第二章『開拓』

 大学生活は本当にとても恵まれた環境で過ごしました。週に一回の声楽のレッスンとピアノのレッスンを軸に、様々な授業がありました。著名な演奏家の公開レッスンや、沢山の演奏に触れる機会がありました。同世代の大人っぽい姿とプロさながらの演奏に驚き、女装をして授業をする先生がいたり、授業が始まる前に教室の四隅に結界を張る先生もいたり…田舎の進学校から出てきた私にとって、それまで出会ったことのないような人たちがたくさんいて、焦ることもありましたが、毎日がとても刺激的でした。

 2年に上がるとき、友人の誘いでミュージカルサークルに入りました。そこでの出会いがきっかけとなり、他の学校のサークルに入ったり、どんどん人脈が広がっていき、様々な繋がりの中で、ミュージカルの舞台を夢見る同世代の仲間たちと切磋琢磨しました。

 卒業が近づく頃には、先輩や友人が憧れの劇団や事務所に入ったり、プロとしてエンターテイメントに携わるようになっていきました。私自身も在学中にあらゆるオーディションに挑戦するも、なかなか受からず、周りと自分を比べることで焦ってしまい、段々と周囲の人を遠ざけてしまったり、上手くいかない自分自身と真摯に向き合えなくなっていた時期でした。

 そんな中、出演した舞台で共演した子に誘われて、ミュージカルのワンシーンを短時間で作るワークショップに参加しました。周りの人と対話をしながら全員で力を合わせて場面を作り上げる空間にとても感動し、『地元でもこれをやりたい』と思いました。
 そんな想いが募ったある日、そのことを父に相談したところ、『人との繋がりと地域活性化を絡めて、地元でそのミュージカルをやってみたらどうか。自分も考えているアイディアがあるんだ。』と、父の構想を教えてもらいました。その後、ワークショップを主催していた演出家の方に協力してもらい、オリジナルミュージカルを地元で行うことになり、父は事務局として支えてくれました。
 そこでの私は1年目は振付、2年目は裏方スタッフとして関わりました。地元の人たちが、世代を超えた繋がりや自分の居場所を見つけ、楽しそうに活動している姿を見て、本当に嬉しく思うと同時に、自分自身にとっても大切な居場所なんだと思うことができました。

 その一方で、『私は舞台の上で表現することを諦めたくない』という思いが強くなっていました。そして、オーディションに挑戦し、ミュージカルの舞台に立つチャンスをいただきました。学校の繋がりだけではなく、様々な人との出会いの中でご縁が広がり、沢山の舞台に立つことができました。そして、私のもう一つの分岐点となるシャンソンとの出会いへ繋がっていきます…

続く

次回、第三章『転機』💎

 シャンソニエでの経験や、歌手として活動を本格化させることになってからを綴りました!✨
お楽しみに…😌♪

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?