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勇次

この曲は1985年に作られ、作詞作曲は長渕剛によるものです。
この「勇次」という曲を聴くと、かつての風景や感情がよみがえった気分になりますが、じっくり考えてみると自らの過去と「勇次」は異なる世界であることに気づきます。
「勇次」の作り出すノスタルジアは完全に作られた、自分とは関係のない現実であるのです。

それでもなお、「勇次」を聴くと懐かしい気持ちになり心が熱くなるのはなぜでしょうか?「勇次」がどこにいるのか、どこを探しても見つからない時、ありもしない作られた夕焼けの空の下で一人立ち尽くす、自分が見えるのです。

ある時、私は「勇次」の原風景が100年後の東京にあるのではないかと思いました。
そこには「勇次」がキラキラと汗をかきながら、全力で100メートルを走り抜ける姿がありました。赤い夕日がビルとビルの間から見え、校庭では「今日の日はさようなら」という歌が生成AIで加工された声で流れます。勇次の黒い影が孤独でありながらも夕日の中で熱く動いているのです。


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