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CIO BOOK

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武闘派CIOの情シスポエム。
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2019年11月の記事一覧

あなたはお客様の冷蔵庫を開けましたか?

製造業で良く使われるフレーズに「現場・現物」や「現地・現物」があります。これに「現実」を加えて「三現主義」とも言います。事務机にかじりついて練り上げた「机上の空論」ではなく、現場に身をおいて、五感を通じて感じ、現場の人との対話を通じて気づきを得て、そこから課題設定を行い、解決方法を生み出すのです。
私も駆け出しの頃に、「そのアイデア、現場の人は何て言ってる?」と上司に聞かれ、「いえ、まだ現場には行

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製造業はゲーム業界からITを学べ

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何かを考えさせられた体験から今日のお話しを始めます。パナソニックで働いていた時、自社の家電製品を買うのが一つの楽しみでもありました。ボーナスが近づくと、「次は何を買おうか」とワクワクしたものでした。そこで買ったものを列挙しますと、テレビ、ビデオデッキ、DVDレコーダー、ホームオーディオ、携帯音楽プレーヤー、ムービー、カメラ、電子手帳、電子書籍リーダー、I

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製造業の情シスは楽しい

なぜ私が製造業で働くのかについて今日は書きたいと思います。結論を先に書きますと、製造業はバックオフィス業務が複雑で難易度が高く、そこが面白いからです。

この複雑さ、難易度について、製造業、流通業、ネット事業の3業態で違いを述べて行きます。

まずネット事業の最大の特徴は物理的な「在庫」を持たないことです。これが、流通業、製造業との大きな違いです。モノがないので、バックオフィス業務も非常にシンプル

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CIOがいないことは経営リスクだ

SNSやクラウドサービスへのスタンスがエンタープライズとスタートアップでは大きく異なります。エンタープライズではこれらをリスクとみなす傾向が強い一方で、スタートアップではオポチュニティ(機会)とみなすだけでなく、イノベイションのイネイブラー(可能にするモノ)そのものと捉えます。DX(デジタルトランスフォーメーション)を叫びなら、GAFAのサービスを社内ネットワークから遮断しているエンタープライズが

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IT部門がリードするビジネストランスフォーメーションとは

ビジネストランスフォーメーション。日本語にすると「事業の構造改革」、「業務の抜本的改革」となりますが、このビジネストランスフォーメーションについて私が考えていることを今日は書きます。

常に最重要課題は、顧客のニーズ充足に対して自社がどう対応すべきか。そのためのビジネスプロセスに磨きをかけることです。その手段としてITを効果的に使うことが今日では特に重要になっています。ビジネスプロセスとIT、この

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全体最適が全体不幸に

「全体最適」- 情シス部門が良く使うフレーズです。経験的に「全体最適」を錦の御旗とするプロジェクトは、誰のためにもならないプロジェクトが多い。「全体最適」に「ガバナンス」とか「ベストプラクティス」のようなトッピングが盛られたプロジェクトは間違いなく「おもしろくない」「ワクワクしない」プロジェクトです。しかも「全体最適」を口にする人が、本社部門で事業にタッチしない人の場合、間違いなく「地雷プロジェク

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小さなイノベイションの興し方

イノベイションは”0”から”1”を生み出す、改善は”1”を”100”にする、などと言われます。小さなイノベイションをどのように興すかについていくつかの発想法や戦術をまとめてみました。

虎の尾を踏むな虎の尾とはすでにそこにある定型業務やシステムです。イノベイションは”0”から”1”を生み出す行為ですので、すでにそこに何かある時点で、”0”じゃないわけです。FAXでのやり取りを電子メールに変更するの

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事業会社SEの報酬とは何か

「ありがとう!」

この言葉をもらえると元気が出ます。何か価値ある行為に対して感謝の言葉が報酬として得られる。この事には何ら疑問はありません。ただし、この言葉をもらう事を目的としては行けません。それはSNS投稿へ「いいね」をたくさんもらいたいと思う「承認欲求」と同じです。

ビジネストランスフォーメーションを実行するという事は、既存の枠組みを大胆に改革する事です。そうなると、全ての人が賛成しない取

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「運用の問題です」が最大の問題です

「運用の問題ですね。」

利用部門との会話でこれを言ったことあるSEは多いのではないでしょうか。SIerやコンサルと、事業会社SEの違いが何かと言うと、前者はこの発言が許され、後者は許されない。事業会社のSEの仕事は、プロセス+IT、それに組織を含めた全体調和です。運用に問題が起こるとすれば、そのどこかに問題があるはずですので、大至急対処しなければなりません。(ここで言う運用とは、システム運用では

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私がCIOになることを決めた日

私は日本にCIOを職業として確立したい、という思いで日々活動を行っています。今日は、私がCIOを自分の天職だと確信した瞬間についてお伝えします。

2007年のある日、私はIBMの米国本社を訪れていました。その日の目的はIBMのCIOに会って、CIOとは何か、CIOはどのような仕事をこなす職業なのか、教えを乞うためです。その当時、私はパナソニックの米国子会社のCIOの立場でしたが、それはなりたくて

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