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【映画鑑賞】空白
古田新太主演『空白』を観たので感想を少し。
この映画を観て思ったのは、生きるって本当に大変だなということ。
善悪がハッキリしていて、敵を倒せばみんながハッピーになれるヒーロー映画とは違って、現実世界はもっと複雑だし、”ハッピーエンド”なるゴールもないから良いことがあろうと悪いことがあろうと明日も明後日も生きなければいけない。
生きていると、「どうしようもないこと」に遭遇する。
でも、そんな時に「こうすればよい」という解決策はない。
『空白』の登場人物は、どこにでもいそうな人たちである。こういう人いるよね。こういうことあるよね。と、まさに現実世界のワンシーンを切り取ったような映画だ。だからこそ映画の内容をすごくリアルに感じるし、これがノンフィクションだと言われても普通に信じることができるだろう。
世の中は理不尽なことで溢れている。
突然娘を失った父親は、娘の死を理不尽だと思うだろう。
でも万引きをされて、捕まえようとしたら交通事故に遭ってしまい、それをあたかも自分のせいのように世間から非難されれば、それも理不尽だと思うだろう。
車を運転していて突然飛び出した子をはねてしまって、前を向いて運転していただけなのに「加害者」となる。それも理不尽だ。
いきなり飛び出した子のせいで加害者となり、罪の意識から逃れらなかった心優しい娘が自死に追いやられたと思うとそれも理不尽だろう。
理不尽なことを目の前にした時、人がどう対応するかは人それぞれだ。
古田新太の性格と松坂桃李の性格が入れ替わったら、この話は全く違うストーリーとなるだろう。
自分だったら、と考えてみる。
自分が父親だったら。自分がスーパーの店長だったら。自分が少女をはねてしまった運転手だったら。自分が少女の担任だったら。
どの立場もつらい。でも、これは映画を観ている視聴者だからどの立場も辛いと感じるのであって、自分が当事者だったらそんなことには気づかないだろう。自分の見えているもの、自分の感じていることが正しいことだと思ってしまうし、他の人のことは見えないだろう。
そんなやるせない気持ちが残る映画だった。生きるって大変。
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