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少年漫画主人公から学ぶ:経営リーダーの器の変容

こんにちは!MIMIGURI代表Co-CEOのミナベです。私たちは多角化経営に関する研究とコンサルティングを専門としています。近年、MIMIGURIでは経営人材育成のプロジェクトが増えています。

大企業においては創業者が退任した後、次世代の経営陣を育て上げる長期的な戦略の重要性が高まっています。このような状況で併走させて頂く内容が、経営人材候補の方に対する以下のアプローチです。

エグゼクティブコーチング|1対1のセッションを通じて、コーチが成長目標の整理や達成に向けた支援をします
エグゼクティブファシリテーション|ファシリテーターのもと、経営リーダー候補同士が集まり、議論や対話を通じて集団で成長目標を追求します

私たちが出版しているパラドックス思考や問いかけの作法などの書籍は、経営人材の成長を支援する過程で得られた知見をまとめたものです。経営者には矛盾に満ちたムリゲー状態でも意思決定を行い、リーダーシップを発揮することが求められます。それを経営経験のない状態から習得するには、不安や葛藤を乗り越えて未知の扉を開いて踏み込む勇気が必要です。そこで私たちのような併走者の必要性が増えているのだと考えています。

CULTBASE Radioの『少年漫画シリーズ』

前段が長くなりましたが、これらの経験を踏まえ、「少年漫画から学ぶ、経営リーダーの成長段階」シリーズをCULTBASE Radioで話しました。こちらは共同代表で東大の先生である安斎さんと配信しているPodcastです。

「経営リーダーの成長」という重たいテーマ笑をより楽しく捉えるために、「少年ジャンプの主人公が経営者だったら、彼らの強みや弱点は何か?また、リーダーシップ開発に必要な支援は何か?」という観点で話を展開しています。

また経営者に必要な"器"という概念を軸に展開しているのですが、この概念は成人発達理論から導かれています。この心理学の分野では、「器」はリーダーが世界をどのようなフレームで捉えているかを表す概念です。

CULTIBASE Radioより

"器"はリーダーシップや人間関係に大きな影響を与え、企業創造において重要な概念とされています。経営リーダーの変容において、リーダーがどのように世界を捉えているのか、その強みと歪みが何であるか、そしてどのように支援をすべきかを考察しました。求めてもいないのに問いかけられる6人のキャラクターからすれば堪ったもんじゃない気もしますが、こちらを通じて、参考になる内容を提供できればとても嬉しいです。

1人目|夜神月をコーチングで救えるか?

1人目は、漫画「DEATH NOTE」の夜神月にコーチングを試みました。夜神月は、「正義と悪」の二項対立で世界を捉えるカウンター・リーダーの典型です。このタイプのリーダーシップは、社会の負(悪)に対抗し、それを打ち倒すことをビジョンに掲げるリーダーに見られます。巨大な市場で急成長が期待できる場合には、このリーダーシップが効果的に働くことがあります。

しかし、市場の不確実性が高い現代社会では、このような二項対立的な考え方はやや不安定な戦略となります。複雑な関係性で構成される現代社会において、単純な二項対立で物事を捉えることはとても困難なのです。

下手な問いかけをするとデスノートに名前を書かれてしまう危険性がある中で、どうすれば彼に関心を持ってもらい耳を傾けてもらえるのか?について考えました笑

2人目|孫悟空を“良いリーダー“に変える問いかけの突破口

2人目は、漫画「ドラゴンボール」の孫悟空にコーチングを試みました。孫悟空は、「自分を強くしたい、強い相手と戦いたい」というピュアな世界観を持ち、自己の成長と技術向上に情熱を持っています。これは、個人の能力を極めることが事業拡大の鍵となる場面で有効なリーダーシップです。

反面自身の能力の高さで人を牽引する力があるものの、「なぜ高みを目指すのか」を語れていないという弱みがあります。リーダーシップの観点では、集団の目標や役割を見失いがちであり、組織全体の成長やスケーラビリティに制約が生じることがあります。

とはいえ悟空に対して「ビジョンが重要である」と語っても、全く受け入れられてもらえる感覚がありません。どうすれば彼が「強さのための強さ」から抜け出し、仲間同士で力をあわせ、大きな山を登ることを成し遂げられるのかについて考えてみました

3人目|緋村剣心に寄り添う「ケア型」マネジメントの勘所

3人目は、漫画「るろうに剣心」の緋村剣心にコーチングを試みました。剣心は、「なぜ強くなりたいのか」という問いに対して、「弱き者を剣で助けるため」という考えを持つサーバント・リーダーでもあります。

反面剣心は自分の痛みに対してかなり鈍感で、自己犠牲的なふるまいに陥りがちです。一見美談のようにも見えますが、そのリーダーシップは彼自身が無理して成り立っている故に、組織としてはどこか息苦しい状態に陥りがちです。

剣心は悟空以上にいろいろな経験をし、考えた結果たどり着いた人格のため、慎重に関係性を築かないと拒絶され傷つけてしまう可能性もあります。尊敬と配慮を大切にしながら、どうすれば無闇に自らを傷つけずに、仲間と共に歩める様になるのかを考えてみました

4人目|大魔王討伐後のポップに立ちはだかる、真の成長課題とは?

4人目は、漫画「ダイの大冒険」のポップにコーチングを試みました。ポップは物語中で変容を次々に遂げており、いわゆる現代型リーダーシップで重要とされる「オーセンティックリーダーシップ」の持ち主でもあります。仲間と共に大きな山を目指しながらも、皆と力を合わせ、互いに個性を尊重して自己開示しあえる...そんな魅力的なリーダーと言えます

ただし、ポップのリーダーシップは属人的であるため、彼がいるといないとではチーム状態が大きく変わってしまうため、彼がいない時でもチームの良さを保つにはどうすれば?という問いがとても大切と言えます。

また同時にポップは圧倒的な外的目標である「大魔王を倒す」という目標に突き動かされてきた為、彼自身の目的やモチベーションについて深くフカボリして再現性を持つことが、大魔王がいなくなった世界でも活躍し続けるためには大切と言えます。その支援をするにはどうすれば良いのかを考えてみました

5人目|枠組みに囚われたドラえもんの覚醒条件

5人(体?)目は、漫画「ドラえもん」のドラえもんです。少年漫画主人公なのか怪しくなってきました笑。物語では、学校生活でのび太が友達関係の問題を解決するために、ドラえもんが秘密道具を提供し、失敗を重ねた末にリフレクションして教訓を得るというパターンが一般的です。これは経験学習を促進するお手本のようなアプローチです。

ドラえもんが経営層になると、人材育成や組織開発を安定的に行いそうなイメージがあるものの、"自分自身の変容"に対するコミットが薄い感覚が見受けられます(勝手な言い分を言って、ドラえもんさんごめんなさい)。どのような社会を共に創造したいのかを経営チームで考える姿勢が重要とも言えます。

そこで、自分自身のアンラーニングと学習を重ねながら、チームを共に構築できるようになるための問いかけやアプローチについて考察してみました。

6人目|使命を全うした竈門炭治郎の余生に寄り添う

6人目は、漫画「鬼滅の刃」の竈門炭治郎です。彼は物語の初めから他者との繋がりを大切にするポップ的なリーダーシップを発揮し、物語が進むにつれてそのリーダーシップを強化しました。彼は他者との協力が自己変容に繋がることを理解し、集団学習の最先端にいる存在でした。

アニメのみをご覧の方にはネタバレになってしまいますが、原作では炭治郎は物語の終わりに25歳で亡くなることが明かされています。つまり、彼は物語が終わった後、余生を過ごすことになります。また経営リーダーとしての変容段階にここまで到達してしまうと、「世捨て人」のような存在になり、人間関係が希薄になってしまうことがあります。

そんな彼の余生を充実させ、さらにはその中で再び挑戦をしたくなるような気持ちを取り戻すために、どのようなサポートや問いかけが必要なのかを検討してみました。

終わりに:経営リーダーは大変だ

やればやるほどに、勝手に漫画主人公に問いかける企画なので、自分たちは何様だ笑というツッコミが頭の片隅に芽生え続けたのですが、なんとか6人分話すことができました。しばらく時間が経過した頃にまた7人目にチャレンジしようと思いますので、もしキャラクター希望があれば教えてください。

また例えムリゲーみたいな経営環境であっても、こんな感じにプレイフルな学習支援をお届けしたいと考えています。もし経営人材育成や、コーチング・ファシリテーションのお仕事オファーがあればぜひMIMIGURIのサイトからお問い合わせください。

それではまた!


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