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「撮る」という新しい扉

#カメラのたのしみ方

写真というものにあまり興味がなかった。
わたしにとって写真を撮るという行為は「記録」でしかなく、構図も写り具合もまったく気にしなかった。ただ写っていればよかったのだ。

思い返せば初めて買ったカメラは「写ルンです」。
1986年に発売され、フィルム装填の必要がない、手軽で使い切りのコンセプトが爆発的なブームを生んだ商品。

中学生のころに友人達と行った花火大会で、初めてこのカメラで写真を撮ったことを覚えている。現像した写真を見たら、夜空にきらめく花火は一枚もなかった笑。

写っているのは変顔をした友人や、ふざけている様子を切り取った姿ばかり。そう、楽しい思い出を残したかっただけ。

時代はデジタルに移行し、コンパクトデジカメが誕生し、スマホのカメラ機能が向上していった。でもわたしの写真を「撮る」目的はいつも日常の「記録」のため。

しかし、最近その行為の意味が変わったのだ。

一眼レフカメラに魅せられる

きっかけは、ライティングスクール同期の、のらフォト先生(@nora_photo_1)が主催する写真撮影会だった。
のらフォト先生はプロのカメラマンであり、ライターとしても活躍されている方。プロに教わりながら撮影できる機会なんてそうそうない。
そして、撮影会の目的はあくまでも「撮影を楽しむこと」がテーマだった。

こんなわたしでも楽しめるようになるかな?
撮影を楽しむという意識がなかったわたしは、とても興味を惹かれ参加を決めた。

撮影会の事前に、初心者に向けてのカメラ説明会を開いてくれた。その説明会とは、実際のショップに行ってさまざまなカメラに触れながら基礎知識を得るというもの。

さまざまなカメラに触れていると、ガジェット好きな血が騒いだ。

「一眼レフカメラってゴツくてかっこいいな」

黒々していて重量感たっぷり。無骨なカメラはとても所有欲をそそられた。

しかし、一眼レフカメラはお値段がなかなか……。
即決で買える金額ではない。

すると。

「レンタルって手もありますよ!」

先生からのアドバイスが。

なんと……。
数十万円するカメラがレンタルとはいえ、一日触ることができるとは!
ここぞとばかりに一泊レンタルすることに。

レンタルカメラでいざ!

※機種 sony α7 III 

わたしがレンタルした機種はsonyの「α7 III ILCE-7M3 」。

ミラーレス一眼なので、一眼レフよりも小型軽量でコンパクト性に優れている。手にもなじむちょうどいい大きさ。そして心地のよい重量感。
プロダクトとしての素晴らしさに感動。

一日だけとは言え、一眼レフカメラを所有できたことにテンションがあがり、撮り方もわからないのにカメラをもって外へ飛び出るはしゃぎよう。

日が落ちて暗くなった田舎道を、ゴツいカメラをぶら下げて散歩する姿は少々異様だったかもしれない。巡回中のお巡りさんとすれ違ったときは、職務質問されないかとヒヤヒヤした。

多摩動物公園で撮影

撮影会当日。ロケーションは多摩動物公園だった。
先生に操作を教わりながらシャッターを切る。

シャッターボタンの押し心地が気持ちよく、プロのカメラマンになったような高揚感を覚えた。最初は無我夢中で手あたり次第にシャッターを押していたのが、次第に被写体をじっくりと観察するようになった。

ファインダーをのぞきながら動物の動きを観察する。
初めての経験だった。

今までのわたしと言えば、ファインダーを覗いてシャッターを切るまで1秒以内。被写体を観察することなどなかったのだ。

コアラのけだるそうな表情や、虎の雄々しい表情。観察していると、同じように見える動物の表情にも変化があると気付く。

「けだるそうだけど、一瞬キリっとした顔になった」
「いま、ちょっと優しい顔をしたな」

2月早々に咲いていた梅の花。
まだまだ寒さが残る時期に目立つ、あざやかで優しい薄ピンク色。

「きれいだなあ、心がやすらぐなあ」

被写体を通して、わたしの心が動く。その瞬間を切り取りたくなる。
感じたことのない、新たな感情にうれしくなった。

情景を「記録」する

撮影会はとても有意義だった。
撮影の知識やテクニックを教えていただいたことはとてもありがたく、大変勉強になった。

なによりも撮る行為の意味が変わった。

日常の「記録」から
情景の「記録」へ。

「情景」とは、心の動きを通して味わわれる景色や場面のこと。

走り慣れたいつものジョギングルートも、周囲に心を働かせると違ったものが見えてくる。

「かわいい鳥だな、なんて鳥だろう?」
「きれいな花だなあ」

今まで目にもとめなかった「ささいな日常」が際立ってくる。
撮る行為は心を豊かにしてくれる。

「撮る」ことを通して心の動きを大切にしていきたい。
近いうちにマイカメラを購入して、情景をたくさん撮っていきたいと思う。












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