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アメリカの学習基準、コモンコア

前回は、小学一年生の長男が通う公立校のディスタンス・ラーニングのスケジュールをご紹介しました。次に日々の学習内容について触れる前に、まずはその前提となるカリフォルニアの学習基準についてお話しします。

これは、カリフォルニアの公立校で現在ディスタンス・ラーニングを行っている息子の一日のスケジュールです。

1. 先生からのビデオメッセージ(毎朝5分)
2. クラス全体のZoom授業(月・水:60分)
3. 先生による読み聞かせ(20分、本はその週のテーマに沿ったもの)
4. 国語 - Language Arts(20分、主にリーディング、文法)
5. 文章 - Writing(20分、文章を書いたり、要点・考え等を書く練習)
6. 書取り - Spelling(15分、読み書き及び文法習得のための書き取り練習)
7. 読解 - Reading Group Assignments(20分、読解レベルに合った課題)
8. 算数 - Math(25分、教材に基づき、1ページ分(裏表)の問題を解く)

カリフォルニアでは、コモンコア(Common Core State Standards: CCSS)と呼ばれる全米共通の学習達成基準を、州内全ての幼稚園から高校まで採用しています。

コモンコアって、なに?

カリフォルニア教育省(California Department of Education)のウェブサイトで調べてみました。

もともとアメリカ合衆国では、他の多くの分野と同様、教育における共通の基準は定められていなかったようです。なので、州ごとにその基準はばらばらでした。

そこで州を超えた共通の達成目標を定めることで、国全体の学力アップにつなげようという趣旨のもと、教育の専門家や先生、親たちによって作られ、2010年から40以上もの州で採用されはじめたものがコモンコアでした。

ということは、アメリカ合衆国ではほんの10年前まで国として共通の学習指導要領(どころか、基準)のようなものがなかった…?

州の権限が強いアメリカ合衆国ならではの経緯ですね。そして、現在でも採用していない州は数少ないものの存在します。

コモンコア誕生の背景は、以下の動画でわかり易く説明されています。

数多くの州が採用しているコモンコアですが、これにはあくまで国としての「達成目標」が示されているだけ。どのようなカリキュラムとアプローチで進めるかは、州やカリキュラム作成者、先生たちに任されています。

カリフォルニアでは、このコモンコアをベースに、教育省や学者、専門機関、先生、親、生徒たちからのインプットや最新の研究結果を組み込むことによってアップデートし、時代にあった独自の基準を設けているようです。

興味のある方は、PDFで閲覧が可能です。

▪️English Language Arts/Literacy

https://www.cde.ca.gov/be/st/ss/documents/finalelaccssstandards.pdf

▪️Mathematics

https://www.cde.ca.gov/be/st/ss/documents/ccssmathstandardaug2013.pdf

英語(English Language Arts/Literacy)に関しては、ただ読解、読み書き、文法などを学ぶというものではなく、網羅しなければいけない文章の種類も文学系と情報系にわかれていて、寓話や冒険ものなどの物語や詩から、サイエンス、歴史、自然分野の情報まで多岐にわたります。

必須ではない!?図工や体育や音楽

ここで、疑問に思われる方もいるかと思います。図工や体育、音楽はないの?と。実は、これらの教科はカリフォルニアでは必須ではありません。だから学校によって授業として取り入れているところと、そうでないところがあります。

そしてそのような授業は、私の知っている限りでは様々な方法で得られる基金や寄付金で賄われています。

息子の場合、体育や音楽は定期的にありましたが、サイエンスや図工はイベントとして開催されるだけでした。学校やPTAは、学校の授業を充実させるため、定期的に保護者に寄付を募ってきますし、その他あらゆる方法でファンドレイジングを行います。

これでは、どうしても学校間の格差は避けられないですね。日本で色々な教科が網羅されていることは、とても有難いことなのだと改めて思いました。

リーディングで色々と網羅

小学一年生の息子に関して言えば、当初から読書量が多いなという印象でした。学校が閉鎖したあと、息子の学習のサポートをする機会がさらに増えて、その印象は確信になりました。やはり、リーディングへの力の入れようがすごい!読むだけでなく、理解し、書く、そして書いて発表する。毎週、このパターンの繰り返しです。

多いのは量だけではありません。読む本の種類もです。コモンコアで示されている様々な分野を網羅しています。社会やアートやサイエンス、歴史、自然に至るまでカバーされているので、読書を通して自然と学び、ディスカッションができるようになっています。

算数はその点、まだ小学一年生だからなのか、ボリュームも難易度もリーディングに比べると軽めの印象です。ただ、まわりのアメリカ人のママもよく言っていますが、問題へのアプローチが数十年前とは全く違うようで、戸惑う保護者も少なくないようです。

次回は、ディスタンス・ラーニングで日々どのような課題をこなしているのかを、息子のケースでご紹介したいと思います!


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