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【書評】『ネガティブ・ケイパビリティ〜答えの出ない事態に耐える力〜』

 こんにちは!友為です。
今回は『ネガティブ・ケイパビリティ〜答えの出ない事態に耐える力〜』をご紹介します。

昨今はポジティブ・ケイパビリティ、つまり問題解決の手法が流行りです。仮説を立て問題を特定し、その問題を分解して、解決方法を効率良く導き出す。時間が限られている中で問題解決をするにあたり、最良の方法であるかに思われます。

しかし、それは単なる表面の問題を解決したに過ぎないとのこと。なぜなら、この世の中は解決できない問題の方が圧倒的に多いからです。私は今まで解決できていない問題が残ってしまったと感じています。大小様々ですが、例えば、環境問題、人の働くモチベーションの問題などです。

これらは、問題解決でどうにかなるものではなく、むしろ問題解決をしようとすると、逆に悪化させるようなことも起きます。

そこで、ネガティブ・ケイパビリティという姿勢が大事なのです。ネガティブ・ケイパビリティはそういう大きな問題や解決できない不安にある中で、耐える力を言います。

ではなぜ、問題を解決できないのに、ただ耐える力が大事なのか?

それは、人とのつながりの土台になるからです。もう少し具体的に言うと、コミュニケーションにおける共感の土台の力だからです。問題の9割は人間関係に依るものと言われます。利害関係が対立し、その問題が解決できない状態にイライラするのです。そこで早急に解決しようとすると、大きな対立では戦争を起こしたりします。しかし、これで問題が解決されたのかというと、その後良くなっていることはありません。怪我人が出たりと悪くなっていることが多いです、もし、相手の気持ちを理解しようと努めたら、解決はできなくても、戦争よりは良い手段で問題解決の方向へ進みそうな気がします。

よく、コミュニケーションで大事なのは、共感と言われます。悩みを相談したとき、その悩みを解決してほしいのではなく、話を聞いてほしい場合が多いのです。それって、解決はできていないんですけど、その人の心の負担が少しでも和らぎ、前向きに粘り強く捉える姿勢に変える手助けをすることができるのです。
 
他人に共感し、親切にすること。自分が幼いときに言われたことが、もしかしたら今の時代で最も大事な姿勢なのかもしれません。親切にすることで、不安に耐える力のサポートしていくことが、お互いに大切なんだろうなぁと感じています。

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