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明日について

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最近の記事

グリーングラス・ヒーロー

緑の草原を駆け抜ける風の中、 遠い記憶が薄れていく 田舎の家を通り抜ける風みたいに 風鈴を鳴らし 新聞紙を揺らす 時は過ぎ去り 布団の中で眠る僕は、 いつまでも起きない バイクで夜中を駆け抜ける16歳の日々は 夜の街の尖ったスピードのように、 常に絶望が襲い掛かる、 目玉のような闇を照らすフロントライトは ガードレールめがけて突っ込んでいく そんなとき、やさしい音楽が聴こえた どこか遠くで どこか近くで やわらかな羽が舞っている気がした 細い雨が降る 緑の草原

    • 新しい知らせ

      あの新しい言葉の連なりが、私の心を魅了する。吹き抜ける風は、世界の果てで花開く。 丘の上で発見した風景は、まるで新しい光。イメージが舞い、新たなひらめきが始まりの中で息づく。 脳回路がどんどん拡大して電流が駆け巡ると、いくつもの古い時計が次々とまり、だが、そのおかげで、次の日、新しい物音が生まれ、新しい扉が開かれた。

      • 新しい

        あの新しい言葉の連なりの あの風が好き 吹き抜ける風は 新しい世界の果てで ぱっと開き 丘の上で 発見した アメリカ が浮かび上がる 新しいイメージが 飛んでゆき 新しいひらめきが 新しい始まりのなかで 新しい脳回路電流が ぐるぐるまわり いくつもの 古い時計が次々 とまり 新しい物音が生まれて 新しいドアが開き 新しい肘かけ椅子が ゆらゆら揺れ 新しい知らせを待つ

        • 近頃

          近頃、家中が静まり返っている、 1つ1つの音が妙に響いている、 朝のアラームが鳴り響くが誰も起きない。 呼吸、きしむ足音、食べ物を咀嚼する音、くしゃみ、 テレビジョンの音は最小にし、 音楽の音量も最小にし、 過ごす。 ドアの開く音、 冷蔵庫を開ける音、 コップを出し 水を注ぐ音、 かすかな笑い、 かすかな咳、 ガスコンロの火がつき、 それから消される。 顔色は良くはない 若干、青白いだろう。 サプリメントが日に日に減っていく。 室内用の植物はすくすく育ち、 犬はよく寝

        グリーングラス・ヒーロー

          勇次

          この曲は1985年に作られ、作詞作曲は長渕剛によるものです。 この「勇次」という曲を聴くと、かつての風景や感情がよみがえった気分になりますが、じっくり考えてみると自らの過去と「勇次」は異なる世界であることに気づきます。 「勇次」の作り出すノスタルジアは完全に作られた、自分とは関係のない現実であるのです。 それでもなお、「勇次」を聴くと懐かしい気持ちになり心が熱くなるのはなぜでしょうか?「勇次」がどこにいるのか、どこを探しても見つからない時、ありもしない作られた夕焼けの空の下

          ある夜に

          目が覚めました いつの間にか 月の光 まぶしく お布団から出て 窓 開けると ゆっくり 空気 漂ってきて 道端の 月光の 猫 アスファルトのうえで ニャーと鳴き 逃げました それから 冷たい水 飲みました ごくり 蛇口から コップへ 流れ出た水 透明で 静かで ほっと しました 夜は長く ずっと 深く、 いつもより 部屋の植物が 瑞々しく 呼吸をつづけている ように 月の光のせいか 光っている みたいでした そういえば わたし いつ寝たのか どのように寝たのか 昨日はど

          ある夜に

          忘れられる世界

          なぜ 懐かしいと思うのだろうか なぜ あのときに帰りたいと思うのだろうか 過ぎ去った日々 どこにもない世界、 忘れられる世界、 匂いや声や形、 手触り、温度、 ぜんぶが消えていく 忘れていく 吐息も くちびるも なくなっていく 笑い顔が 泣き顔が、 すべての表情が、 消えていく 忘れていく 忘れられていく

          忘れられる世界

          飲みかけのコーヒーはまだ暖かかった

          飲みかけのコーヒーはまだ暖かかった 一瞬のような 長い年月が過ぎたような まどろみの後で、 悲しいような 楽しいような ただただ眠かった 感情だけfが残った 何もない一日、まっしろな世界、 恋しいあなたはどこかへ行ってしまった、 それはまるで色のない絵の具で描いた絵画みたいに寂しく、 日曜日が来たって、あなたがいなければ、退屈なだけだけど 寝ているうちに忘れてしまう。 僕は時に 何とも嫌らしく笑い、 ここはどこなのだ?と問いかける 空白な部屋で、 音のしない時計を見て 白で

          飲みかけのコーヒーはまだ暖かかった

          毎日のこと。

          ご飯ならゆっくり 噛み味わい、 決して食べ過ぎず、 お酒なら 飲み過ぎず、 よく味わい。 起きて寝るまでの 限られた 時間の中で、 自分というものをしっかり捉え、 生きていく。 一つ一つ 確実に 生きていく。

          毎日のこと。

          優しい歌

          ああ、こんなときには 優しい歌を聴かせてほしい、 春の夜の 生ぬるい 風みたいに、 音なくハラハラおちる 桜みたいに、 どこまでも続く 海の、 波立つ 音みたいに、 遠く見える 漁船か、 見知らぬ国の明かりみたいに、 真夜中に めくられるページの音みたいに、 犬が ときたま つく ため息みたいに、 優しい 歌を 聴かせてほしい ああ、 こんな、 ときには、 夜の 空すら まぶしく、 すべてが 繋がったようにして 関係性を 構築し 深海の 構造物を夢見る、 きっと 明日は

          優しい歌

          5番目の季節

          とうとう終わりだ、 まるで、 夜の淵に落ちたような、静けさで、 カーテンの向こうでは雨が降っているから、ゆらり、 ゆらり、 湿気を孕んだ、ぼやけた 月明かりのなかで 生ぬるい風が入ってくるから、 一体 どうしたことか、 君の目にはまるで生気がないじゃないか、 肌は青白く、不吉そうに未来を見ている だけでは そうさ、 震えてしまうから いま こうして 抱き合うか? 大丈夫だ きっと 大丈夫だ 人知れず自分が情けなく泣いたこともあった、 力が入らず食欲もなく、だけど、君には

          5番目の季節

          一日、一日

          日の当たる窓際でまどろみつつ、 外の流れる風、揺れる葉っぱ、 どこかしらから反射する光を見つつ、 過ごす 昼過ぎには 今日は昨日に比べていかにがんばっているかを列挙し、 自分を褒めた 朝を1時間も早く起きた 腕立て伏せを20回多くした 犬にご飯をあげた 家族の食べた食器を洗った クライアントとの会議でおっ!ときっと思わせたであろう ナイフのような発言を3度した 昨日よりも今日、ささいではあるが、 悪くなるよりはいい 一日、一日がどんどんつまらなくなってくることは 私が

          一日、一日

          あぁ、 私は恋について語ろうと思う! 七つの海を渡り、38の国を旅してきた サファイアのように輝く恋、 花火みたいにはかない恋、 マンゴーみたいにぬるぬるした恋、 私に語られた甘い言葉の数々、 あなたに見せたかった 美しいドレスを纏った私を 王族たちがこぞって惚れた私を まるでオイディプスのママのように悲しげに夜を見つめ、 月光に照らされて ときには まるで楊貴妃のように華麗に舞った、 この私を。 あぁ、 流れる星はいつもきれいで、 世界はとてつもなく広く、 体を通りすぎる

          坂道で

          坂道で、 君へ話そうとしたけど、 話せないでいた。 今日のことや昨日のこと 未来のことを 話そうと思ったけど。 そんなとき、 街路樹は 不吉そうに 黒く 笑うように揺れていた。 なぜだか ずっと震えてしまって 一人でいると 嫌な予感がしていた。 坂道で、 歩いていて あとまだもう少し、 終わるまでには 時間があるから。 きっと、 坂道が終わるまでには 君に何か話せるだろう。 人生は夢みたいに過ぎていくし、 忘れては覚え、 覚えては忘れていくけど。 きっと このま

          坂道で

          流れ星の海夜

          夜の浜辺にぽつりぽつりリクライニングチェアが置いてあって、みんな夜空を見ながらシーシャを吸っていた。闇の中で夜空の光に照らされながら白い煙が所々、ゆらゆら昇っていた。 海の波は心地よく音を反復して鳴らし、時々、大きく押し寄せた。 夜空の星は見たことがないほどの、まるで宇宙でも見ているかのような星の数であった。 君たちはシーシャはやらないのかい? と白い眼ををギラっとさせて、エジプト人が僕たちに声をかけてきた。そうここは、エジプトのダハブだ。夜は深まっていき、一層暗く、静寂

          流れ星の海夜

          夕日の時間

          太陽がいま沈もうとしている。誰もいない丘の上で撮影。今日一日、この島を探検してまわり、体がへとへとになっている。 太陽を見ていると今日、出会った人たちの顔が浮かぶ。ついでに今まで出会ってきた人たちの顔も浮かんでくる。 遠い昔の出来事のようにずいぶんと距離を感じる。 みんな優しい表情をして微笑んでいる。 夕日の時間、 世界から音が無くなってしまったのか、それとも、世界が止まってしまったのか、ずいぶんと静かで美しく物悲しい。 明日はどこへ行こうか?

          夕日の時間