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ともなん
2024年3月21日 14:58
新宿駅に着いた俺は、地下空間をさまよい歩いた。逃げてきたのはいいが、見つかる可能性がゼロの代わりに、当てもゼロ、目的もゼロ、持ち物もゼロ、あるのは今着ている服と生命だけだ。植物と同じだ。いっそ木になれたらどんなに幸せだろう。そんなことを考えている内に、道に迷ってしまった。仕方がないので、迷路のような地下から碁盤の目になっている地上へと出た。煌々と明るい地下と違って、地上は日が暮れかかってうす暗