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【妊娠日記】子どもが産まれるまであと64days

あたらしい小さな命がお腹にやってきて、1日1日を大切に噛み締めながら、それでもあれよあれよと、200日以上が経った。

妊娠初期は、驚きと心配、とにかく無事に育ってくれるのだろうかという不安と、つわりの信じられないほどのつらさに文字通り倒れ込み。

妊娠中期は、ある日突然、モヤが晴れたかのように「こんなに世界は美しかったっけ」という想いと共につわりが消え行き、束の間の安定期を逃すまいと飛行機に乗れるだけ乗って旅をした。

その結果、お腹が張ってほぼ自宅安静するしかない状態で迎えた妊娠後期が今。子どもが産まれる予定の日まで、あとわずか64日。あと64回夜を越えたら、つい昨年の11月頭にはこの世の中に存在もしなかったあたらしい命が、この世界にやってくる。

実感がない、というわけではない。お腹の中で、日々ひび、「ぽこポコ」どころか「ドス!」「ドゥルルン!」「ドドドドドド」「ゥイーン」と存在を主張するきみのことを、2023年の秋の暮れから冬のぜんぶ、春のぜんぶ、そして梅雨に差し掛かりそうな大雨の今夜まで、一瞬たりとも考えなかったことはない。ずっとずっと、お腹にやってきてくれた、小さいけれど、圧倒的に私よりも力強い、毎日育ち続ける命の尊さとうれしさに、泣きたいくらいに幸せで。

実感は、おそらくある。けれどそれは「妊娠している」「この身体に違う命がある、という実感なのかもしれないな。「産まれる」ことに対して、本当の意味で意識し始められたのは、ほんのこの1週間くらいのことな気がしている。

妊娠30週の5日目の夜。最近、お風呂上がりにパートナーが妊娠線予防のクリームをお腹に塗ってくれている。その時に、初めて「ねぇねえ、起きているならキックゲームしよう」と話しかけた。最近買った「たまひよ後期」の雑誌に書いてあったのだ(笑)。今、ベビーは私の臍の数センチ上から、両脇腹、恥骨あたりまで、盛大に幅を取ってお腹の中で生きている。その辺りの範囲を気ままに「トン」「トントン」と何度か優しく叩いてみると、いずれ内側から、叩いた場所と同じ箇所を、蹴り返してくれるようになる。いわゆる胎児とのコミュニケーション手段の一つと言われているらしかった。

今夜もトライ。一度だけだけれど、正確に私が叩いた場所と同じ箇所を蹴り返してくれた時は、早速の親バカっぷりを発揮して「すごい!」と声を出してしまった。

最近、胎動が本当に激しくて、まだ胎動だけで夜中起きることはない……ような気がしているけれど(夜中は、1〜2時間置きに起きては眠って、を繰り返しているので、その中の何度かもしかしたら胎動なのかもしれないが)、つい妊娠27週くらいまでは左右対称でいてくれたお腹の形も、最近はすっかり時によっては「どちらかに偏って」いたりする。

お腹が張ると台形だし、ベビーの伸びの体制によっては右全体が出っぱったり、逆に出っぱったり。つい昨日かな、今週のどこかかな。妊婦健診時のエコーでベビーの体制が概ね把握できていることもあり、「これはもしかしてかかととか、足先のどこかかな〜」と予想できるくらいの「局所的出っ張り」の傾向も見えてきた。

4月半ばに600グラムだった君は、5月末には1600グラムまで大きくなって。すくすく、スクスク。私も順調に、すくすく、スクスク。人生で初めての体重ステージに入り始めて、先日主治医にこれまた人生で初めて「もう体重あんまり増えないように気をつけてください」とやんわり注意を受けた。なんと。

そろそろ、いつ陣痛が起こっても焦らないように、陣痛〜出産〜入院前後の日々をカバーできるように、いわゆる「入院バッグ」を用意した方がいい、とさかんに周囲もアプリも言う。

そもそも、あと3週間ほどで里帰り、自宅に帰ってくるのは2ヶ月以上先の未来、ベビーと共に、という状況だから、里帰りの準備もせねば。

里帰り先と、自宅のベビーを迎える環境の用意もきっといるのでしょう。まだ、つい可愛くて夫婦で衝動買いしてしまった、2歳くらいにならないと履けない猫のしっぽ付きの靴下(飼い猫の2匹にとってもそっくりな色合いセットがあったので、つい、ついね……!)しかほぼ購入していない。

6月は、そういう、「君が産まれてから」の暮らしを快適にするための整えに、少なくない時間を割こう。体も、心も、どんどん変わっていく。世界一周していた頃も、眩暈がするほど幸せだったけれど、あの幸せは渇望に基づいていて、ここ最近の幸せは、満たされたスポンジの上で、ふわふわと漂っているような。

明日から妊娠31週。ベビーの最後のこの世界で生きるための器官、肺が出来上がるまで、あと3週間ほど。もう少し、お腹の中で一緒に生きて。

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子どもが産まれるまでの特別な日々を忘れないために

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