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幻のSXSW 2020のオススメアーティスト25選。

テキサス州はオースティンで毎年3月に開催されているフェスティバルSXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)。日本では「世界最大の見本市」などと呼ばれているフェスで、ミュージック、フィルム、コメディーといったカルチャー色の強いテーマからテクノロジーやカンファレンスといったビジネス色の強いテーマまでが一同に集まったフェスティバルである。

僕も2018年に遊びに行ったのだが、本当に楽しい10日間だった。案の定僕は音楽以外のテーマはスルーだったけれど、世界中から中々観る機会がないアーティストのライブをたくさん観れたり、普段はインターネット上でしかやりとりしたこと無かった人たちとようやく会えた場でもあった。足を運ぶ前はSXSWはビジネス色が強く、良いライブは観れるけど、ビジネスマンばかりでつまらない雰囲気のイベントかと思っていたけど、イベント期間中はSXSW側がオフィシャルとして主催しているライブイベントの数倍以上メインのチケット買わずとも入場できるアンオフィシャなライブイベントがたくさんあり、7割型のアーティストはアンオフィシャル方でも観れる。なのでいわゆる業界人だけではなく、オースティンの若者を中心に街全体がお祭りモードでイメージと全然違うフェスティバルだったし、本当に見渡す限りBar! Bar! Bar!な街、オースティンで本当に朝から晩まで飲んだくれていた。

僕は基本的にオースティンの学生やLAの友達と行動していたこともあり、アンオフィシャルなイベントの方に多く遊びに行ったけど、そのイベントの中には普通のライブハウスで開催されてるイベントはもちろん、中々情報が共有されていない20人規模のハウスショーや学校の教室で開催されてたイベントなどアンオフィシャルならではのアットホームでDIYなイベントがたくさんあり、本当に楽しかった。友達がダイブ失敗で骨折して病院に行ったり、僕が車に轢かれたのに無傷だったのも良い思い出だ。SXSWには日本人もたくさんいたけど、情報は出回ってないのか、興味が無いのかわからないけど、DIY系のイベントには日本人誰一見かけなかったので、もし今後SXSWに遊びに行く人がいれば、オフィシャル以外のイベントもチェックしてみると数倍SXSWを楽しめると思います!

約10日間の滞在で僕はオースティンが大好きになり、SXSWは絶対にまた行こう!と思っているイベントなのですが、今年はコロナで中止......。仕方ないことですが、このためにツアーを組んでいるバンドもたくさんいるので、本当に胸が痛い。僕は個人的に今年出演するアーティストを全てチェックしたので(2月は本当にずっとSXSW出演者の音源を聴いていた)、せっかくだし、僕がオススメする25組のアーティストを紹介させてください!最後には載せきれなかったアーティストを大量にまとめたプレイリストもあります!

1. AUDREY NUNA (New Jersey / USA)

韓国をルーツに持ち、NZを拠点に活動中のアーティスト、AUDREY NUNA。Audreyとして活動していたが、いつの間にか改名していた。シンプルに心地の良いスムースなHIP-HOPからH.E.Rとかに近い伸びのあるR&B、そしてエクスペリメンタルが混ざったラップまで多彩な曲を披露するアーティストで、まだEPやアルバムなど作品はリリースしていないが、ストリーミングでミリオン再生を記録する曲もあったりと既に注目を集めつつある存在!

2. Balming Tiger (from Seoul / SOUTH KOREA)

"Multi-national Alternative K-pop band" を掲げる韓国のコレクティブ。現状7人のメンバーが所属しており、メンバーは急に入れ替わったりもするらしい。とにかく圧倒的な存在感が凄いし、異様なオーラを放っている。個人的に去年から韓国ラップを好んで聴く機会は増えたけど、彼らは異質。この最新曲「Kolo Kolo」だけでもアフリカンな打楽器が使われているビートやパンクッシュなラップと耳に残る要素が多いし、ラストがR&Bになる感じはBrockhamptonを彷彿させるし、アメリカで流行っているラップグループにも通じる。東京で日本の映像監督と共に撮影された「Armadillo」のMVも最高なのでぜひ観て欲しい。

3. beabadoobee(from London / UK)

マニラ生まれでロンドン育ちのSSW、Bea Kristiによるプロジェクト。The 1975やPale Wavesで知られる〈Dirty Hit〉が送り出したニューカマーということだけあって日本でもそこそこ知名度があるアーティスト。ナイーブなティーンの悩みを唄ったリリックとドリーミーで飾りすぎない夢見心地な楽曲が評判を呼び、現時点で欧米ではブレイクの一歩手前と言っても良いはず。昨年、Clairoのサポートアクトとしてのライブを観たが、本当に高校の友達同士でバンドを組んだかのようなスリーピースでのライブは、2000年代前半の映画に出てくる主人公のバンドかのように、とにかくピュアで輝いていました。

4. Black Country, New Road (from London / UK

UKはケンブリッジ出身でロンドンを拠点に活動中の7人組バンド。インディーからポストパンクやプログレまでを彷彿させるバンドで、この曲も約9分と長尺。Black Country, New Roadにはバイオリンとサックスのメンバーも在籍しており、その2つの楽器が良いカオス感を生み出している。昨年話題を呼んだblack midiと同様にジャズ系の学校出身のメンバーがいることもあり、リズム一つ一つの強度が抜群だし、精神不安定さを醸し出しているヴォーカルも最高だ。

5. Fanclub (from Austin / USA)

日本でも人気の高いインディーポップ・バンド、Letting Up Despite Great FaultsのメンバーであるMike LeeとDaniel Schmidtにヴォーカル&ギターを担当しているLeslie Crunkiltonを加え、2018年に結成された3ピース・バンド。ドラムレス構成でドリーミーなインディーポップを鳴らすバンドということで、ニュージランドのFazerdazeが好きな人にはまず間違いないサウンドだろうし、AlvvaysやHazel English辺りの〈Polyvinyl Records〉からリリースしているアーティストのファンやもちろんLetting Up Despite Great Faultsの信者にも!

6. Far Caspian(from Leeds / UK)

UKはリーズを拠点に活動中のプロデューサー / アーティスト、Joel Johnstonによるドリーム・ポップ・プロジェクト、Far Caspian。Beach FossilsやReal Estateを彷彿させるようなギターサウンドと幻想的でドリーミーな雰囲気が素晴らしい2010年代のインディーミュージックを象徴するようなバンド。UKというよりはUSのバンドに近く、Caputed Tracks好きはマストで聴いて欲しいバンドの一つ。ヴォーカルのJoelの唄声も甘くてとろけるように心地良いし。

7. Fenne Lily(from Bristol / UK)

UKはブリストルを拠点に活動中のSSW、Fenne Lily。2018年にリリースしたデビューアルバム『On Hold』が本当に素晴らしくて、個人的にはJulien BakerやPhoebe Bridgersと肩を並べるほどに美しいメランコリックな音楽を奏でるSSWだと思う。ガラスのように透き通り、日常の重みがそのまま伝わってくる彼女の唄声を最大限に活かすように、ほとんどの楽曲がギター+αくらいのシンプルな構成で作られていて、まるで黒いペン一本で書かれた日記のよう。そんな曲を聴いていると、一気に色々な情景が浮かんできて、その度に何かを考えさせられる。

8. Goon(from Los Angeles / USA)

LAを拠点に活動中の4人組オルタナ・ロック・バンド。90sのオルタナやグランジから強く影響を受けたヘヴィーなギターサウンドとダークで不穏な雰囲気が融合。この「Black Finch」という曲でも絶妙なダーク加減とヴォーカルの不穏感を醸し出している。ギターのリズム感で棒立ちではなく、ちゃんとノレる楽曲に仕上がっているのも良い。他にもサイケやガレージ色の強い曲もあったりして今LAのオルタナシーンで間違いなく一番カッコいいバンド。日本にLOSTAGEがいるようにLAにはGoonがいるだよね。

9. Kevin Krauter(from Indianapolis / USA)

活動休止を発表し、昨年末にひょんとシングルをリリース。そしてその後は音沙汰無しと活動しているのかよくわからないHoopsという素晴らしいインディーポップ・バンドがいるのですよ。そのHoopsのメンバーであるKevin Krauterのソロ・プロジェクト。つい先日リリースされた新作『Full Hand』のリード曲である「Surprise」を黙って聴いてみて欲しい。このキラキラとしたシューゲイズなギターポップは妙に感傷にひたるし、ノスタルジックだ。僕が音楽に求めているものが全て詰まっている。間違いなく2020年のベストソング。いやでもシングルとしては2019年にリリースされてるから2年連続ベストソング。

10. KEYAH/BLU(from London / UK)

サウスロンドンを拠点に活動中のラッパー / シンガー、KEYAH/BLUはどこかNonameを彷彿させるような細かいラップとR&Bからファンクやジャズやソウルまでを使った変化球なトラックメイクがクールな新鋭ラッパー。Fka TwigsのようなアーティストからPuma BlueやJerkcurbなどジャズに親しいアーティストがいるロンドンだからこその攻め方なような気がするし、ロンドンの多様性の認められ方は羨ましくなる。まだEPもリリースしていないけど早めに注目をしておいた方が良いラッパーの一人かと。

11. Knife Wife (from Washington / USA)

個人的に2019年のベストニューバンドを選ぶとしたら彼女たち。DSを拠点に活動中の3人組はとにかく気怠い雰囲気を醸し出しながらポストパンク / グランジといったサウンドを全くキメずにクールに鳴らす。SorryやGoat Girlといったロンドンのバンドに近いものも感じるけど、Knife Wifeの方が「私たちはなんだっていいわ。暇だから時間潰しにバンドやってるのよ。」という余裕があって、そこが本当にクール。

12. Land Of Talk(from Montreal /  Canada)

個人的に今世界で最も音楽が熱い都市の一つだと思っているモントリオールのSSW、Elizabeth Powellによるプロジェクト。基本的にこの記事では新人アーティストを紹介しているのだが、このキャリアが10年を超えるSSWだけはどうしても紹介したくなってしまった。最近ではAmerican Footballの最新作にコーラスとしても参加したLand Of Talkだが、彼女のソロは本当に美しい。川のせせらぎを聴いているかのように透明で身体にスッと入っきて、全ての心の毒をさっと解毒してくれる癒やしのクスリ。絶対に世界的にもっと売れても良いアーティストだと思う。

13. LAUNDRY DAY(from New York / USA)

Tyler, the Creator主催のフェス「Camp Flog Gnaw」に出演し、The 1975やClairoのサポートアクトにも抜擢されたNYの高校生による注目バンド。Brockhamptonからの影響を強く感じるR&Bやラップな曲からインディー、ローファイ、ソウル、パンクまで何でも演奏する彼ら。とにかくやりたい事は全部やる!というピュアな精神が最高。どの楽曲もキャッチーだし、ポップだ。彼らのライブのBGMにYves TumorからMaroon 5まで使われていたのは、彼らが普段音楽を聞きまくってる証拠だろう。じゃなきゃこんなジャンルレスに出来ない。今後どういうバンドになっていくのかは全く読めないが、確実に面白い存在になっていくはず!

14. Lauran Hibberd(from Isle of Wight / UK)

Charly BlissやBeach Bunnyなどにも通じるキュートさのあるギターポップを鳴らすイギリスのワイト島出身のSSW。キラキラとしたギターポップやパワーポップが好きな人にオススメなSSWで、小さいステージながらも昨年はグラストンベリーにも出演しているし、The RegrettesやSheer MagといったパンキッシュなバンドからHippo CampusやThe Academicといった王道系のギターロック、そしてノエルのソロのOAまでも務めていることから注目度の高さが伺える。日本でも人気の出るサウンドだと思う。

15. Long Beard (from New Jersey / USA)

NZを拠点に活動中のSSW、Leslie Bearによるプロジェクト、Long Beard。昔からJapanese BreakfastやSnail Mailといったアーティストと交流のある彼女は、まさにその2人の良いところをミックスさせたかのようなエモーショナルなメロディーとドリーミーなサウンドが融合した楽曲を鳴らす。音数も決して多くないが一つ一つのアレンジや音の選び方が絶妙で、アレンジャーとしての才能もすごく感じる。真冬の夜に一人でエモーショナルに聴くのも良しだし、暖かい昼下がりに一人チルするのにもマッチする音楽。

16. The Murder Capital (Dublin / Ireland)

ShameやIdles、そして同郷のFontaines D.C.など爆発力のあるポストパンク・シーンが盛り上がる昨今のバンド界隈で、それ等のバンドに通じる部分もありつつも、もっとソリッドでSonic Youthのような90sの鋭いオルタナバンド好きにもオススメできるバンドがThe Murder Capital。まだUSでのライブは未経験ながらもコーチェラ出演の切符も掴んだ新鋭。ダークだけどどこか明るさもあり、爆発力もあるけど知的さもある。そんなポストパンク・バンド。

17. Overcoats (New York / USA)

NYを拠点に活動中のHana ElionとJJ Mitchellによるエレクトロポップ・デュオ。個人的には昨年The Japanese HouseのOAとしてのライブでOvercoastを知ったのですが、マイナーながらも大きいステージで存在感を放つライブをしていた。彼らは浮遊感のあるエレクトロ・ポップを壮大に鳴らし、ダンスを誘いつつも目を瞑って聴きたくなるような心地良さも同時に感じるのがポイント。次回作くらいで一気にメインのポップシーンにも溶け込むことができる存在だと思うし、ネクストOh Wonedrといったところでしょうか。

18. The Paranoyds (Los Angeles / USA)

LAを拠点に活動中のガレージロック・バンド、The Paranoyds。モデルとしても活躍をしているStaz Lindesも所属するLAの4人組。ガレージバンドにしては珍しくティーンのファンも多く持ち、今までにDIIVやWhite Reaperなどの人気バンドとも共演済み。気怠いヴォーカルとハロウィンっぽさを演出するようなシンセ、そしてクールなギターリフを活用しながら鳴らされたガレージはそこら辺の勢いだけのガレージとは違って、ロンドンのGoat Girlとかにも通じる不穏さとクールさが同時に味わえるバンドある。

19. P.E. (Brooklyn / USA)

先日丁度デビューアルバム『Person』をリリースした5人組アートパンク / エクスペリメンタル・バンド。Public PracticeやDis FigなどBrooklynのUndergroundなエクスペリメンタルやポストパンクのシーンは実は中々面白いことになっていて、その中でもP.E.はそこまで難解ではなくとっつきやすいのだ。エクスペリメンタルなエレクトロニック・サウンドを表現しつつも、ポップさを持ち合わせていて、そういった難解でリスナーを選ぶ音楽の入り口にもなれるバンドだと思う。

20. POORSTACY (from South FL / USA)

Lil Peep、XXXTentacion、Juice Wrldと本当にトップスターを亡くし続けるエモラップ界ですが、それでも次のスター候補というのは次々と現れていて、フロリダを拠点に活動中のPOORSTACYもそのうちの一人。まさにJuice Wrldを彷彿させるようなエモーショナルでもメロディーもちゃんとしているラップで注目を集めるニューカマーは、今年リリース予定のアルバムのリリースと共に名前を広げるであろうラッパーだ。

21. Poppies (from Brooklyn / USA)

Brooklynを拠点に活動中のこのバンドは、僕がSXSWに遊びに行ったときに20人規模のハウスショーにも出演していたバンド。独特の雰囲気とテンポでゆるーいインディーロックを鳴らす。ふにゃふにゃでまるで絵本の中にトリップしたかのようなレトロな世界観がやみつきになるし、絶妙なローファイ具合もたまらない。類似バンドが全く思いつかないほどに自身の世界観をゆるく表現しているバンドだと思う。

22. Sara King (from Dallas / USA)

Kali UchisやSophie Meiersからの影響を公言するR&B / Soul シンガー、Sara King。コンスタントに上げていたYoutubeでのカヴァー動画が話題を呼び、Youtubeのチャンネル登録数は20万を超えている彼女だけど、そんな事は本当にどうでも良い。The Maríasばりにスムースで心地良いサウンドとSabrina Claudioを彷彿させるようなロマンチックさを兼ね備えた実力派。この曲はソウルフルな曲だけど、2018年にリリースされたEP『Heat』はClairoとかが好きな人にもオススメできます。

23. The School(Cardiff / WALES)

ウェールズ出身のインディーポップ・バンド、The School。飛び切り有名というわけでは無いが、世界中に熱狂的なファンを持つバンドだと思うし、僕もその一人だ。Alvvaysを彷彿させるようなポップでキャッチーなメロディーと60sの穏やかでハッピーな空気に包まれたサウンドがこの上ない多幸感を生み出す。日本でもHomecomingsとか影響受けてるんじゃないかな。

24. Sorry (form London / UK)

2019年一番注目のバンドとして選んでいたSorryは結局去年はアルバムをリリースしなかったけど、2020年は遂にリリースする。今までインディーロックやグランジを感じさせる曲からローファイやオルタナ、ポストパンクなど様々なスタイルの楽曲がリリースされてきたが、やること全てのセンスが抜群だ。実験的な曲作りが生み出した心地良さと不穏さが混ざり合い生まれた違和感のあるポップネスがこのバンドの肝で、その違和感が妙に心にも頭にもへばり付く。ズルい。

25. Weird Milk(from London / UK)

個人的に王道ロックは一番難しいジャンルだと思うが、このロンドンを拠点に活動中の5人組にはとても期待させられる。60sに強く影響を受けており、例えばArctic Monkeysの最新作『Tranquility Base Hotel & Casino』やTemplesといったバンドと共鳴する素晴らしい王道ロックを鳴らしている。まだシングルしかリリースしていないバンドなので、これからも楽しみな存在。

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SXSWは本当に楽しいイベントですよ!こんな感じで(笑)

SXSW 2020 PLAYLIST
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ライブハウスでの飲み代になります! Cheers!!!