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マクロ・ コンパクト シティー 化予測

この度、コンペティション「アフターコロナの世界」にて ”鷲田めるろ賞” 9点内1点に選んでいただきました。選定、また議題に挙げて頂き、ありがとうございました。
コンペが終わったということで、作品の内容を説明したいと思います。

□□□□□□□□□ コンペ内容 □□□□□□□□□

.は じ め に
東京から長野県の10万人都市、飯田に移住した途端にコロナウイルスの影響を受けた。ウィズ・コロナという社会の中、露骨に表れた、東京とのモノの考え方の違いとそこから予測される社会について私の視点から問題定義していく。

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.小 さ な 経 済 圏 に 気 づ い た 都 市
飯田市は山に囲まれた都市だ。小丘にまとめられた行政体(通称丘の上)と点在する小集落で構成される都市は、生活面でのコロナの影響を受けなかった。マスクを常備する以外は概ね変わりなく生活が出来たこの都市において、はっきりと見えてきたことは、 元来、極めて小さな経済圏で生活を回していたという事実である。

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.過 剰 拒 絶 す る 都 市
小さな経済で自走できることに気づいた市民は、外からくる者に対して過剰反応を起こした。

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そして今まで都会に対して抱いていたトラウマが、『 田舎的生活の注目 』により、ある種、払拭でき、自らの“強い”小さな経済圏の自信は、パトリオティズムと保守性を強めた。

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.ビ フ ォ ー コ ロ ナ の 根 本 的 問 題
しかし、コロナの前に地方都市が抱えていた根本的な問題は何ら解決はしていない。今後も人は流出し続けるだろうし、空き家も増えていく。都会の方が仕事と娯楽が多く、新しい文化にも触れられるのは確かだ。

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そして、最保守となった地域において移住者など“ 外者 ”の居心地はとても悪い。アフターコロナで移住した者たちは地域コミュニティに居ることを選ばず、新しい移住者コミュニテーをつくるだろう。

.血 眼 に な る 観 光 都 市
壊滅的な影響を受けているのは観光を生業とする都市だ。収入がほぼ消滅した、こうした都市は、徹底したコロナ対策を行い、何が何でも体制を整えた。一方で小さな観光地が点在する、観光を主産業に置かないその他の地方都市は、“受け入れの停止”という手段を用いり、抜本的な対策は行わない。

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.小 さ な 経 済 圏 の 限 界
小さな経済が機能しているのは、まだこの都市に生産力があるからであり、高齢化が深刻化したとき、小さな経済圏は回していけなくなるだろう。

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予1.ウ ィ ズ / ア フ タ ー コ ロ ナ
コロナと付き合うことになったとしても、コロナが消えたとしても、次のそれに備え、対策をとった新しい暮らしと都市像が生まれるだろう。コロナに対する危機意識を皆が持つように、地方都市のパトリオティズムも根強く残るだろうと予測する。それにより、地方都市は対策を打つことなく、小さな経済圏の限界を迎えるだろう。一方で対策を行い、都心との繋がりを残した観光都市は、コロナ後の世界でも経済圏を維持すると予想する。地域のリテラシーにも大きな差が生まれる。

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予2.GO TO す る 都 市
出発地と観光地を結んだ旅行は行動経路を明確にし、過多な関わり合いなくすことができるため、リスクヘッジを取ることができる。ツアー単位での都市間の人の交流が一般化するのではないだろうか。

予3.マ ク ロ ・ コ ン パ ク ト シ テ ィ ー
人口増加で膨れ上がった都市は、人口減少に伴って萎んでいくことはなく、ただ枯れはてて“消滅”していく。高速道路や空港、新幹線と言った交通の充実している都市は“GO TO”し易く高い需要が望める。
交通の便も不便で、需要の望めない都市は都心からの“大きな経済圏”を失いどんどん枯れていく。 末端の都市から養分が不足していき、いつの間にか“GO TO”出来る都市と、それを結ぶ 太い交通網のみが浮き上がってくる。

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太い道沿いにはジェネリックな看板が連なっていく。行き場を制限した都市と都市は、広い視点での極めてコンパクト関わり方をが創るのではないだろうか。これを“マクロ・コンパクトシティー”と呼ぶ。

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最 後 に 
以上が内容になります。通常、この手のアイディアコンペティションは、問題を定義し、それを改善、若しくは良好な環境をつくる何かしらの ”提案” を
行うのですが… 
今回、「アフターコロナの世界」という題を与えられ考える中で、
メディアで広く伝えられるような 都会の影響ではなく、地方都市に移住した者として強く感じている”地方のコロナの影響”、まずはそれを問題定義したいと、そう思いました。
しかし、その先の提案というのが、なかなか浮かびませんでした。
もちろん、抽象的な案や、突飛な、奇抜な、文字どおり”アイディア”を押し出す方向性もあるのですが、それをあまりにもやりすぎると、先に挙げた
”地方のコロナの影響”が霞んでしまいはしないだろうか。
出来れば、現実性のある路線で提案したい。そう思いましたが、問題はすでに、”地方崩壊” そのものになりつつあり、答えが見えなかったのです。

中途半端なことをやるよりかは、問題定義に専念するべきだ
今回はそういう立場に立つことにしました。

なので、ある意味では勝負を捨てた設計物です。
『都市的な話だけでなく、”地方”も大いなる問題がある』ということが、少しでも伝わったならばと思いました。

マクロコンパクトシティー化予想_骨の国土

有難いことに、審査委員一人、鷲田メルロ氏  (十和田市現代美術館 館長)
がこの案?を拾ってくれました。
やはり、前提として ”良質な提案” を求める建築家の方々には話題にも挙がらない中で、地方都市の美術館の館長を今年就任した、鷲田メルロ氏の「共感した」というコメントは、

従来の都市や日本全国から見た ”地方の問題” ではなく、”地方から見た問題”  の必要性を持つ私の立場に勇気づけて頂けるものとなりました。


問題は、「どう発信するべきだろうか」ということです。

今はこの経験をこぼれ落とさないように、ストックしています。

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