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ドイツとロシアの物づくりの感覚

昨日とは違い今日は一日中曇っていて珍しく大粒の雨が降っている。ドイツもそうだがヨーロッパ人は傘を持たない人が多い。日本ほど雨が降らないし、一日中降るということがめったにないからだ。

みんなフードを被って済ませるしあまり濡れることに抵抗がなさそうにも見える。ドイツに留学していた6年間で、5年目までは傘を買ったことがなかった。日本でフードを被っていると不審者扱いされるがドイツではそんなことがなかったからだ。

最後の一年は妙に雨が多かったからなんとなく折り畳み傘を買った気がする。ドイツの折り畳み傘は大きくてとても重くて日本で売っているもののような利便性はない。軽い物を買ったらすぐに壊れる。

ドイツの物作り

文房具一つとっても日本人はやはり日常の些細な道具も、少しでも便利にして差をつけて売ろうという熱意がすごい。清涼飲料水もどんどん新しいものがでるし、書いていると常に芯がとがるように工夫されたシャーペンまである。

ドイツで売っている清涼飲料水といえばコーラやファンタ、リプトンやスプライトなど超ド定番のものしかない。ドイツの物作りが国内消費を中心に考えられていないのも大きいのだろう。

工業製品の輸出が多くを占めるドイツだが、日本人よりも金を貯めこむ倹約的な精神が強いから本当にお金を使わない。バカンスで使うときも海外で使ってしまう。

南西ドイツのシュバーベンという地域は倹約というのが一つの個性らしくよくジョークにもでてくる。留学時代のそこ出身のクラスメイトが

「ベンツの新車を買っても通りから見えないガレージに停め、家の前にはボロボロの車を置いておかないと世間体が良くない」

と笑いながら話していた。一口にドイツといっても地域によって本当にキャラクターが違うのは面白い。


刃物や鍋などは歴史ある有名ブランドも多く、それも多く輸出されている。リモアなどもそうだ。それだけではなくビールやハムやチーズなども海外でも人気な商品。

ドイツには歴史あるマイスター制度があり、素晴らしい物づくりの文化が残っている。

しかしドイツでは高級品がセールでたたき売りされたりしない。高級ブランドのハンドバックを大学生が持っているのは見たことがない。高級品は定価ということが多く、税率も高いのだ。食料品などは驚くほど安いが高級品は高い。金持ちには金を使ってもらおうということだ。

ロシアの物作り

ロシアはほとんどのものを輸入に頼っていて、電化製品はロシア製のものはほとんど売っていない。ロシア製のブルートゥースイヤホンがソニーの半額だったから買ってみたことがあったが、案の定機能しなく一度も音を聴くことなく返品した。

ロシア人もロシア製品をあまり信用していない気がする。車も日本車が大半を占めており、ブリヤートを走っている車は90%が日本製だ。カーナビも日本の物がそのままついているから、ロシアで一番聴く日本語は

「ETCカードが挿入されていません」

なことは間違いない。

やはりソ連時代からの物づくりへのモチベーションの低さはそう簡単に上げられないのかもしれない。それは楽器でも同じだ。ロシアのどのオーケストラでもロシア製のトランペットは使われていない。ヤマハかバックがほとんどだ。ソ連時代の伝説的名手ドクシツェルもバックではない。( たしかベンジ)

本題からずれるがドクシツェルのロシア魂が伝わるラフマニノフ作曲”Spring water”の演奏を紹介しておこう。


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