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受刑者お仕事日記『永遠に0』

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人生において0とは何か 実体験を元にしてリアリティを追求した実験作
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#5000円

小説 永遠に0(最終回)

新宿駅に着いた俺は、地下空間をさまよい歩いた。逃げてきたのはいいが、見つかる可能性がゼロの代わりに、当てもゼロ、目的もゼロ、持ち物もゼロ、あるのは今着ている服と生命だけだ。植物と同じだ。いっそ木になれたらどんなに幸せだろう。

そんなことを考えている内に、道に迷ってしまった。仕方がないので、迷路のような地下から碁盤の目になっている地上へと出た。煌々と明るい地下と違って、地上は日が暮れかかってうす暗

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