記事一覧
すべて美しく成り立つ
大浴場の湯舟に天井から一滴、
水滴が落ちるときに鳴る音の
余韻が響き
さざなみみたいに広がると
やがては
今宵の月明かりが明るくなる。
苦悩する詩人が蠟燭の炎の中に夜の海を見るとき、
コーヒーペーパーから
液体が落ち、
砂漠がより干上がり
やがては
全部が上昇し始め、
詩人の紙のうえを
文字が滑り抜け
時間の端っこで
けっして
触れることができない
永遠ができあがる。
3時の時間に
君は昨日よ
グリーングラス・ヒーロー
田舎の家を通り抜ける風が
さりげなく
窓際にぶら下がる風鈴を鳴らし
飛び出していく
時は過ぎ去り
幾年も幾年も
経ったみたいに
長くだらだらと
布団の中で眠る僕は、
いつまでも起きない
いま、緑色の草原を駆け抜ける風の中では、
遠い記憶が薄れていく
そう、
バイクで夜中を駆け抜ける16歳の日々は
夜の街の尖った光みたいに、
油断したら絶望が襲い掛かる
目玉のような闇を照らすフロントライトは
飲みかけのコーヒーはまだ暖かかった
飲みかけのコーヒーはまだ暖かかった
一瞬のような
長い年月が過ぎたような
生ぬるい
まどろみの後で、
悲しかったような
楽しかったような
気がするものの
よくわからず
ただただ眠く
何もない一日、
まっしろな世界、
あぁ、
恋しいあなたはどこへ行ってしまったのか。
それはまるで色のない絵画みたいで
つまらない
日曜日が来たって
あなたがいなければ
退屈なだけで
湿った薪みたいに
燃え上がらない。