしょ?だったら、男の子の方がいいんじゃないの?」と。いや、もうそれはもうおっしゃる通りだなと、そういう目線で全く見てなかったので。

加えてさらに質問があって「女の子じゃないとビールを買ってくれないの?」いやあ、これはなかなか答えづらいところを突いてきたなと。もう本当にまっさらな純な目で見ると、そういう疑問が湧いてくるんだな、と半ば感心すらしてしまいました。確かに「あの子が売っているから」と、そういう理由で人気が出る子いますよね。

でも、それって本来の商品の売り方はとはちょっと違うんじゃないかとすら思うわけです。

ちなみに僕はその時、娘に対しては「そうだね。確かに男の子の方がいいよね。でも、あの女の子たちも自分でやります、と言ってやってるんだよ」と、なんかちょっとうまく答えたのかよくわからない答え方になってしまったのですが、そこで7歳の娘に対して「そうだね。男の人はやっぱり女の子から買いたいんだよ」なんてそんなことは言えませんので、ちょっとごまかさざるを得ない状況になってしまいました。

本来は「このビールだから買う」「このビールが美味しいから買う」そういう目線で商品を見ていくほうが自然なのに「あの子がかわいいから、あの子から絶対買おう」とか、やっぱりそういうのってずれてる気がするわけです。

ではこの先どういう物差しで物事を見ていくべきなのだろうか、どういったものが生き抜いていくのか、勝ち残っていくのか

陽気なCAのおじさん

自分が体験した話なんですが、長らく日本で暮らしていて、出張であちこち行く中で、民間機に乗りますよね。客室乗務員の方はみんな女性。綺麗な若いの方々がいっぱいいる。

ニューヨークに赴任して、向こうの航空会社にのったら、おばあちゃんばっかりなわけですよ。みんなニコニコしてるんだけど、中にはものすごくサービスも雑な人もいたりもして。日本のように若い女性で揃えて、かわいらしい綺麗な制服を着て、というのは、そんなにメジャーじゃないのか、と思いました。

では何で、日本はそうなんだ、と思うと、日本の路線の場合、大阪にしても千歳にしても福岡にしても、あのようなドル箱路線にはビジネスマンがいっぱいあるわけですね。すると、やっぱり綺麗だったり若かったり、なんとなくそういうおしとやかな感じのCAさんたちがいると、ビジネスマンはそっちを選びたくなる。そこに理由があるんじゃないか、とすら思うわけです。

ニューヨーク生活のなかで、カリブ海の島に旅行に行くときに乗った飛行機では、とにかく客室乗務員が陽気なんですよ。黒人のおじさんCAに、僕が「すみません」と手を上げたときに「Hey,Whats up bro?」と聞くわけです。「おー兄弟!どうした?」みたいな感じです。broはbrotherの略です。なんて楽しい感じなんだろう、と思ったと同時に、心がこもってる気がしたんですよね。

彼の性格というのもあるかもしれないんだけれども、サービスとしての本質を突いてるんじゃないかとその時思ったわけです。つまり何が言いたいかというと、今後、最も重要となってくるのは、まさにその商品のクオリティ。そして、それらでいかに消費者の日々の生活を豊かにできるのか。よりそういった本質的なものが求められる時代になってくるのでは、とすら感じました。

表面的なものだけで売っていると、文化は育たないと思うんですよね。極論を言えば、消費されてしまうんです。次から次へと綺麗なもの、かわいいものがどんどん出てきて、前にあったものは忘れ去られていく。つまり、経験、文化、そういったものが積み重なっていかないんですね。次から次へと同じようなものが出て消えてく。

ブロードウェイでミュージカルをみる小学生

ニューヨークに住んでいたときにブロードウェイでミュージカルを観ました。

目の前の席に小学生ぐらいの男の子が座って見ているわけです。マンハッタンに住んでる時点で裕福なんだろうな、とは思いますが、それでも小学生がブロードウェイのミュージカルを見ている時点で、こりゃ日本はかなわないなと思ったわけです。

彼女、彼らは子供のときから本物の文化を見ている。そして次から次へと出てくる、ブラッシュアップされた良いものを見ていく。それで、どんどん経験として蓄積されていく。これを相手にしたらかなわないです。表面的な楽しさだけを追い求めていると。

だから今後、私がすべき子育てでもそうですけれども、本物を見極める目、そしてそれを積み重ねていく日々の生活、そこまでやりすぎるとちょっと疲れてしまうかもしれないけれど、もうそういう時代になっている、表面的なものを追い求め消費していく、もうそれは辞めた方がいい。そういう意識を持って日々生活していれば、より自分たちの経験という意味でも豊かになっていくのではないのかなと思いました。

(voicy 2022年07月28日配信)


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