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見つめて笑えば、世界はとても柔らかく。

どうしてひとりの旅が好きなのか、その理由は薄々理解できるようになってきて、私は本当にことばを紡ぎたくて、湧き出てくることばを手放したくなくて、それを綴って、綴って、閉じ込めて開放したいのだ、と。ひとつ残らず、見つけたことば、できれば手のひらにおさめて、つかむ。

それが複数いると、どうしても上手くできない。さみしいから、甘えたいから、ねぇねぇ、と聞きたいから。話して話して、おしゃべりね、止まらないねと。あのひとは言ってた。「どうしていいラインのところで止まれないの」と。「すぐ調子に乗ってしまうの」と返したけれど、ほんと、それはその通り。恋もおんなじ、止まれないの。止めたいとも思わない。

見つめて笑えば、世界はとても柔らかく。また会えたね、と言えばそこで、ホーチミンだってやさしい街に変わると知った。だから会いたいし、触れたいし、きっとそのほうがいいんだと思うし、この1年そう思って生きてきたよ。けれどどうして、また私はひとりでどこかへゆくチケットを。またこの手のひらにおさめて、つかまえてしまうんだろう。

すべての場所を発見して、明日か明後日、何処の誰も、私がどこへ行ったか知らないなんて。そしてまた手を開いて、余白にカメラを携えて、そして本を読んで、歌をうたう。たゆたう、にじむ。なぞりたいことばは浮かんで消えて、そんな文章が書けたらいいと思うものを、あなたはくれる。

会いたいな、と私は今日も思っている。ふしぎなもので、離れたら離れた分だけ、大事なものは浮き上がる。白い壁見つめて、おいしいベトナムのサードウェーブコーヒーをいただいて。私は前にもまして、自由だった。どこへ行ってもいい、行かなくてもいい。仕事は好きだし、場所は自由だし、時間だって時差があるから、だれもなにも言わなかった。バイバイ、と言ったところでまた会えるから。それでいい、と思ってた。たぶんまた会える。ベトナムから、国が変わっても。

いつも遊びにきてくださって、ありがとうございます。サポート、とても励まされます。