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書籍企画書に必要なのは、「売る現場」についての視点

書籍の企画書に取り組んでいて、はたと気付いたことがある。

単純なことだが、今すぐにでも本を出したい!商業出版したい!と鼻息荒く思う時ほど

・「なんとしても本を出す!」という気持ちが先行して

・売る現場のことまで気が回っていない

のだな。


言わずもがな、出版は一人でなすことではない。その原稿、企画を面白いと、理解してくれた編集者とともに作り、書店さんの力を借りて、売られるわけである。

自分の拙い書籍企画書を読み直していて気づいたのは、いうまでもなく、「あれ、これ、<自分の主張>しかない・・?!」ということであった。


そこに、編集会議で企画を通さなくてはいけない出版社のメリットはあるか?


そこに、その本が展開されるときの、書店員さんや売り方について熟考はあるか?


本を作りたい、出したい、と焦る時ほど、これらの視点が抜け落ちる。

本を作る楽しさ、多くの人に届くドキドキ感、あー早く届けたい!という気持ち、もちろんそこからスタートするのは全くもって間違っていないが、これらは同時に出版がくれる媚薬みたいなものでもある。

あくまでも、出版は<現場>であり、作る側にとっては<売れる>が正義なのだ。


私は書くのも読むのも、人の生き方や考え方に影響を与える、ドキュメントやノンフィクション、エッセイがほとんど。

よって、例えばそういう本を作りたい!となれば、現場や時代性をすっ飛ばして「これは作る価値がある」「たくさんの人に知ってもらいたい」とアドレナリン大放出で動いてしまう。(いやある程度の、旬、時代性などを感じているからアドレナリンが出るというわけで)

しかし、本づくりは勝手な使命感だけでうまくいくものではない。もっというと、「自分がいい!」と思う本と、「これは売れる!」と思う本は、別のところにあるものだ。

では、むしろ著者の知名度や実績に頼りがちな、そうでもないと出版で来そうもないエッセイやノンフィクションを、どう「売る」に落とし込むのか? 

長い間闇のループに迷い込んでいた問いでもあったのだが、要するに、

「売れる」を考えるのではなく、まずは編集者や営業さん、書店さんに、どう「売りたい」と思わせるか、なのだ。

つまりは、

・その本は、今まで出ているあまたの本と、一体何がどう違うのか。

・その本が、今出版されなければならない理由は、なんなのか。

・その本が、書店のどの棚に置かれた時、もっとも波及効果があるのか。

これらを考え抜くことが重要なのだ。

著者として、「書きたい」「伝えたい」その奥に、どんな社会的意義・価値があるのか。出版社や書店にどのように価値を理解してもらうのかを考えることで、その価値を炙り出せるかもしれない。

<差別化>された企画書は、企画の存在感がもう別次元。あるいは、これらに言及できない企画書は、商業出版の企画としては成立していないと考えた方がいい。あくまでも、<まだ>、練りが足りないということなのかも。


ここ最近の、商業出版に関する大いなる学びは、出版プロデューサーの西浦孝次さんのyoutubeチャンネルから。無料で視聴でき(ありがとうございます!)、企画書の作り方や出版のノウハウ、ここまで言っちゃっていいのか!?みたいな有料級のコンテンツばかりです。出版を目指す人は必聴だと思う。

出版プロデューサーという西浦さんの立ち位置、また書籍企画を持ち込みする側の視点から語られる、編集や出版についての発見も多い。いつか企画を見てもらいたいな〜。いや、見てもらおう。


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