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研修の企画担当者がたどり着いた、研修よりも「成長会議」

ここ数年来、人事の人材開発の担当として仕事をしてきた。8階層の教育体系を作り、各階層ごとの研修計20種類、1,000時間以上の企画をし、数人で手分けして運営する。社内講師としても毎年200時間以上登壇している。

研修をするとその効果を経営から問われる。基本的にはアンケート結果から定性的な情報を拾い上げて、それっぽくまとめているが、アンケート結果をどこまで当てに出来るか常に疑問が湧いてくる。

受講者が満足したからといって、こちらが意図した学びを得ているとは限らないし、受講者が学びになったからといってそれがその人にスキルとして定着する保証はない。

そもそも、今の会社員は皆忙しい。早期に結果を出すことが求められていて、常に走り続けなければならない。そんな中で新たな学びを継続するのは、簡単ではない。自分から学びたいと思ったことではなく、学べと言われたものであれば、なおさら。

結局のところ、「7:2:1の法則」の通り、研修が受講者の成長に寄与するのは、成長機会全体の1割に過ぎない。7割の自らの仕事の経験や2割の上司・同僚からの指導・フィードバックと紐づけられない限り、忙しさに押し流されて、研修での学びは藻屑と化す。

自分のやっている人材開発は意味があるはずである。だけど、十分に機能していない。原因は色々あるけど、その原因が発生するのにもそれなりの理由があって、一つの原因にアプローチしても解決しない。原因は相互に絡み合っていて、解消するには5年〜10年分の時間とパワーが必要。

でも、一般的な企業では、他に優先度の高い事案が目白押しで、そのことだけに時間を割くことは通常できない

どうしたらいいか何年も考えて、ようやく答えが見つかった。

その答えが、「成長会議」という仕組み。今回はこの仕組みについて紹介してみたい。良かったら、感想を教えてください。


「成長会議」とは

昭和な営業会議のアンチテーゼ

「成長会議」は、昭和・平成に横行したであろう企業内の営業会議のアンチテーゼに結果的になっているかも知れない。

昭和初期は、PCも、スマホもなく、Excelや PowerPointも無い。SFAやCRMのシステムなんか、概念すらなかった。伝聞でしかないけど、当時は、営業は有線の電話をかけたり、手紙を書いたり、直接訪問したりして、目当てのお客様にアプローチをしていた。

使う資料は手書きが当たり前で、会議では口頭の報告がスタンダード。各自の報告内容を上司が聞き取って取りまとめ、個々の進捗確認とともに、全体の進捗を把握する。上司はさらに上の上司に全体進捗を報告し、上司の上司はそれを役員などに報告する。これらの報告も基本は口頭か、手書き資料だった。

印刷技術はあったものの、「謄写版」という印刷機で、一枚印刷したら紙を手で差し替えてローラーを転がす。時間がかかるから、口頭報告が多かった。

それから戦争を経て高度成長期にかけて印刷技術は高度化・高速化したものの、手書き・口頭を前提とした情報の交換が続いた。

PCが仕事に使われるようになった平成でも、手書きこそ減ったかも知れないが、口頭報告は習慣的に残った

この残った習慣は、最近でもそのまま残っている。SFAやCRMなど、様々なシステムがあり、事細かな報告はシステム入力することになっているにもかかわらず。

上司は入力された情報を見れば進捗が分かるのに、会議では各担当者に口頭の報告を求め、担当者は画面上の数字を読み上げる。反省の弁と共に、打開策を述べさせることもしばしば。順調な進捗ならまだいいが、不調の場合は担当者は気まずさ満点。

あるいは、進捗を把握した上司が、改善に向けた持論や対策、指示を一方的に話すこともあるかも知れない。

こうした会議で、モチベーションが上がったよ、という人が世の中にどれだけいるのだろうか。会議は成果を出すための手段であるにも関わらず、成果を出すことと逆のことを行なう場になっていたりする。

そんな会議を終わらせて、もっと楽しく仕事をするために、「成長会議」という仕組みを考えた。

会議の内容

成長会議のコンセプトは、シンプルです。それは、会議参加者の成長を対話を通じて促進すること。

営業会議も、成長会議も、いつものチームメンバーが参加者となることは同じ。でも、営業会議では営業成績を向上させるために議論するけど、成長会議ではそれぞれの成長を支援するために対話する、という部分が違う。

頻度は、週一でも、月一でも、なんなら四半期に一回でもいい。一定期間ごとに集まって、自分が今どんなことが出来るようになって、どんなことに課題や葛藤を抱えているのか共有し、寄り添い合い、助言し合い、応援し合う。傷の舐め合いや馴れ合いではなく、本気の関わりをする。

良いことも、悪いことも、事実として率直に伝え合う。伝え方に優しさは注入しても、内容に遠慮はしない。そのことによって、伝えられた本人は、自分自身の真実を目の当たりにして、本当の自分の力や持ち味を自覚する。

どんなに正確な地図を持っていても、現在地が間違っていたら目的地には辿り着けない。正しい現在地を知ってこそ、目指すべき場所へ確実に向かうことが出来る。

会議参加者の成長の先には、参加者のパフォーマンス向上が待っていて、個々の参加者の成長はそのままチームの成長となる。チームの成長幅は、個々の成長の総和ではなく、個々の成長の相乗 × チームの存続期間となり、計り知れないことになる。

働くことが楽しくなるきっかけの場

新入社員の時、当時の先輩が言っていた。
「日曜日の夕方になると、会社行きたくねーっていつも思うよ」と。サザエさん症候群だ。

「じゃあ、なんで仕事するんですか?」と聞くと、
「仕事だから。生活のために仕方なくね?」と言った。

仕事だから

この言葉には、「辛くても仕方がない」「辛いのが当たり前」「給料は辛いことを頑張った対価だ」という前提が含まれている。

人事として新入社員研修に関わっていた時、入社後の同期全員に対する自己紹介の中に彼らが含んでいたことも同じ前提。

「これから辛いこともあると思いますが、一緒に頑張って行きましょう」と言っていた。

仕事は辛いもの。果たしてそうだろうか?
辛いものに耐えた対価として、給料をもらっているのだろうか?
私たちが消しゴムなら、給料は身をすり減らして出る消しカスということなのだろうか?

私は、そうは思わない。

仕事は、楽しいもの

誰かに貢献した実感を得た時、誰でも嬉しく感じる。貢献するための努力の量が多ければ多いほど貢献できた時に達成感を感じる。努力の結果、成長を感じられたらもっと自分を高めたいと思う。仲間と一緒に目標に向かっている時、いつもより力が出る。そして、仲間をなくてはならない存在だと思う。

そんなことを感じる割合が多ければ、仕事は楽しくなる。そう思って成長会議を考案した。

仲間に貢献する場、感謝を伝え・受け取る場、成長を確認する場、仲間から刺激をもらう場、仲間と一体になる場、自分自身を見つける場、として成長会議は機能する。

人間は幸せを感じることを目的に造られていないと脳科学者の人が言っていた。だから、幸せを感じにくい人間が幸せを感じるために、工夫が必要だ。成長会議は、そのための工夫として意図的に造る幸せを感じる仕組み

幸せを感じて、それがビジネスの成果にも繋がったら最幸じゃないですか。その最幸な状態は、その気になれば得られるんです。

追い込んだり、追い込まれたりする場から離れて、新しい世界に行きましょう。

成長会議は誰でも出来る

成長会議は、参加者の成長をテーマにした会議だから、普段の会議の議題を変えるだけで実施できる。簡単なことなので、多くの方にどんどんやってもらいたい。

忙しく走り続けるビジネスパーソンには、止まって自分を見つめる時間があるだけで貴重だ。でも、本人にそうしなさいと諭しても中々やらない。立ち止まることへの不安が勝ってしまうから。

だから、定期的な会議として仕組み化して、強制的に立ち止まらせ、目標進捗ではなく、自分自身について語らせる。そうするだけで、良くなるものが必ずある。

ただ、分かりやすい効果を実感するには、少し工夫が必要かもしれない。工夫というか、管理職を筆頭に、チームに関わるメンバー自身が部下・同僚との関わり方をスタンスから変える必要がある。

何よりも、まず、管理職が意識を変えなけれならない

一般的に管理職は孤独な立場で、上司からは完璧を求められ、部下には弱みを見せられない。と、思っているが、そこから抜け出さないと、いつまでも到達できない完璧さを追い求め、苦しみ続ける。

でも、管理職が完璧さをただ手放すだけでは、ダメな管理職になるだけ。個人の完璧さを手放す代わりに、チームとしての完璧さを目指すスタンスになる
ことが、成長会議が成功するポイント。

このポイントさえ担保できれば、大概誰でも成長会議の効果を得ることができる。

どんな人・組織に活用してもらいたいか

成長会議は、基本的にどんなチーム、組織でも適用できる。

でも、私が特に検討してもらいたいのは、中小企業やスタートアップの管理職向けとして。中小企業やスタートアップは、社員教育費が限られていて学ぶ場が多くない。加えて、人口が減少し採用競争が厳しくなる中で、今いる社員をどうやって活かすかが大きな課題となっている。

だから、学びながら部下のマネジメントと育成エンゲージメント向上をまとめて効率的にやれることにメリットを感じてもらえると思っている。

それに、成長会議の考え方は、これまでとは少し違うので、人事が導入を検討してもなかなか現場に受け入れられにくい。トップダウンで導入してもらうととても効果的なのだけど、大企業ではその決断に時間がかかる。

もっというと、個人的な志向として、大企業よりもどちらかと言うと中小企業を応援したい。組織と社員の距離が近く手触り感が強いので、私自身がやりがいを感じられるから、相互にいい循環を生み出せると思っている。


以上が、成長会議の内容とそこに込めた想いです。長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。長くなりすぎたので、成長会議の導入効果については、以下にまとめています。合わせてお読みいただければ幸いです。

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