渋谷龍太さんについて書いてみる
最近、渋谷さんのエッセイを読んでいるのでこの方について書いてみようと思う。
正直言うと、本当に最近知った方だ。
”SUPER BEAVER”というバンドも、ちょっと前に知った。
調べてみるとバンド結成19年のわりと古株(?)じゃないか!
年齢もそんなに変わらない!
私は、高校生の頃からライブハウスに行きまくっていたし、昔の音楽も流行りの音楽もアンダーグラウンドの音楽もそれなりに聞いてきたし、毎年夏フェスの時期になると行けないのに誰が出演するだろうと、気になって各フェスの出演者を調べたりしていた・・・のに。
なぜに、よくもまぁここまで出会うことがなかったのかと思う。
そんなに東京と三重は離れているかい?日本よ。
そして、それほどまでに、今ハマっている。
そういえば、バンドの名前としては、2020年のコロナが拡散されたあたり、YouTubeでTHE FIRST TAKEを見あさっていた頃、サムネイルで見たことはあった。
でも、あの渋谷さんのメイクと髪型を見た瞬間、最近出てきたビジュアル系バンドだと思い込み、再生ボタンを押すことはなかった。
そして数年後、めっちゃテレビで見るようになった。
地上波なのにわりとマニアックな音楽番組である”関ジャム”にたまに出ていることも知っていた。
”名前を呼ぶよ”が映画の主題歌になっていることも知っていた。
そう、ただ知っているくらいだった。
昨年の12月3日の”関ジャム”を見るまでは。
私は、人から発される言葉に惹かれて、人に惹かれることが多い。ように思う。
音楽が好きになったのも、小学校の頃に歌詞に惹かれたからだし、学生の頃に先生に言われた言葉も今でも心にとめているし、会社の上司も言葉に命が吹き込まれたように説得力のある人が好きだった。
言葉は、その人を表す。
その日の“関ジャム”も何気なく見ていた。
その時のゲストは3人いて、渋谷さんのトークは2番目だった。
音楽好きでなければ置いていかれるような、THEバンドマンのトークだった。
あるバンドの音楽を聞いて衝動的にCDを買ったこと、新譜が出る度ワクワクしたこと、そのバンドにハマってライブハウスに行くようになり色んなバンドを知っていったこと、
手にとるようにあの頃の私でもあった。
最近忘れていたあの頃を思い出させてくれた。
高校生の頃、友達に誘われて恐る恐る行ったライブハウスで私は人生が本当に変わったと思っている。
目的は友達のバンドだったが、対バンに年上の大人のバンドもいて、そのバンドが一音出した瞬間に同級生である高校生バンドとはあからさまに違う、体の中を突き抜ける音に凌駕した。
そのバンドのライブを見に毎週色んなライブハウスに行ったし、さらにそのバンドのライブに対バンで出ていたバンドとたくさん出会い、"スカ"というジャンルを知り、スカバンドを組んでいたこともある。
そのバンドのおかげで、学校では出会えない友達や大人と出会えたし、たくさんの音楽と歌詞に出会えたと思っている。
渋谷さんの話を聞いてそんなことを私も思い出していた。
ただそれは、アンダーグラウンドの世界の話で、テレビで見るいわゆるメジャーの人達は別だと思っていたし、交わることはないと思っていた。
もちろん中学生の頃大好きだった"ゆず”は路上ライブから始まったし、星野源はそもそもバンドで歌ってさえいなかった。
そんなところから始まりメジャーで大活躍しているが、だからと言って路上やライブハウスで今でも活動しているかといえばそうではない。
渋谷さんが発した次の言葉で、私は彼をさらに知りたくなったのだ。
「アンダーグラウンドとオーバーグラウンドの"かすがい"になりたい」
彼は続ける、
「ガキがCDを手に取ってワクワクするような人になりたい」
まさに私があり得ないと思っていたことを、彼は"かすがい”になりたいと言った。
"かすがい”という言葉をこういう時にこの年代の人が使うのを初めて聞いて、どんな意味の言葉なのか不甲斐なく調べてしまった。
"子はかすがい”とは聞くが、それ以外で誰からも聞いたことがない言葉だった。
なんでそんな言葉を使うのだろうと、彼のルーツを知りたくなったし、何より子どものように、あの頃のワクワクした心の中を話している姿は大人としてとてもカッコよかった。
私もずっと心に持っていたい気持ちだ。
彼を知った時に抱いた、”最近出てきたビジュアル系バンド”のイメージはもう皆無。
それから、WikipediaやYouTube、年末の音楽番組など全て追いかけた。
年末の音楽番組でタトゥーを消して出演しているところですら素敵だと思ってしまう。(私的にタトゥーには全然抵抗感はないが、あえてテレビで隠しているところが歯痒くて素敵)
そんなこんなで、エッセイ本を出していることを知り、今に至っている。
昨年のクリスマス前に東京に行く予定があったので、渋谷のタワレコに行ったらあったのだ。
”吹けば飛ぶよな男だが”というエッセイ集。
もう、一文目から面白い。
日常の出来事をこうも映画のワンシーンのように書けるもんだと思うし、日常の切り取り方や、感じ方、持論もぶっ飛んでいて面白い。
そういえば私は、小さい頃からお笑い芸人の漫才を見て、面白いと思わない子どもだった。
あ、嫌な意味ではなく。
言葉の操り方や、流れ、展開、伏線、オチ含めて頭がいい!(=面白い)と思って見ていた。
ドラマの脚本みたいに、すごい!(=面白い)と思って見ていた。本望ではないと思うが。
こういう、言葉が面白い人は、頭の回転が早くて頭がいい人なんだと本当に思う。
あることを、余すことなく伝えられるのは、その人の使命だとさえ思う。
バンドマンはカッコつける職業だと思っていたけど、そんなカッコつけたカッコよさでは収まらないカッコよさがあると思う。
見た目で判断してかなり失礼ではあるし、渋谷さんを知るのにかなり遠回りしたが、だからこそ今気になっているのかもしれない。
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