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5番目の季節

とうとう終わりだ、
まるで、
夜の淵に落ちたような、静けさで、
カーテンの向こうでは雨が降っているから、ゆらり、
ゆらり、
湿気を孕んだ、ぼやけた
月明かりのなかで
生ぬるい風が入ってくるから、

一体
どうしたことか、
君の目にはまるで生気がないじゃないか、
肌は青白く、不吉そうに未来を見ている
だけでは
そうさ、
震えてしまうから
いま
こうして
抱き合うか?

大丈夫だ
きっと
大丈夫だ

人知れず自分が情けなく泣いたこともあった、
力が入らず食欲もなく、だけど、君にはロックンロールがあった、
どんな時でも爆音で、もしくは、ぎりぎり聴こえるくらいの小さな音で、
鳴り響いていた、たしかに
体の中を冷えた血液がぐるぐるめぐってはいたが。
そう、
だけど、
君の心臓は熱く熱くロックンロールに合わせて
燃え打っていた!
それが小さな小さな煙のような火であっても、
決して消えることはなかった。

アルコールの中に沈んだ夜、
夢も希望も絶望も
笑い声も冷めた目も
ため息も
裏切りも
粘液も
汗も、
唇も、
舌も、
ぜんぶ、ぜんぶ、
まるでほんものみたいに、
みんなぜんぶほんものみたいに、
浮かんでは
きえ
きえては
浮かんで
きえて
海のように
まるで
夢の中で、
やわらかく
せつなく、
にくたらしく、
ほのかな月光りのように
あっという間に
とおりすぎ、
そして、
さいごに、
いつだって
人生は
意味を持たせ、
そして、
飛んでいくんだ、

朝起きて寝るまでの間の、
平凡な時間の中、
必然に、もしくは、偶然に、
君は手に入れるんだ
輝く
未来を。

熱く、熱くそれが、
君の心臓を
信じられないくらいに
巨大に燃え上がらせる

そう、
とうとう、
5番目の季節が君をとおり過ぎる
素知らぬ顔で
燃え盛りつつ
台風みたいに、
新しいも古いもなく
ただただ、風が吹き、
激しく、
進化も退化もなく、
ぜんぶを吹き飛ばし
燃やしながら、
友人にさよなら。
なんて言っている暇ももはやなく、
5番目の季節が君をとおり過ぎる
残るものなんて何もなく
ただただ
君の心臓を燃え上がらせ

失敗も成功もなく、
君にあるのは今だけだ、
愛する
ひとよ、
それが概念であっても
イメージであっても
フレーズであっても
いい
細かいことはもう、
もはや
どうだっていいのだ

未来よ
過去よ、
時間よ、
燃え上がれ、
いまこそ、
燃えてみろ、
一心不乱に
燃え盛ってみろ、

ある朝に
君は部屋を飛び出すんだ
そして
走るんだ
どこまでも

夕日の中で
自分自身と出会うまで
幸福が君を撃ち抜いたとしても
どうってことない、
僕が君の味方だ。




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