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小崎っ子青年たちの活動を社会教育活動として考察する

令和4年度の社会教育主事講習を受講して無事に社会教育士となって1年目。私が暮らしている地域で「社会教育施設」を建設するための「社会教育活動」が行われていて興味深く感じています。
当初の視点はUIターン促進に繋がるのではないかと思って記事を書き始めていたけれど、私が個人的に思うところがどんどん湧き上がってくるので別のシリーズとして考察したいと思います。

▼本編はこちら▼


社会教育活動とは

社会教育活動とは、なにかと言うと、「大人がなにかしらになろうとして探求活動を行うもの」のこと。
今回で言うと、小崎っ子青年たちは意図していないかもしれないけれど、人口減少という社会問題を解決するための起点としての社会教育施設を建設し、小崎地区に住みたいと思う同世代を増やそうと試みています。つまりこの場所で自分たちが「主体」となって、地域を引っ張っていこうとする存在になろうとしているのではないかと。

このような気持ちの醸造には周囲の人たちとの関係性も重要となってきます。「出る杭は打たれる」状況にあるのだとしたらこれらはなかなか芽を出しません。(ただし、「出る杭は打たれる」ことへの「拒否」という大切な感情はしっかりと醸造されるため、”その時”を待って芽を出し、大きく花開く可能性は高い)

今回の例では
①人口減少によって危機的状況を目前に控えている事実への理解
②事実への拒否の感情
③自分が主体となることで可能性を残せるのではないかという仮説
④仮説の検証
というステップを踏んで小崎っ子青年たちの活動が始まっている。

この①~④は私が以下の記事を作成した時期に小崎っ子青年たちと共に活動する中で養われていっていると思います(多分)。

なにより、移住者という外の刺激を拒否せずに耳を傾けてくれた小崎っ子青年たちの寛容さあってこそのこの状況だと思います。私は少々過激なところがあり、(民衆を動かすために極端な表現を使ったりしていた)それを中和させるための出身者の意見でした。移住者の意見を排除させないために、出身者も同意しているという伝え方は効果があったのではないかと思っています。

((((私が地区の中で浮いていかないようにと配慮してくれた青年たちのおかげで私は今でも小崎地区で良好な関係を築けております。ありがとうございます;;))))

探求活動としても素晴らしい

今小崎っ子青年たちは「このような施設なら使われるのではないか」「里帰りしたときにみんなが立ち寄ってくれる場所になるんじゃないか」と考えています。これは素晴らしい仮説であり、仮説なしに進めてしまうと「社会教育活動」ではなくなってしまいます。
なぜかというと、社会教育活動には必ず「学び」があるから。
この仮説を立ててく作業の中にも小崎っ子青年たちの学びが含まれています。しかもそれを1人で行うのではなくチームとして行っていることに価値があります。多様性を含みながら、お互いの意見を聞き合い、尊重し、ちょうどよい加減に落としどころを創っていく。成功している社会教育活動の例では、”未知の問題に人々が知恵を出し合い協力し合って正解を模索していく”という要素が含まれています。
このプロジェクトの経過の中にこれらの要素がたくさん詰まっているので参加者としても、探求者としても、記録者としてもとても面白いですね…!!

探究活動にも「拒否・拒絶の感情」は欠かせない

PDCAサイクルというものが一般的になってきていますが、同じPDCAサイクルというフレームを使っても成功する人と失敗する人がいます。あるいは自分自身においても成功する時と失敗する時があったり。それらの違いは「拒否・拒絶の感情の有無」ではないかと思っています。
これはプロジェクトに取り組む際の動機になる部分でもあり、継続して活動を行うための要素でもあるのです。この拒否の感情の度合いについても今回の活動の経過を見守る中でどの程度必要なのか検証していきたいです。

他にも私が検証したい仮説がいくつかあります。

【テーマ】主体はどう育っていくのか

①「取り組んでいて楽しい、かつ、活動しなければ拒絶したい状況に近づいてしまう」という要素が小崎っ子青年たちを主体たらしめているのではないか。

②自分自身が当事者にならなければ、「拒否・拒絶」を回避できない=「主体になりたい」という感情が育つのではないか?

▲私が小崎っ子青年たちを追いかける中で結論を見つけていきたい仮説①

私が地域おこし協力隊として様々な活動をしていく中で感じたことと、社会教育士になるために学んだことをすり合わせたときに発見したもう一つの仮説も検証したいと思っています。

【テーマ】人手確保のために駆り出される中でも継続したいものと継続したくないものがある。その差はなにか

①その活動に個人的な学びが含まれていたかどうかで、継続性が変わるのではないか。

▲私が小崎っ子青年たちを追いかける中で結論を見つけていきたい仮説②

面白いですねー。これについて考えながらあらゆる活動に参加したり観察したりするのが面白くてワクワクが止まりません。

かなりの余談ですが、先日行われた村の女性スポーツ祭に参加したときも検証したい仮説がでてきまして、それは「社会教育活動に積極的に参加する奥さんを持っている人は出世しているのではないか説」でしたw意外と外れていもいない気がするのですが、どうでしょうねw

最近読んだ本の中に、「人間は常になにかになろうとしている存在」であるという文がありました。私はその通りだと思っています。お金持ちになることがゴールではなくて、プロ野球選手になることがゴールではなくて、「プロ野球選手になってどんな経験をしたいと思っているのかという存在」なのだと思います。だから常に経験を欲している状態であり、なにかになろうとしている人は魅力的に見えるのだと思います。

成功事例を生み出すためには”尖った個性”と”難易度”が必要

さらにさらに、最近私が注目している”活動理論”という考え方があります。(詳しくは▼のFBの記事を参照)

前回投稿した企画書のことで声を掛けられることが多々あったので続編です。活動理論、めっちゃたのしくで本家の本を購入。5000円もするし翻訳版だから何書いてあるかめちゃわかりにくいけど、楽しみがすぐに終わらないからそれもいい。この理論を人口減少...

Posted by 天野 朋美 on Wednesday, May 10, 2023

この理論でいくと、小崎に人が増えていくためには椎葉村内での個性とこれを成し遂げるための難易度も必要となります。新集会センターに個性をどの程度含められるかに注目です。

さらに大きな探求テーマは「探求活動を体系的にまとめて再現可能にすること」

私は中学生の探求活動を支援してきた流れを受けて、探求学習の方法や不可欠な要素を体系的にまとめることに興味があって、幅広い分野にヒントが眠っていないか探っている最中です。
今回の小崎っ子青年たちのプロセスには、そのヒントが隠されていると思う。そしてゆくゆくは椎葉中学校の総合的な学習の時間に応用したいと思っています。

((((夢はやっぱり全国の子どもたちの探求活動支援に展開していくことですね))))

また考察が増えて書きたくなったら本編とは別の考察記事にまとめたいと思います!
乞うご期待…!!!

▼本編はこちらから▼


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