特大深型トロ舟にエコトーンを作る
前回
216L容量の特大深型トロ舟(リス興業・G220)を使ったビオトープでの水際陸地作りを先延ばしにしていた所、庭に飛来したヒメゲンゴロウが多数産卵をした事で30匹以上の幼虫がその中を泳ぐようになってしまった。
ゲンゴロウ類の幼虫は上陸した後に地中で蛹となる。
その上すでに何匹もの幼虫が終齢まで成長しており、上陸まで時間がない。
エコトーン作りを急ピッチで進める事にした。
今回は安全興業のAZベジプランター700 NEOを土留めとして使用する。
設置当日。
ビオトープ内のコウホネ鉢を一度退けてからプランターを入れ、角に寄せる。
その後に許可を得て採取した市内休耕田の土を少しずつ投入してゆっくりと沈めていく。
9割ほど土が入り重くなったプランターをしっかりと角に合わせて寄せるが、後からこの上に乗せる泥が流出してしまうほどの隙間はどうしても生まれてしまう。
そこで今回はトロ舟とプランターの境界の隙間に枯れた植物の根を固く詰めて泥の流出を抑える事にした。
用いた根は鉢底ネットが詰まるほどに絡みついていたエアーポテトの物を使用。
こちらは適当な枯れ草の他にも、破れた靴下や捨てられた軍手のようなボロ布などでも代用が可能だろう。
なるべく通水性のある資材が理想的だ。
しっかりと隙間を埋めた後は畦シートを使ってプランター内にも段差状の土留めを作っていく。
ビオトープに用いられる畦シートを検索すると波型の物(畦波)が多く紹介されているが、今回自分は加工が容易かつ壁面に密着させやすそうな平型の物(畦平)を採用した。
吉と出たか凶と出たかは、使い続けてから改めて報告したい。
畦シートによる土留めを複数個に分けて作る事で陸地の高さを自在に変える事が可能となる。
また、畦シートの角は全て丸くなるようにカットしておく事を強く推奨したい。
ここは非常に鋭利となっているので、全ての角を予め滑らかにトリミングしておけばメンテナンスの際に怪我をしてしまう心配が無くなる。
特にエコトーンの泥が落ち着いたり植物が茂ってきて境界が曖昧になると畦シートを視認しにくくなり、その位置や存在そのものも忘れてしまいかねない。
植物を植える際等、思わぬタイミングで怪我をする可能性が非常に高いので、このトリミングは是非ともやっておきたい所。
この上にさらに土を入れ、最終的には以下のような陸地が完成した。
特に左奥は緩やかな傾斜となっており、水生昆虫や落下昆虫の上陸が容易となった。
所々挿している緑色の茎は以下記事で紹介している増苗用の葦。
多数をビオトープに浮かべていたので畦シートを深く差し込む際の添え木や杭として使用したが、これはそのままにしておくと発根してしまう可能性がある。
水田における難防除雑草とされ、地下茎を張り巡らせる葦をここで育てるか否かはまだ未定なので、挿した葦は後ほど枯れた茎や竹等に交換する予定だ。
これから先、様々な植物が芽生えたり移植されたりすれば、水際に根が張り巡らされて泥の流出は自然と抑えられるようになる。
しかし、しばらくの間は雨の度に壁面の傾斜2ヶ所から泥が流れ出てしまう事が予想されるので、ここに葦の茎や枯葉を差し込む事で小さな土留めを作った。
先程固く詰めた植物の根に貫通させ、固定する。
ビオトープの縁2ヶ所にこのような物を作れば、壁面に沿って上陸箇所を探す水生昆虫もその場所に辿り着きやすいはず。
ある適度入り組んだ構造になっているため、メダカの稚魚なども好んで隠れ場所として利用している様子が観察された。
こちらも後ほど葦を枯れた茎に交換する予定。
作業を終えた頃、ビオトープ内にヒメゲンゴロウの成虫が水面に浮上する様子を確認した。
その近くには溺死したクロヤマアリも見える。
今回設置したエコトーンにより、ビオトープはさらにゲンゴロウ類が好む環境となったはずだ。
また、このクロヤマアリのような落下昆虫が亡くなってしまう事故も大幅に減る事が期待される。
エコトーンを作って数日後、ビオトープ内には極小のゲンゴロウ幼虫が発生していた。
ほぼ確実にヒメゲンゴロウの幼虫だろう。画像左上のメダカ稚魚と比較しても非常に小さい事が分かる。
先程のヒメゲンゴロウは新成虫の可能性があるとも考えていたが、どうやら交尾済みのメス個体だったようだ。
この個体は1日おきにいくつかのビオトープへ移動を繰り返しているようで、その度に産卵をしているらしい。
今年に入ってからバケツや水桶内に突如ゲンゴロウ幼虫が発生する事が度々起きているのも、ほとんどがこの1個体によるものだと思われる。
画像を改めてよく見てみると、前脚の跗節が吸盤状になっていない。(以下記事参照)
やはりここまでの状況証拠が揃っている以上、エコトーンを作った当日に泳いでいた個体が産卵をしたものと考えるのが自然だろうか。
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