見出し画像

最近読んだ本にまつわる本の話

最近読んだ本に関わる人の小説。

塩田武士 / 騙し絵の牙(KADOKAWA)

主人公は出版大手の「薫風社」で、カルチャー誌「トリニティ」の編集長を務める速水輝也。
中間管理職でもある40代半ばの彼は、周囲の緊張をほぐす笑顔とユーモア、コミュニケーション能力の持ち主で、同期いわく「天性の人たらし」だ。
ある夜、きな臭い上司・相沢から廃刊の可能性を突きつけられ、黒字化のための新企画を探る。
大物作家の大型連載、映像化、奇抜な企業タイアップ。雑誌と小説を守るべく、アイデアと交渉術で奔走する一方、巻き込まれていく社内政争、部下の不仲と同期の不穏な動き、妻子と開きつつある距離……。
交錯する画策、邪推、疑惑。
次々に降りかかる試練に翻弄されながらも、それでも速水はひょうひょうとした「笑顔」をみせる。
しかしそれはどこまでが演技で、どこからが素顔なのか?  
やがて、図地反転のサプライズが発動する。
出版業界の現状と未来を限りなくリアルに描いた群像小説は、ラストに牙を剥く!

主人公は元新聞記者で雑誌の編集長として働く速水。
最初に読んでいると編集長として雑誌を守るために、上層部と作家や部下に板挟みになりながら奮闘する話かと思ってたんですが……。
この引用文の最後の1文、ラストに牙を剥く!は全く大げさな言葉ではなく、全くその通りなのです。
そして、「罪の声」を読んだときにも感じた、限りなくリアルな感じ。
電子書籍化やスマホに時間を取られ、悪戦苦闘する姿。
リアルすぎて紙の本が大好きな身としては読んでいて悲しくなる部分もありました。
ただラストを読むためだけに読み続けてほしいです。


早見和真 / 店長がバカすぎて(角川春樹事務所)

谷原京子、契約社員、時給998円。店長が、小説家が、弊社の社長が、営業がバカすぎて「マジ辞めてやる!」 でも、でも…。
本を愛する書店員の物語。

「幸せになりたいから働いているんだ」
 谷原京子、28歳。独身。とにかく本が好き。現在、〈武蔵野書店〉吉祥寺本店の契約社員。
山本猛(たける)という名前ばかり勇ましい、「非」敏腕店長の元、文芸書の担当として、次から次へとトラブルに遭いながらも、日々忙しく働いている。
あこがれの先輩書店員小柳真理さんの存在が心の支えだ。
そんなある日、小柳さんに、店を辞めることになったと言われ……。

続いてはこちら。
今回の主人公は本屋さんの契約社員の谷原京子。
本が大好きで、本のために働いているのに、全然上手くいかない、それでもめげずに頑張る姿。思わず応援してしまうのです。
この小説も最後に驚きの結末が待っているので、ぜひ読んでほしいのです。

「店長がバカすぎて」では、大学生バイトの子が出版社に就職が決まったとき、谷原は嫉妬してしまう、という。
この子は私と一緒に働いていたのに、安定して高月給取りになる。
実はこの小説の中では、出版社は発注しているのに返本させるのが嫌でなかなか届けてくれない、どちらかというと敵として描かれていること。

本をまつわる話でも立場が違えば敵対関係になること。
双方とも本を、小説をこよなく愛しているのに――。
その点が面白くて、2冊一緒に紹介してみました。

ぜひ読んだら感想ください◎
夜長の秋、読書の秋のお供にぜひ❁⁺


購入は以下から☺


honto 騙し絵の牙
honto店長がバカすぎて


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?