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映画『夜明けのすべて』を見に行った

この映画、今の私に通ずるものがあるかもしれない。見たい。
覇気のない表情でテレビCMを見ていて思った。
うつ病で集中力が無くなっていたのと、人が多い場所へ行くことへの抵抗があり、映画を見に行くというのは、勇気のいる行動だった。
ショッピングモールにある映画館だから、無理だと感じたらすぐ帰ろうと開演ギリギリまで入口で考えていた。平日の昼間だし、木曜日だし、人少なめだし今日しかない!いつまで迷ってるねん、頑張って行ってみろと自分に喝を入れ、やっと席に着いた。

映画は、派手さはなく、見た目では分からない人の心(孤独感)にとことん焦点を当てた、とても穏やかで優しい内容だった。過剰な演出が多ければ途中退出の不安もあったが、全くその心配はなく、普通の人の日常感で溢れていてうんうん、わかる~と共感できるところがたくさんあった。
PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢さんを演じる上白石萌音さんを、20年前の自分に重ねて見ていた。藤沢さんはピルの使用を求めていたが、血栓症の家族歴で医師に反対されていた。
私の婦人科の主治医は20年以上前からピル推奨派で、良いか悪いかは別として血栓症の家族歴を確認されたこともなく、とにかくPMSと月経過多と生理痛がひどかったため、2度の手術後ということもあり医師に言われるがままにピルでの治療が始まった。
当時、ピルは月経困難症や子宮内膜症の治療薬としては承認されておらず、結果、10年以上自費で治療することになる。でも、私の場合、ピルを早く始めたことで抑えられない感情やひどい生理痛の苦しみからは一気に解放され、周りにあまり知られることなく、社会生活を送ることができた。

私のピルの使用は、28日間×3シート(84日生理を止め、7日間の休薬で生理を起こす)と言う、極めて珍しい服用法だった。ピルはホルモン剤のため、続けていても突然体調に合わなくなる時期もあり、別の副作用に苦しんだこともあったがなんとか乗り越えた。
40代になる頃には、周りの同僚や友人も生理不順に悩みピルを試してみるも、体重が一気に増えた、飲んだ後に来る生理痛がひどい……と言う意見が多く、これが無いと生きて来れなかった自分は相当なホルモンバランス問題児だったのだと実感した。

今は20年前よりはパニック障害や生理について関心が向けられるようになり、治療方法も増えたが、会社も人手不足により心の余裕がある人が少ない分、他人の抱えている問題にまで気に掛けることができないのが本音だと思う。日本人は真面目で勤勉は良いことだが、これが行き過ぎてパワハラやオーバーワークに繋がっている気がする。
だからみんな、辛いと言えなくて自己解決するしかないと感情に蓋をして、頑張りすぎて病気になってしまう。そんな状況だから、コミュニケーションに自信がない人は、もっと苦しんでしまうの悪循環。
でも、この先、変化を恐れて昭和の根性論を貫く会社はきっと機能しなくなって消滅してゆくと思う。

映画内でお互いの苦しみを理解した山添くんが、「3回に1回くらいは藤沢さんを助けることができるかもしれない」と言ったところが素敵だと思った。そう、相手の全部は分からないし、本当に困っている時に遭遇した時だけでも手を差し伸べることができれば、もっとこの世の中も生きやすくなるのではないだろうか。本当は誰もが自分のことを理解してもらいたくて「愛」を求めているのは同じなのだから。
そのためには、もっと自分に素直に生きたほうがいいなと思った。素直に生きないと、相手にも気付かれないし、相手のこともよくわからないから。

今日苦しくても、新しい夜明けは必ずやってくる。
日々自分に言い聞かせている。
映画を見終わった後は無事に映画を見れたことで少し気分が高揚し、食欲がないながらも少量でおいしそうなお弁当を買って帰った。

今日も皆さんお疲れさまでした。明日は今日より幸せな1日でありますように。





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